一人の髪の毛の長い背の高い細身の女性が机に座り、ノートパソコンを叩いています。
彼女の名はレイカ(31)・・・とある雑誌の取材記者です。
「えー、それでは、タケルさん、夜の日本学「戦国武将考察編」・・・お願いします。今日は誰について語ってくれるんですか?」
と、レイカはノートパソコンを叩きながら、赤縁のメガネを手で直し、こちらを見つめます。
「うん。そうだな・・・今日も前回の続きと行こう・・・「織田信長さん」を続けて見ていこうよ」
と、タケルは話し始めます・・・。
「ま、織田信長さんの話は長いから・・・まあ、いろいろ研究していこう」
と、タケルは言葉にします。
さて、今日の「夜の日本学」はじまり、はじまりー・・・・。
「前回、織田信長さんは、「平信長」と署名しちゃうくらい平清盛フリークだと言う話をしたね。今日はそのあたりから、始めてみようか」
と、タケルは言葉にする。
「彼は前回も話した通り、古い「知恵者」に尊敬の念を持っていた・・・その中でも、平清盛は別格だったようなんだよね」
と、タケル。
「例えば、織田信長さんが創始したイベントに「安土城の夜間のライトアップ」ということがよく物の本に書いてあったりするけど、あれも実は創始者は平清盛なんだ」
と、タケル。
「え、そうなんですか?安土の街の夜の火をすべて消させて、提灯を使って安土城だけをライトアップする・・・それだけ信長の美意識は素晴らしいと思っていましたけど」
と、レイカ。
「いや、信長さんの美意識の素晴らしさは確かだと思うんだ。それが素晴らしい幻想的な風景になることを、彼は理解していたわけだからね」
と、タケル。
「ただ、そのアイデアの創始者は平清盛なんだ。多分、古い記録などを信長さんが読んで・・・そのライトアップの素晴らしさに気づく信長さんの美意識が素晴らしいんだ」
と、タケル。
「・・・と言うと平清盛の創始した夜間のライトアップとは、具体的にどんなイベントだったんですか?」
と、レイカ。
「舞台は厳島神社・・・まあ、平清盛における安土城みたいなものだ・・・平清盛の美意識をカタチにしたもの・・・竜宮城を地上に呼び寄せたと言われる程美しい」
と、タケル。
「厳島神社の海に浮く社殿・・・ただでさえ幻想的なのに・・・とある夜、あそこに1000人の僧を呼び寄せ、民衆も呼び寄せた上で、篝火を焚かせて法要をしたんだな」
と、タケル。
「その美しさはこの世のモノにあらず・・・そんな表現が記録に残っている・・・それを信長さんは見たんだろうね。ま、信長さんも清盛も美のプレゼンターだよ」
と、タケル。
「やはり、「知恵者」は美意識が高いんですね」
と、レイカ。
「「知恵者」というのは、どこまでも自己の価値を追求していくからね。そうなると自分以外の人間にも美を追求する結果となる。結果、美意識が高くなる。そういうこと」
と、タケル。
「それに信長さんは平清盛を反面教師にもしているね。平家が滅亡したのは平清盛が突出した後に、民衆の意識を無視して自分勝手に福原遷都など、やっちゃったからなんだ」
と、タケル。
「信長さんはそこで学んでいる。「民衆を敵にしたら、平家の様に滅びるだけだ。であれば、民衆をどこまでも味方につける必要がある」と、彼は確信していた」
と、タケル。
「だから、信長さんは、民衆へのプレゼンに常に心を砕いている。安土城のライトアップも、元々は民衆への信長の存在を神秘的に見せる演出だからね」
と、タケル。
「まあ、元々、信長さんは非常にやさしい性格だよ。「日本平定」なんて大変な仕事を選んじゃうんだからね。「和を以て貴しとなす」の出来る国にリセットするためにね」
と、タケル。
「だから、「日本平定」の為にありとあらゆる「知恵」を彼は必要とした。その中でも平清盛という知恵者の存在は信長さんにとって多いに助けになったんだね」
と、タケル。
「だから、彼は「古来の知恵者の知恵は活用して、なんぼ。その知恵を自分のライフスタイルに活用し、しあわせになっていくことこそ、古来の知恵者の本望」と考えた」
と、タケル。
「だから、彼は平清盛の知恵を徹底して利用したんだね。そして、民衆を味方につけることこそ、肝要・・・そういう「知恵」にも辿り着いた」
と、タケル。
「前にも指摘したけど、将軍義昭を追放するにしても、「悪御所」という言葉を京の市中に流行らせた上で民衆にその正当性を理解させた上で義昭を追放している」
と、タケル。
「つまり、他の武将は自分の家の為に動いているわけだけど、信長だけは、「民衆の為に日本平定を成し遂げる」意識で動いているんだよね」
と、タケル。
「ここは他の武将との顕著な違いだと思う。だから、信長は自分の領地内の年貢を安くしているし、離散していた家族を一つところに住まわせたり、意を用いている」
と、タケル。
「だから、当時、他国の民衆が早く信長が占領に来てほしい・・・そういう意識を持っていたという記録が残っている。そんな武将、他にいないでしょう」
と、タケル。
「まあ、だから、信長は民衆を味方につけ、民衆の為に戦い、民衆に愛された・・・だから、その晩年、信長をご神体とする神社に多くの民衆が集まった結果につながるわけ」
と、タケル。
「言わば、戦国の正義の味方・・・民衆を救うヒーローである面を持った戦国武将・・・それが織田信長さんの正しい正体になるんだよね」
と、タケル。
「正義の味方ですか・・・でも、民衆の為に戦っていたとすれば、そういう評価が正しいということになりますね」
と、レイカ。
「象徴的なエピは、やはり、京都に入った信長が、女性に狼藉を働いていた男のクビを斬ってはねあげる・・・あそこに信長さんのヒーロー的態度が現れているよね」
と、タケル。
「確かに・・・信長と言えば、あのシーンがやはり象徴的なシーンとして思い出されますね」
と、レイカ。
「軍規は厳正・・・まあ、信長は、木曽義仲の失敗は知っていただろうけど、正義の味方にして、絶対の知恵者、信長の性格からして、軍規が厳格なのは当然だったろうね」
と、タケル。
「織田信長に対して、民衆の味方・・・というイメージを持つと、また違った信長像が見れるような気がしますね」
と、レイカ。
「例えば、彼が一向一揆の根切りを命じたのだって・・・まあ、信長の残酷さを示すエピとして提出されることが多いエピだけれど」
「彼は明らかに仏僧共が民衆を騙して自分たちの為に利用していると見ているわけ。それを繰り返す一向一揆というシステムをこの世から消すことは」
「取りも直さず民衆をこれ以上、一向宗の食い物にさせない!という強い意思なわけであって・・・そこに民衆の為に戦った信長さんの強い意思が反映されているんだね」
と、タケルは説明する。
「まあ、根切りとは、DNAの抹殺だからね。血への信頼が厚かった当時としては、最高度の怒りに震えた信長の意思がわかるよね」
と、タケルは説明する。
「すべては、か弱き民衆の為を思ってやった、民衆にやさしい信長さんの強い意思だよ」
と、タケルは説明する。
「そして、そこには一貫して「日本平定を実現して、日本の最高正義「和を以て貴しとなす」の出来る日本を再現する」という高潔な大義があった・・・ここが大事さ」
と、タケル。
「民衆もしあわせに生きられる平和な国ニッポンを実現する・・・それが信長の大義だったんだから、やさしすぎるヒーローだよ」
と、タケル。
「民衆にプレゼンするという意味で言えば・・・信長さんと言えば京での「馬揃え」があるよね・・・」
「古くは源義経が京で馬揃えをした記録があるらしいけど、信長さん、また、パクってる。いいんです、結果、民衆にプレゼン出来れば」
と、タケル。
「そういう意味では信長さん本人も「魅せる」ということの重要性を理解している人だからね。ほら、信長の若い頃で有名な斎藤道三の初顔合わせのエピがあるじゃない」
と、タケル。
「道中はうつけの格好をしていた信長が・・・道三との会見場所には、凛々しい若武者姿で現れた・・・あのエピですね」
と、レイカ。
「そ。まあ、信長にしてみれば、道中は汚れてもいい格好をしていて・・・会見場所ではおしゃれをする・・・合理的な当たり前の出来事だったろうけどね」
と、タケル。
「つまり、信長は「魅せる」重要性をその若い頃から、知り抜いていた・・・そういうことさ」
と、タケル。
「信長は、個人的なプレゼンの大切さを若い頃から知っていた・・・そういうことですか?」
と、レイカ。
「そうだ。彼は絶対に「光るの君の目」を持っていた。つまり「サル山のボス力」を発揮し家臣たちを本能的に圧服させていただろう。本能的なプレゼンはそれでいい」
と、タケル。
「それと同時に上に立つモノとして彼が欲したのは上に立つモノとしての説得力だったろう。であれば、若い頃に着ていたという男根のデザインが背中に入った服なんてのは」
「不良中学生の着る内側に龍と虎の刺繍の入った学ランみたいなものじゃん?男的強さの象徴のデザインだろう?信長らしい素晴らしいデザインだ。直裁的」
と、タケルは嬉しがる。
「それが途中からダンディズムや神秘性のプレゼンになる。上に立つ者として当然だね。だから、彼はそれまで日本人が見たことも無い」
「西洋のファッションを身につけ始める。マントなんて、そのいい例じゃないか。あるいは西洋甲冑・・・見たことの無いファッションが」
「好奇心旺盛な日本人の目を釘づけにすることは信長さんは熟知していて、そういうファッションを選んでいるんだ」
と、タケルは解説する。
「ファッションによって他人の心を自在に動かす・・・それが信長さんなんだ。民衆へのプレゼンにも徹底するのは、信長さんとして当たり前・・・そういう結論になるね」
と、タケルは結論づけた。
「ま、ファッションは異性を気持ちよくさせないといけない・・・これも信長さんに教わった「知恵」でもあるなー」
と、タケルは言葉にします。
「わかりました。タケルさん・・・その続きは、お酒を飲みながらにしませんか?」
と、レイカは赤縁のメガネを外し、髪を解いた。
「レイカちゃん、本気だね。じゃ、気合いれて飲もうか!」
と、笑顔のタケルは机を片付けだすのでした。
(おしまい)
「絶対の因果関係」・・・これを使いながら生きていけば・・・望みの未来を作るのも思いのまま・・・だと思っていますけどね。
ま、信長さんにいろいろな使える「知恵」を貰い、それを自己のライフスタイルにドンドン投入していきましょう。
さ、将来、僕がどうなっていくかはま、これからの話ですけどね。
信長さんの「知恵」をお借りしながら、楽しい未来にしていきたいと思いますね。
さあ、楽しく飲みましょう!
ではでは。