「条例の意味」5月16日
『首長政党「大阪維新の会」の大阪府議団が19日開会の5月定例府議会で、府立学校の入学式や卒業式などで君が代を斉唱する際に教職員の起立を義務付ける条例案の制定を目指していることが14日分かった』という記事が掲載されました。私は、儀式における国歌斉唱に賛成の立場です。しかし、この大阪府の条例制定については疑問を感じます。
東京都などでも、儀式的行事における国歌斉唱、国旗掲揚を実施し、反対する教員との間で訴訟が続いています。しかし、東京都が行っていることと大阪府議会が目指していることは違うのです。
東京都の取り組みは、教育委員会が主体となっています。いわば「政治」とは切り離されたところで行われているのです。一方、大阪府のケースは、政治家である知事が主導する維新の会という政治家集団が推進しています。結果としては、どちらも国歌斉唱が進むでしょうが、大阪方式の場合は、教育行政に「政治」が強く関わるという前例が残ってしまいます。よく言われるように、行政は前例主義です。こうした前例ができれば、教育行政への「政治」の関与が強まり、それは他の自治体にも影響するはずです。
議員は主権者である府民の代表であり、府立学校は府民の税金で運営される公的事業ですから、議員がこうした条例の制定を目指すことについて、民主主義の観点から問題はありません。しかし、我が国が採用してきた教育委員会制度の趣旨、学校教育への政治の不当な干渉を排するという趣旨からすると、安易に見逃すことはできない問題を含んでいると思います。
私は都教委が、国旗国歌の指導を強化したときに、都教委の管理職でした。都教委は、職員団体から強い反発が予想される措置の導入にあたって、様々なケースをシミュレーションし、通知だけ出して学校現場に丸投げすることなく、すべての都立校の卒業式に管理職を派遣し、不測の事態に備えました。私も、3校の卒業式に来賓として出席し、校長や副校長の支えとなりました。こうした取り組みを通して、都教委の「執行能力」が高まっていったように思います。
教委が汗をかかず、困難な問題は政治の力を借りて解決するということが一般的になっていくと、教委自体の「執行能力」が低下していってしまいます。それがねらいで、教育を首長の管轄にすることが最終的な目的だというのでしょうか。他の自治体の反応が知りたいものです。
『首長政党「大阪維新の会」の大阪府議団が19日開会の5月定例府議会で、府立学校の入学式や卒業式などで君が代を斉唱する際に教職員の起立を義務付ける条例案の制定を目指していることが14日分かった』という記事が掲載されました。私は、儀式における国歌斉唱に賛成の立場です。しかし、この大阪府の条例制定については疑問を感じます。
東京都などでも、儀式的行事における国歌斉唱、国旗掲揚を実施し、反対する教員との間で訴訟が続いています。しかし、東京都が行っていることと大阪府議会が目指していることは違うのです。
東京都の取り組みは、教育委員会が主体となっています。いわば「政治」とは切り離されたところで行われているのです。一方、大阪府のケースは、政治家である知事が主導する維新の会という政治家集団が推進しています。結果としては、どちらも国歌斉唱が進むでしょうが、大阪方式の場合は、教育行政に「政治」が強く関わるという前例が残ってしまいます。よく言われるように、行政は前例主義です。こうした前例ができれば、教育行政への「政治」の関与が強まり、それは他の自治体にも影響するはずです。
議員は主権者である府民の代表であり、府立学校は府民の税金で運営される公的事業ですから、議員がこうした条例の制定を目指すことについて、民主主義の観点から問題はありません。しかし、我が国が採用してきた教育委員会制度の趣旨、学校教育への政治の不当な干渉を排するという趣旨からすると、安易に見逃すことはできない問題を含んでいると思います。
私は都教委が、国旗国歌の指導を強化したときに、都教委の管理職でした。都教委は、職員団体から強い反発が予想される措置の導入にあたって、様々なケースをシミュレーションし、通知だけ出して学校現場に丸投げすることなく、すべての都立校の卒業式に管理職を派遣し、不測の事態に備えました。私も、3校の卒業式に来賓として出席し、校長や副校長の支えとなりました。こうした取り組みを通して、都教委の「執行能力」が高まっていったように思います。
教委が汗をかかず、困難な問題は政治の力を借りて解決するということが一般的になっていくと、教委自体の「執行能力」が低下していってしまいます。それがねらいで、教育を首長の管轄にすることが最終的な目的だというのでしょうか。他の自治体の反応が知りたいものです。