Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

痕跡の残像

2013-07-29 01:00:00 | 雪3年1部(二人の写メ~映画)
雪が構内を歩いていると、青田先輩が声を掛けて来た。



手には先日雪が恵に貸した本を持っている。

雪はお礼を言うと、本を受け取った。彼が髪の毛を切ったことに内心気がつきながら。



そのままニコニコと雪の前に立っている先輩に、

雪はどうかしたんですかと声をかける。



「俺、何か変わったと思わない?」



雪は最初彼が何を言っているのか分からなかったが、もしかしてと思い言ってみた。

「か‥髪?髪が短く‥」「うんうん!当たり!」



変じゃないかなぁと髪の毛を触りながら雪を見る先輩に、

雪はまさか嫌味じゃないよな‥と訝しげに思いながら、彼の髪型を褒めた。

(彼女は髪の毛にコンプレックスがあるので、サラサラヘアの彼が髪の毛について言及する事にことの外敏感だ)

「とっても似合ってますよ!先輩は格好いいから何だって‥」



まぁ嘘ではないが、とりあえずリップサービス‥と思いつつ、雪はにこやかに言った。

「え?本当に?」



雪の予想に反して、青田先輩は真顔で返して来た。

リップサービスという心の声が聞こえたんじゃないかと思うような反応に、雪はたじろぎながら尚の事褒める。



「あー‥、ありがと」



掴みにくい彼の見せるその表情は、多分照れてる時のもの。

雪はムズムズしながら、「本当のことを言ったまでです‥」と太鼓を叩いた。








遠藤修が廊下を歩いていると、ふと前に赤山雪が居るのが目に入った。

彼女のサインが必要な書類が事務室にあり、折を見て呼びだそうと思っていたところだったので、

遠藤は早速声を掛ける。



すると壁の影に隠れていて見えなかった、彼女が談笑していた相手と目が合った。



青田淳‥。

遠藤はビクッと身体が強張るのを感じた。



遠藤は青田淳から視線を外し、雪に事務室に寄るよう言うと、そのまま早足で去って行った。

雪は先輩にお先に失礼しますと言うと、早足の遠藤を小走りで追う。



雪の心に、モヤモヤとしたものが膨れ上がった。

なんだろう今の‥。



雪の鋭敏さが、先ほどの遠藤と先輩の間にあった変な空気を察知していた。

見ないフリ見ないフリ‥。気にしない気にしない‥。



雪はその背中を追いながら、必死に頭をもたげるものを振り切ろうとした。



事務室では、遠藤がブラインドの隙間から窓の外を窺っていた。



雪は就活キャンプ参加申込書の不参加欄にチェックを入れると、そのまま事務室を出ようとした。

すると、遠藤が声を掛ける。

「お前、青田と仲良いのか?」



雪はなぜこの人にそんなことを聞かれるのか甚だ疑問だったが、

作り笑いを浮かべると、たまに話す程度だと答えた。



雪が事務室から出て行くと、遠藤は再びブラインドの隙間から窓の外を見た。




事務室の丁度下のあたりに、青田淳の姿が見える。



にこやかに、通りかかった後輩達に挨拶をしていた。

遠藤は彼の笑顔を見ながら、あの忌まわしい記憶を思い出していた。


何を考えてやがるんだ‥



遠藤は青田淳の姿を見つめながら、心の中がざわめくのを感じた。

また何か企んでいるんだろうか、また自分を脅迫してきやしないか‥。



前を見つめる青田淳であったが、次の瞬間遠藤と目が合った。



遠藤は弾けるように窓から身を離すと、高鳴る心臓の音を聞きながら俯いた。



ブラインドの締められた事務室は暗く、彼の心の中も暗雲が立ち込めていくような気がした。





お気に入りの歌を口ずさみながら建物から出てきた雪は、彼の姿に気が付いた。



目が合うと、先輩は笑って雪に手を振る。



「ここで何してるんですか?」「もうそろそろ出てくるかと思って待ってたんだ」



裏門か正門かと聞く先輩に、雪は正門と答えた。

しかしやはり彼の行動の真意は掴めず、なんだかぎくしゃくしてしまう。



すると偶然、健太先輩と佐藤広隆が雪たちの傍を通りがかった。



この間喧嘩をした二人だが、和解のために飲みに行くと言う。

雪は健太先輩に恵のことを切り出そうかと思ったが、その雰囲気に結局口を噤んだ。

次授業で会った時言うしかないな‥と去って行く健太先輩の後ろ姿を見ていた雪だが、



次の瞬間、青田先輩が大きな声を出した。

「雪ちゃん!足元に何かいる‥!」「ぎゃあっ?!」



叫びながら、バタバタとその場で足を動かした雪だが、その足元には何も居なかった。



雪が呆気に取られていると、青田先輩は無邪気な笑い声を上げた。

「ぷははは!イタズラだよ!」



「イ‥イタズラ‥?」



目を丸くした雪に、先輩はやりすぎたかと謝って来た。

雪は事態が飲み込めずにいたが、とりあえずわざと明るく笑って見せる。

すると先輩はまた笑顔になり、こんなことするのは初めてだと無邪気に笑った。



よりによってなぜ私にこんなことを‥。雪は掴めない彼に戸惑った。



「イタズラってすごい面白いのな」「‥先輩はやめた方がいいかと‥」



「なんで?」「んー‥、何か違う気が‥」



「どんな風に?」「いや、なんとなく‥」

「あれ?虫がついてる‥」「もう騙されませんよ‥」



二人が構内を歩く様子を、ベンチに座った男が新聞で顔を隠しながらこっそり見ていた。



その後姿が見えなくなると、男は新聞を下ろして舌打ちする。

「‥チャラチャラしやがって‥」



亮は苛つきを感じていた。

女を前にしてあんな無邪気に笑う淳は、初めて見た、と。


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雪が事務室の建物から出てきた時に歌っていた歌はコレです↓
Maroon 5 - This Love MUSIC VIDEO


作者さんがMaroon5のファンらしいですね!


今回髪の毛を切った先輩ですが、前回写メ撮った時に「先輩の前髪屋根みたい」って雪が言ったからでしょうね(笑)


次回は<接触>です。


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