Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<雪>その生い立ち

2013-07-08 01:00:00 | 雪と淳の生い立ち
赤山雪、23歳。



A大学経営学科の2年学年首席、並びに全体次席。

家族構成は父、母、弟。父親は事業を営んでおり、母親は料理が得意。3つ下の弟、赤山蓮はただ今アメリカに留学中だ。

彼女はとても真面目な子で、頭も良くて気立ても良い。

両親に迷惑を掛けないようにと、大学の学費も塾の費用も、全て自分で賄おうと勉学とアルバイトに励んでいる。


(夏休みはカフェや家庭教師のバイトを頑張りました)

しかしいつも疲れて見えるその横顔は、ただ多忙だからというだけではないようだ。

なぜそこまで頑張るのだろうか?何の為に努力しているのだろうか?

彼女の生い立ち。それを少し追っていこうと思う。


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雪の大学以前の記述は、実は淳のそれより圧倒的に少ない。

しかし所々、首を傾げたくなるエピソードが彼女の過去にはある。

例えば幼少時の、雪の部屋。



あるものと言えば本棚にぎっしり詰まった書籍。

しかし弟、蓮の部屋はどうだろう。



おもちゃにテレビにゲーム機と、雪の部屋とはあまりにも違っている。

幼馴染の小西恵は毎日のように雪の家に遊びに来たが、いつもおもちゃを持ってくるのは恵だった。



雪はそれでも文句の一つも言わず、ただ笑顔を見せていた。





そして特記すべき事実の一つに、彼女の祖母が持つ、男尊女卑思考があった。



お菓子を出すときも弟にまず沢山与え、雪には催促されるまで何も出さなかったり、

弟と恵が喧嘩した時も、話も聞かずにまず雪を責めた。



弟が泣かされているのに、姉のお前は何をやっているのかと。


しかし彼女はそんな祖母にいつも笑顔を見せた。おばあちゃんが世界で一番好きなんだと言って。



しかし祖母が他界すると、その反動のように心を閉じた。



祖母が死に際に伸ばしてきたその手を、反射的に振り払ってしまったトラウマ。

それが今も雪を縛る。



泣きたくなるといつも、頭の中で祖母の声がする。

”泣くんじゃない 悪い子め”と。



あれから雪はその小さな背中に、全てを背負うことを決めた。

まるで自分が犯した罪を、一生かけて償うかのように‥。











高校生の時は、全校一位の成績を引き下げて学校に通った。




テスト期間になると徹夜に近い程勉強をした。そうして勝ち取った順位だった。

しかし、始めは雪を褒めていた両親も、一位が当たり前になると90点でも彼女を叱責するようになった。




彼女に比べると努力の劣る弟は、奨学金についても言及されることもなく、かといって冷遇されるわけでもなかった。

弟はその憎めない人柄と要領の良さで両親からの愛情を得て、



彼女の電子辞書(おそらく彼女が自分で買ったものであろう)を留学に行くからと持って行った。



しかし雪は、父親から「女の子は高い学費を出してまで大学に通う必要はない」と言われ、

奨学金を貰うため努力するしか無かった。



祖母から引き継いだ思考を持った父親に、彼女はいつまでたっても認めてもらえない。

ポッカリと大きく空いた穴を、いつも胸に抱いていた。










頑張っても頑張っても、得られない愛情。

努力しても努力しても、与えられない評価。








雪が自身を追い詰める理由は、その飢餓感にあるのかもしれない。

どうやったらこの飢餓感が埋められるだろう?どうしたらもっともらえるのだろう?



そうした精神の窮乏は、他人の目を気にする核(コア)を作る。

人の感情に敏感になり、その小さな変化や振る舞いを観察する性質へと。




しかしそうした性格はどうしても疲れるもので、ガヤガヤと群衆に囲まれる時、友人と談笑している時、

世界の狭間に落っこちたように沈むことがある。






そしてその疲労感は、人と真正面から向き合う時、ある結論を導き出す。













諦める、という結論。




それは心をぶつけない、という傷つくことへの回避手段でもある。





ぶつけてそれを自己治癒出来るほど、愛情に満ちて育ってきたわけじゃない。

ぶつけてそれに満足出来るほど、自分を表現出来る機会に恵まれてきたわけでもない。




それは彼女が幼い頃から必死に創り出して来た、自分を守る処世術なのだ。






これが、赤山雪という人間のコアだった。




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<雪>その生い立ち でした。



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