ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

教員がすること

2011-05-24 07:15:19 | Weblog
「教員の役割」5月17日
 西部報道部の河津啓介氏が、「記者の目」で、『原発事故で子供の屋外活動制限』という標題で書かれていました。内容はともかく、私がこの署名記事で注目したのは、学校のことを取り上げているにもかかわらず、教員が一切登場しないことでした。
 『同省(文部科学省)担当者や被ばく医療の専門家が「基準を超えても現状では健康に影響はない」と繰り返したが、会場には冷ややかな空気が漂っていた』『「福島の子は多少の火の粉がかかっても仕方ないということか」と説明会で声を荒げた保護者』など、登場するのは、役人、原発関係の専門家、保護者、政府や学校という組織だけが登場するのです。
 河津氏が、子供が校庭で遊ぶことができず、土いじりもダメという状況で教員は何をすべきだと考えているのかはよく分かりません。しかし、私はこうしたとき、教員がなすべきことは、保護者と一緒になって行政を突き上げることでもなければ、職員会議で校長をつるし上げることでもないと考えています。それは、保護者の思いを無視しろということではありません。
 目の前に子供がいて、毎日学校に通ってくるのです。そして、望ましい環境でないからといって、教育活動を中止するわけにはいかないのです。そこで嘆いたり、愚痴ったりしているのではなく、教育の専門家として、与えられた条件の中で最善の方法を工夫し、子供のためにベストを尽くすことが教員の役割なのです。
 外遊びができないストレスを軽減する遊びの工夫は、体育館でも十分な運動量を確保する体育の授業の在り方は、と知恵を絞るのが教員の役割なのです。以前、大風呂敷を広げて目の前の子供を見ないのは教員ではないということを書きました。福島の教員の皆さんには、今こそ地に足のついた取り組み、専門家の知恵が感じられる工夫で責任を果たすことを期待したいものです。

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