Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

ファーストコンタクト

2013-07-31 01:00:00 | 雪3年1部(二人の写メ~映画)
雪と聡美が構内の廊下を歩いていると、不意に健太先輩とすれ違った。



いつもの彼とは違い、幾分ぼんやりとしているようだ。

雪は振り返って彼を呼び止めた。

「先輩!この前は‥てか私のメール見てくれましたか?」



健太先輩はこの間、恵と彼との面会現場に雪が隠れていたことに対して、もう気にしていないと言った。

続けて、恵には俺より青田のほうが似合ってると言って、頭を掻いた。

「恵ちゃんも青田のこと気になってるみたいだし‥お前も青田と仲良くなった甲斐があったな~」



否定する雪だが、健太先輩は授業があるからとそのまま行ってしまった。

どうしてこうなるんだろう‥。

最善策をと考えてきたのに、結局悪い方へ事態は流れてしまっている。



頭を抱え苦悩する雪に、「健太先輩怒ってないだけマシだよ」と聡美は一生懸命フォローした‥。






雪は学校が終わると、急いで地下鉄乗り場まで走った。

実はこの間実家に帰った際、教科書を忘れてきてしまったのだ。

明日も学校があるので、また下宿に帰ってくるつもりの雪は、急いで改札へ向かった。



母親にどの教科書が要るかを電話していると、今日の夜ご飯は焼肉だというので、

晩御飯も食べて下宿に帰ることに決めた。

鼻歌混じりに、雑踏の中を行く。



雪の後ろから、ある人物が付けてきていた。

雪は不穏な視線を感じると、パッと後ろを振り返った。



特に怪しい人影は見えない。

そのまま雪は改札へと向かったが、さすが彼女の感覚は鋭い。



柱の影から、河村亮がその後姿をじっと見ていた。


雪は冷や汗が頬を伝うのを感じていた。



その感覚に、去年横山からストーキングを受けた過去が蘇る。

その後プラットホームへ向かう道すがらも、雪は何度も後ろを振り返った。



忌まわしい横山の記憶を思い出してしまったことにも、嫌な気持ちになってしまう。



亮は雪の後を付けながら、そんな自分を焦れったく感じていた。

「あー‥オレとしたことが何やってんだ‥気になるなら直接聞いてみればいいじゃんかよ!」



亮は意を決すると、早足で彼女の後を追いかける。







雪はぼんやりと電車を待ちながら、音楽でも聞こうとMCプレイヤーを取り出した。



しかし手が滑り、ガシャンと音を立ててそれは地面に落ちてしまう。



慌てて拾おうとしゃがむと、彼女より先に誰かがそれを拾い上げた。



雪がお礼を言おうと顔を上げると、




その男は、真っ直ぐに雪のことを見つめていた。




彼は外国人のような、ハーフのような、独特の雰囲気があった。

雪はその端正さに顔を赤らめながら、たどたどしくお礼を言う。



すると男は、雪に「おい」と声を掛け、ストレートにこう聞いた。

「お前、青田淳とどういう関係?」



雪は一瞬固まったが、最近この質問を受けるのは実は三度目‥。(直美さん達、遠藤さん、そしてこの初対面の男‥)

頭を抱えて悶絶する雪に、亮は不信な目を向けた。



もう一度どういう関係か亮が聞くと、雪はパッと顔を上げて言った。

「そういうあなたはどちら様ですか?!」



亮は少し黙った後、目を合わせずに俺は淳の友達だと言った。

早く質問に答えろと急かす彼に、雪は苛つきを覚える。

「何の関係でもありません!」



その取り付く島もない答えに、亮は溜息を吐いた。

そして雪のことを、ジロジロと観察し始める。

「まぁ‥そうだよな。ルックス、背丈、ファッションからしても‥ナイもんな」



続けて「淳の奴がこんな低レベルの女を傍に置くはずがない」と言った亮に、さすがに雪もカチンと来た。

「あの!さっきから黙って聞いてりゃあぬけぬけと‥!何なんですか?!」



亮は天を仰ぎながら、納得出来ないながらも感じていた疑問が口を吐いて出た。

「んー‥、でもあいつのニヤニヤしたあの眼差し‥」



「絶対何かあるはずなんだよな‥」

「??」



プラットホームに風が吹き込み、電車の到着を告げるアナウンスがこだまする。

まだ青田先輩との関係を聞いてくる男を、無視して雪は電車に乗り込もうとした。



すると男は「待てよ」と、雪の腕を掴んだ。



雪の脳裏に、横山から受けたストーキングの記憶が鮮烈に蘇る。

その恐怖にも似た衝動を受けて、雪は咄嗟に叫んでいた。

「ぎゃあっ?!何すんのよ!!」



亮は、いきなりのその剣幕に驚きを隠せず、その目を見開いた。



そんな彼の目の前で扉は閉まり、淳と何かしらの関係を持った彼女を乗せて、地下鉄は発車したのだった。






雪は男から見えない席へ座ると、電車が彼を過ぎ去るまで身じろぎせずその身を凍らせた。

突然腕を掴まれたとはいえ、自分でも驚くくらいの大声を出したことが、なんだか恥ずかしい。

けれどあの男は一体何者なんだろう‥。

本当に青田先輩の友達なのか?なんだか変な人みたいだけど‥



雪は電車に揺られながら、彼の残像が瞼の裏に映るのを感じていた。






轟音を上げて過ぎ去る地下鉄を見送りながら、亮は一人プラットホームに佇んでいた。



しかし次の瞬間彼は被っていたキャップを地面に叩きつけると、苛立ちのあまり地団駄を踏む。

「なんだぁあのキ◯ガイ女?!淳とクレイジー同士お似合いじゃねーかよ!」



すると携帯が鳴った。♪卑怯と罵るな~♪との着信とともに表示された名前は、

彼の元職場の同僚だ。

「おい!もう電話してくんなって言っただろ?!オレはもうお前達とは縁を切ったんだよ!」



同僚は亮の言葉を遮って、社長が怒り狂っているということを彼に伝えた。

亮が社長から金を借りた巻き上げたまま姿を消したということで、社長は机をひっくり返す大騒ぎを起こし、

元職場は軽いパニックに陥っているらしいのだ。

亮は、俺が上京したことは社長に伝えるなと同僚に命令すると、もう切るぞと言って電源を切った。



気がかりな同僚の言葉に、亮は小さな胸騒ぎを感じ、黙り込む。




「Hi~! Where are you from?!」



突然亮は、彼を外国人だと勘違いしたバックパッカーに声を掛けられた。

しかし亮は英語が分からないため絡まれていると思い、大騒ぎし始める。

「何ほざいてやがんだ?!失せろコノヤロー!オレはヤンキーじゃねぇぞ!!」



地下鉄の構内に、その大声はしばし響いていたのだった‥。


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<ファーストコンタクト>でした!

亮の着メロはこれらしいです↓
CAN - Spring days of my life, Music Camp 20020202



亮と雪の初対面でしたね。高校時代は淳とのことを散々聞かれてウンザリだった亮が、今度は雪にしつこく聞くという‥。

今回は日本語版未掲載分もあり、漫画の流れを少し変えて記事を書きました。ご了承下さいませ。。

次回は<彼の周囲>です。

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