Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

課外課題

2013-07-22 01:00:00 | 雪3年1部(開講~二人の写メ)
雪は夢の中を漂うように、過去の記憶を辿っていた。

中でも”課題”によって引き出された記憶は、青田淳を訝しがっていた過去をまざまざと思い出させた。

平井和美によって徹夜で課題をせざるを得なくなった雪に、青田淳はあの見せかけの笑顔で言ったんだっけ‥。

後でもし必要なら連絡くれていいから。課題手伝うよ



雪はこう思ったはずだ。

心にも無いことを言うなと。誰のせいでこうなったと思っているんだと‥。





「え?何か言った?」



白昼夢から醒めた雪の目の前に、キョトンとした顔の彼が居た。



雪と先輩は、中庭のベンチで共に課題に取り組んでいるところだったのだ。

春のせいかぼーっとするんですと慌てて言い訳する雪に、青田先輩は「疲れてるんだな」とその身を案じた。



先輩は資料の調査状況とレポートの作成予定表を見合わせながら、

ある所まで雪が調べてくれたら後は自分が何とかするからと言った。



常々課題に追われ、全部一人で背負い込んできた雪には衝撃的な成り行きである。

純粋にお礼の言葉が出てくるが‥



途中でハッと我に返ると、雪は今までの事情もあり自分を戒める。



彼からこんなに親切にされたことが無かったからか、つい感動してしまったようだ。

いつも皆が彼の周りに集っているのが、分かるような気がしなくもない‥。


時間はお昼時。

ふと先輩が、鞄からビニール袋を取り出した。

「この間一緒に食べたの思い出してさ」



彼はそう言うと、おにぎりとジュースをテーブルの上に置いた。



その中に、レアな爆弾が入っているのを見た雪は固唾を飲んだ。

彼女の大好物だ。

「雪ちゃん雪ちゃん」



見て見て、と先輩は雪の前でおにぎりを剥き始めた。

「キレイに剥けただろ?」



嬉しそうに言う彼に、彼女は拍手を送った。

なぜこんなこと自慢するんだろと少し疑問に思いながら‥。



だけど本当に彼は嬉しそうだし、

照れて頭を掻きながら「実は練習したんだ」なんて言った。



雪の脳裏に、この間おにぎりが上手く剥けなくてやたら謝っていた彼の姿が思い浮かんだ。



あの時の名誉挽回? まさかね‥。

雪は先輩にお礼を言うと、爆弾を手に取った。



その姿を見て笑う彼に、



とても無邪気な、良い意味でバカみたいな面があるんだと知った。




二人を包む空気は、春の暖かさを含んだものだった。

春先の突風は、向かいに座っている彼の髪をさらさらと揺らす。



日差しは暖かく、新緑に木漏れ日がキラキラと潤んでいた。

雪はそんな空気の中で、何かとときめいてしまう‥



勿論すぐ、何考えてんのと自分を諌めたけれど。








「あれー?なになに、二人付き合ってんの?え?え?」



なんとも脳天気な顔をした健太先輩が、通りがかりに声を掛けてきた。

課題に取り組んでいることが分かると、青田先輩の隣に座った。



ふいに青田先輩の携帯が鳴り、彼は「失礼~」と言うと電話に出た。



彼の仕草はスマートだったが、真似した健太先輩のそれはどこか滑稽だ。

「もしもし?うん。身体の具合はどう?え?今日?」



通話をしている先輩の横顔を、雪はじっと見ていた。



その顔が、表情が、微かに変化する様子を。



彼はそんな雪の視線に気がつくと、ちょっと電話してくると席を外した。



そんな青田淳の行動に、健太先輩はあれは確実に女だと断定し、雪に耳打ちする。

「俺らの知らない女だから、席外したんだよ」と。



雪は「分かりませんけどね」と言葉を濁したが、頭は先ほど見た青田先輩の表情の方が気になっていた。

一瞬見せたあの表情。



にこやかだった彼が刹那に見せた、険しさが。




「そうだ、お前最近俺のメール無視してるだろ」



いきなり痛いところを突かれた雪は、思わずギクッとした。

雪は言い訳として、最近課題が溜まってて集中するために電源を切っていたと言った。

携帯が古くて調子悪いんです、とも。

しかし健太先輩は怯むことなく、それなら恵の携帯番号を教えてくれと迫って来る。



雪は断る理由を必死に考えた。

「あ‥あの子人づてに番号が伝わるの好きじゃないんで‥!

ほらあの子可愛いし、こういうこと前にも結構あってですね‥」




高速回転する脳みそが、ペラペラと言い訳を口にする。

しかし健太先輩は野生の勘が働いたのか、雪に向かって懐疑な目を向けた。

「おい、お前まさかわざと避けてんじゃねーだろうな?」



そう言って凄んでくる健太先輩に、雪は二の句が継げなかった。

猛獣に睨まれたウサギ‥まさにこんな気分だ。



雪が動揺のあまり固まっていると、健太先輩は豪快に笑って肩を叩いた。

冗談だよ冗談!と。



今は恵ちゃんも忙しいだろうし、また落ち着いたらよろしく頼むと健太先輩は言った。

ビクついて損した‥。思ったより興味無いのだろうか‥。



雪がとりあえず安堵の溜息を吐いていると、青田先輩が帰ってきた。

健太先輩はその後、青田先輩のしているブルガリの時計の値段を聞きたがったり、

それを腕にはめたいと言ってみたりと、相変わらずの暴走ぶりを発揮する。



雪はそんな二人を見ながら、頬杖をついた。



春の風は三人の傍を、颯爽と吹き抜けて行った。


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<課外課題>でした。

過去のゴタゴタ抜きにすると、とっても爽やかかつときめく回でした。
健太先輩はアレですが‥。

おにぎりを上手く剥けるようになった先輩ですが、実は人知れず努力してましたw



家政婦さんに剥き方を教わる先輩‥。

口でむしるとか斜め上すぎて‥笑


次回は<苦い記憶>です。


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