さあ、もう一息、駆け上がるんだ!坂雲通信
「「男性大河ファン」の直感的で素直な感想」
今週の言いたいこと!
えー、断っておきますが、これ、先週の「坂の上の雲」の感想になりますから、まあ、11回放送の日にアップして、すいません。時間とれなかったんですー。
えー、まず、3年越しのこのドラマ。やっと夢にまで見た、第三シリーズにして、最終シリーズです。
いやあ、「少年の国」の頃が懐かしいですねー。のぼさんも第二シリーズで亡くなってしまったし、ほんと佳境の佳境に入っています。
今回、見てみて、まず思ったのは、
「このドラマが戦争賛美のドラマになる!と言って反対運動を繰り広げていた東大教授を始めとしたお馬鹿達は、ほんとにお馬鹿だったんだなー」
ということです。これだけ、苛烈に、そして克明に日露戦争の負の部分を描いたら、そりゃあ、
「うへー、戦争はいやだ。あのベトンの要塞になんか、突っ込みたくない!」
と誰もが思うでしょう。いや、実際、VFXの進歩のおかげもあるけれど、あの状況を目にするってことは、すごい説得力ですよ。
「戦争というものは、こういう悪魔の部分のある行為なのだ」
ということを、存分な映像を持って我々に訴える。
これはねー、すごいことですよ。そして、今だから出来ることなんですよ。
戦争シーンをまったく削除して、女性に媚び、平和を訴える大河ドラマ、この間までやっていましたが、
この「坂の上の雲」のあり方と比べてみてください。
どちらが、本当の戦争の怖さ、恐ろしさ、悲しさを訴えましたか?
こちらの方が、遥かに上です。月とスッポン以上の違いがある。
例えば、あの旅順総攻撃のシーン。ひとがバタバタ殺されていった。あの兵士達は、あの児玉源太郎が乃木希典の家を訪ね直接軍に戻ることを頼みにいったシーンで、
「うちの村からも兵隊になれる人間が出ました。ついては、声だけでもかけてあげてください」
と乃木希典が村長から頼まれたシーン・・・。あそこからつながっているんですよ。周りにいる子供たちはいつもひもじくしていて裸足・・・。
兵になる若者も純朴で貧しくて・・・。
あんな村からも、兵隊が徴兵されて、周りの人間に期待されて・・・そういう人間の集まりが、あの軍隊なんですよ。
そういう人間が目の前で、見るも無残にバタバタと殺されていく。それを僕らは見ているんだ。
だからこそ、そういう人間を何千、何万も殺すことになるから、乃木希典のあの児玉源太郎に対する悲痛な叫びが理解出来る。
原作では、伊地知と乃木は徹底的に仕事の出来ないワル者に描かれていますが、僕は今回の脚本の理解の方がしっくり行きます。
「時間がない。弾もない。それでも、この戦、負ける訳にはいかないから、肉弾で戦っているのだ」
彼のあの悲痛な表情・・・これまで長く描いてきた、いろいろなエピソードがつながって、背景の説得力になるからこそ、柄本明さんの素晴らしい演技と結びついて、
素晴らしいドラマになっているんです。重厚に、そして丹念にいろいろなエピソードを描いてきたからこそ、あの乃木の信念と、何も言わず席を立つ児玉が、
しっくり感じられる。ドラマってのは、説得力が鍵です。それは、簡単なモノではない。そこを真面目に丹念に描いてきたからこそ、俳優の演技が生きる。
素晴らしいドラマだと思いますねー。
乃木と伊地知は、日清戦争時の旅順要塞陥落後に、その旅順要塞で、出会っているエピソードが描かれていました。
日清戦争時は、たった一日で旅順要塞は陥落した。その場で出会っているから、乃木伊地知コンビに、旅順要塞に対する、ある程度の思い込みがあることも示唆されている。
そして、伊地知のセリフは説得力があるんですよね。
「本来威力偵察をして相手の能力を評価しなければいけないが、なにしろ時間がない。鉄道は確保したから、敵の能力が把握出来ていない限り、鉄道から離れるのは危険」
として、二百三高地攻撃に疑問を呈している。
まあ、わからない程度でもない、逃げ方なんですよ。現場の指揮官だからこそ、とる作戦とも言える。
だから、この乃木と伊地知を、ただのワル者にしない、というあたりが、この脚本の見せ所であり、キモだと思いますね。
「あいつは馬鹿だったから」
こういうワル者にするのって簡単なんだよね。
例えば、僕は昭和の生まれですから、第二次大戦否定、戦争否定、の教育をうけてきました。
その教育は、こうです。
「あの時代の人間は馬鹿だったから戦争を起したのだ。僕らは賢いから戦争など起こさない」
あまりに愚劣な教育と言えるでしょう。
教育者は、「俺偉い病」にかかっていたと言えるでしょうね。
俺偉い病にかかると、
「俺は偉いんだ。だから特別なんだ」
と考えて、そこから思考を停止してしまいます。
そこが一番問題なんですよね。
思考停止者になってしまうんですよ。そうなったら、終りですからね。
彼らは、周りを不幸にする。思い込みで、行動するから、周りを不幸にしても、
「俺は偉いんだから」
という理由で、逃げるんですよ。絶対、相手にしちゃ、いけない人種です。そういう人、テレビの向こうにたーくさん、いますよねー。
それ、判別しなきゃ、自分の幸福つかめないよ!
「彼らにだって、戦争を起した理由があるはずだ。その時代背景を考えながら、戦争を起した理由を考えなければ!」
こう考えないと、いけないわけです。
この本の原作者、司馬遼太郎というひとも、
「乃木と伊地知は馬鹿だったから、あんな愚劣な旅順総攻撃なんかやった。はじめから203高地を奪取していれば、あんなにひとを殺さずに済んだ」
という結果論で話を展開している。そういう話ってのは、小学生レベルなら信じる話かもしれませんが、
相手は軍事のプロですよ。たかが、戦車兵あがりの素人が何を上から目線でストーリーをつむいでいるのか・・・僕は不思議でなりません。
なにより、それでは、ストーリーとして、深みがありません。
例えば、今回の乃木伊地知コンビを、権威主義者で俺偉い病の人間に描いたら、どうなっていたと思います?
視聴に耐えられなかったはずです。このご時世、
「あの時代の人間は馬鹿だったから、戦争をしたんだ」
こういう主張をしているのは、このドラマ製作を、
「戦争賛美になるから、製作反対!」
と言っていた東大教授を始めとした思考停止者の群れ、くらいのものです。
彼らの言っていることは、
「「坂の上の雲」が、NHKでドラマ化されると、戦争は素晴らしいモノだ、と一般人は、素直に、思い込んでしまう。我々は賢い人間なのだから、それを止めなければいけない」
ということになるんです。
どんだけ、一般人を愚人視し、どんだけ、自分を偉い人間と勘違いしているんでしょう。
まあ、東大出の人間は、自分は選ばれた者と考えたり、東大出の人間しか、人間と認めないという人間が実際、いますからね。
まあ、僕は、実際、そういう人間を見てきました。会社にもいたし、官僚にもいたし、いろいろな大学の教授と呼ばれる人種の中にも相当数いました。
もちろん、東大出の人間はすべからく、そういう人間だということではありません。
素晴らしい人間性を備えた、そりゃ、仕事のバリバリ出来る、素晴らしい人間も、たーくさんいます。
でも、そういう人たちばかりじゃないってことです。
そして、そういう思考停止者の主張していたこと、・・・どうなりましたか?
ひとびとは、
「戦争って、素晴らしい。この状況を打破するために、ぜひ戦争をしよう!」
そう考えるようになりましたか?
そんな馬鹿、東大出の馬鹿教授くらいしか、想定出来ない話です!馬鹿だから、馬鹿な妄想しかできない。そういうことです。
その答えが今回です。戦争賛美どころか、そこは地獄絵図だ。
じゃあ、乃木が悪いのか?伊地知が悪いのか?
普通の社会がたったひとりや二人の人間によって、動かされないように、あの旅順総攻撃の地獄絵図が生まれたのも、当時の人間の総意が顕在化したものだと思いますよ。
ロシア人は、あの場所をどうしても守りたかった。だからベトンで出来た堅固な要塞を創り上げた。
しかし、日本も負けるわけには、いかなかった。
だから、ああいう地獄絵図が出来上がった。
僕は、このドラマを見ていて、気づいたんですが、あれー他の国だったら、ロシアに、戦争をしかけていないと思います。
ロシアの皇帝が、
「え、なんで、戦争になるんだよ!」
的な表現をしていましたが、まあ、直接的には、極東総督が意図的なサボタージュを行ったせいで、戦争になった!みたいに描かれていましたが、
それにしてもですよ、あの絶望的な状況で、戦争に踏み切ってしまう日本という国は、やっぱり、サムライの国だなあと、感嘆しますねー。
だって、陸軍だって、人間の数だって少ないし、弾だって、相当少ないんだよ。
そういう彼我の差って、あらかじめ、わかっているはずなわけよ。
だから、ロシアだって、
「いくらなんだって、これだけ国力も軍備力も違えば、戦争なんて決意するわけないよ」
とタカをくくっていても、それは、普通だと思えます。
でも、日本人は、
「自分の正義に殉じる」
人たちですから。
ここですよ。キモは。
どんだけ貧しい思いをしても、列強に負けないように、軍事力に税金をかけてきたんでしょ、大幅に。
地方にいけば、皆裸足。
「田舎の子供たちは、皆、今でも裸足で・・・」
と広瀬さんも言っていたじゃないですか。
真之だって、お母さんをおぶって銭湯に行っていた。真之は軍の高官ですよ。
それに比べて真之がおじゃましたアメリカの軍人の家のすごいこと。
日本は本当に貧乏だったんです。
だって、陸軍の最もトップの大山巌でさえ、クロパトキンが置いていったベットに寝っ転がって大喜び!なんですから、
どんだけ、日本は貧しいんだ、いや、貧しいのに慣れているのかって、そこをわからせてくれる象徴的なシーンでしたねー、あれ。
それだけ、貧乏だったんです。
そんな中から、一生懸命、軍隊を作っていった。
その虎の子の軍隊を、一気に投じたのが日露戦争だったんです。
それでも・・・海軍力でも、陸軍力でも、圧倒的に数で負けていた。
その状況で、戦に踏み切る・・・論理的な思考では、出てこない行動です。
日本民族の持つ、勇猛さとプライド・・・というより、日本男児の魂が激しく反応したんでしょうねー。
その魂が、あの地獄とも言えるベトンの要塞への肉弾攻撃になっているんですねー。
男は戦が好きなわけじゃない。プライド・・・日本人の魂が行動を起こさせているんです。
しかし、まあ、僕は元三菱電機のシステム屋だったんですが、プロジェクトリーダーっつーのをやっていたわけです。
プロジェクトを責任をもって、遂行し、期限以内にプロジェクトが完遂するように、メンバーの管理運営を実行する人間というわけですけど、
まあ、毎日いろいろなことがあって、計画通りに進ませることのいかに大変なことか・・・。
まあ、今、東電が、工程表を出して・・・なんてやってますが、あれは実際大変です。ほんと身にしみてわかりますねー。
で、そういう目であの日露戦争と言うモノを見てみると・・・きついプロジェクトですよ、あれは。
陸軍力も海軍力も数的に劣っているし、弾丸も欠乏気味・・・児玉と大山の憤然とする雰囲気、よーくわかりますねー。
やぱいプロジェクトの会議って、実際、ああいう雰囲気になるんですよ。メンバーは、皆言いたい放題で、基本怒っている・・・。
でも、環境が悪いと、どうしようもない。皆それをわかっているから、良い知恵だそうとして、会議が紛糾する。
まあ、この日露戦争は、環境の悪いプロジェクト、そのものですねー。
だから、クロパトキンを追えなくて、大本営から怒られて切歯扼腕する児玉の、
「追いたくても、弾丸がないんじゃ!」
という切歯扼腕する姿が、痛いほどわかるんですねー。
サラリーマンを一度でも経験したことのある方なら、あーゆー経験、一度はしてますよね。
「そんなことはわかっている。でも、やりたくても、やれない理由があるんだ!」
これですよ。
だから、旅順総攻撃での失敗に怒る真之・・・というのも、わからないではない。
旅順に直接行く・・・という真之の怒りもわかる。だけど、日本って国は、頭がいい、だけでは、だめなんですよね。
三笠での会議の時に、児玉に直接意見した・・・これが怒りを買っちゃうわけですよ。
まあ、児玉はオトナですから、そこはうまく流しましたけど、日本には日本的やり方がある。
ま、いわゆる根回し、ですかね。
「この意見は最も正しいんだから、やるべき!」
というのが、通らないのが、日本なんですねー。
実際、児玉が否定された形になったから、意固地になっちゃう場合だってあったわけでしょ?
それに陸軍のメンツだってある。
まあ、女性にそれを言うと、
「なんで、そんなに危険な日露戦争なのに、陸軍と海軍はもっと協力しないの?」
と言うことになるわけですけど、要は皆仕事がんばりたいから、競争になっちゃうんだよね。
だから、
「海軍に協力するだけでは、陸軍の手柄にならない。だから、旅順を落とす、ついでに203高地をとる、という形にしよう」
ということになる。日本人の団体である限り、そういう風になっちゃうんだよねー。
実際、陸軍の主力は、北上しているわけで、しかも数的優位はロシア側にある。
ここでの決戦で勝つことが日露戦争の勝敗の鍵になるだけに、陸軍としても、旅順にあまり数を割きたくなかったんでしょうねー。
それは、人情ですよ。というか、普通、そうなるよねー。
僕ら後世の人間は、
「203高地落として、ガンガン弾薬を落とせば、旅順港閉塞なんてのも、やらなくて済んだし、旅順艦隊は全滅するし、バルチック艦隊も全滅させちゃうんだから」
「はやく203高地落とせよ!バーカ!ほーんと乃木と伊地知は無能者だなあ」
と簡単に考えることが出来る。でも、それは歴史を知っているから思考出来る内容であって、やっぱりその時代のひとの「「なまの」正義」という奴を、
考えてあげないと、わからないことって、たくさんあると思いますねー。
そういう意味では、
「戦いとなったら、数で負けていても、全力で勝ちにいく」
これこそが、当時の軍人達の正義であったし、乃木も伊地知も、児玉も、そして真之も同じ思いだったと思いますね。
この、
「数で負けていても」
というところが、日本民族が過去、多くの戦いを経験してきたからこそ、考えられる、民族の力強さ、というものだと思いますね。
だって、
「数で負けていても」
勝った戦を、日本人は、たーくさん、知っていますからね。
そういう経験を積んでいるのが、日本人なんですよ!素晴らしいですねー、日本人!
これね。太平洋戦争に突入した日本民族の理由でもあるんだな。だって、状況は同じだからね。
ま、そっちは置いておきますが、いずれ、この話も、もっと深く思考することになります。
で、話は戻しますが、
「数で負けていても、勝ちにいくのが、日本人」
という正義、これが、当時の正義でしょう。
これねー、僕の経験上の話になりますが、ちょっと似た話があるんですよ。
あきらかにプロジェクトの行程が短い・・・まあ、通常2年かかる仕事を一年でやれ、みたいなことってあるわけです。
そういう時に、お客さん・・・まあ、相手は官僚ですけど、こういうことを言うわけです。
「三菱さんなら、やってくれる・・・そう思っているんです。いや、実際、三菱さんしかできないから、こうやって頼んでいるんです!」
まあ、殺し文句という奴ですけど、実際、合理的に考えてみても、技術者の数や経験から言っても、相手の言っている通りだったりするわけです。
となれば・・・。
「わかりました。厳しい環境になることは、わかっていますが、お引き受けしましょう」
こうなるわけです。これ、現代の話ですよ。実際、僕が体験した・・・。
これねー、アメリカの会社だったら、
「2年ノ工期ヲ1年に短縮・・・ダッタラ、オ金2倍モライマスヨ。リスクヘッジモ必要ダシ、何ヨリ技術者ガ2倍必要ダ・・・」
と、言うでしょうねー。でも、日本の会社はそのあたりが違うわけで、現代でも、日本人は日本人なんですねー。
環境が悪くても、それを乗り切ってしっかりとプロジェクトを完遂する・・・。
だから、乃木や伊地知、児玉の気持ちがよくわかるわけで・・・真之的な人間って、けっこう嫌われるんですよね、日本の社会では。
だから、今回、舘ひろしさんに、
「冷静になれ」
と言われるわけです。実際、直談判になんか行ったら、乃木や伊地知だけでなく児玉のメンツも、大山のメンツさえ丸つぶれですから、
作戦失敗のあのタイミングでは、一番やっちゃいけないことなんだな。
それがわからない真之は、あの時、俺偉い病にかかっていた、と言えますね。
でもさー、あの時代の日本人は、みーんな、
「君なら、出来るはずだ。日本は列強に伍するために頑張る。だから、重税に耐えてくれ!」
こう言われていたってことでしょ?
一番、日本人の弱い言葉なんですよ。「君なら、出来るはずだ!」
「君なら出来るはずだ。お国のために、あのベトンの要塞に突っ込んでくれ!」
あの兵士達は、この言葉に自分の価値というものを知ったんでしょうね。
そして、怖がりもせず、自分の価値を、国のために使う!として、突っ込んで行ったんでしょう。
自分の価値を、何かのために捧げること。
これが、日本人という、サムライの本望ですよね。
すべての日本人は、そこに至高の価値を置くんだな。
だから、勇猛果敢に日露戦争を戦い抜くことが出来た。
つーかね、それ出来ないひとが、不幸になっていくんだな。足元見られちゃうから。
そういうひとが、毎日、ニュースに出てくるじゃん。
しかし、コサック兵に追われて哨戒の兵が逃げ帰ってきたりしてましたけど、あれだって、怖いよねー。
そういうのを全部映像にしてくれたNHKさんには頭がさがるばかりです。
映像にして初めてわかることって、たーくさんあったじゃないですか。
秋山支隊のあのかっちょよさは、どうですか?
僕は原作では、ちょっとイメージが出来なかったんで、余程ありがたかったですねー。
そして、戦争の悲惨さを、存分に見せてくれた。
そして、不利でも、それを承知で自分を賭けていく、強いサムライ・・・日本人の原点がそこにはある。
そこをわからずして、この「坂の上の雲」は、語れないと思います。
日本人の魂の物語「坂の上の雲」。
雄々しき日本人!・・・現代の日本人の原点が、そこにはあるのです!
今週のこれ、どうなの?ポイント
そういえば、のぼさんが、いた・・・ような気がしたけど、夢か?(笑)。