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ゆきちゃん通信++tomiの日記++

自閉症の娘、由紀子の毎日と
母の生活を綴っています。

施設見学 (自閉症の特性6)

2009年05月08日 | 自閉症の特性
※カテゴリーをtomiの日記から「由紀子の自閉症」に変更しました。

今日はさつき園の母体である法人が新しく開所する施設の説明会に行ってきました。

生活介護と児童デイの2つの機能を持つ施設で、
生活介護では身体障害者と自閉症者の支援に力を入れているそうです。

作業室は個別のブースに区切られていて、
パニックの時にクールダウンする為の部屋も設置してありました。

児童デイでは感覚統合の訓練ができるように遊具を入れるのだとか・・・

すばらしい!!""ハ(^▽^*)パチパチ♪


自閉症児の親としてはとても魅力的な施設だと思いました。



でも、由紀子はさつき園に自分の居場所を見つけ始めたばかりですから、
移すことは考えていません。

今日はこの施設の利用を考えている、養護学校時代の友人の付き添いということで・・・(*^^*) フフ



18日に開所予定なので、今日は施設の設備等の見学だけですが、
各部屋を見て回りながら、私は以前行った佐賀のある施設を思い出していました。


5年ほど前に見学に行かせて頂いた施設ですが・・・。

佐賀県にあるNPO法人が運営する最重度自閉症者を対象とした
作業所でした。

このNPO法人はTEACCHプログラムなど、自閉症の支援としては
全国でも最先端を行っているといわれています。



その施設は、
視覚的に過敏な人のために天井の蛍光灯には薄い布がかけてあって、
施設全体が薄暗く、
完全個室で10個ほどの部屋が並んでいました。

作業はそれぞれのプログラムに沿って行われ、
利用者は一日のほとんどをその部屋の中で一人で過ごすということでした。

支援者も必要以上にかかわりを持たないといわれていました。


見学も利用者が帰った後で施設の見学のみが許されるという、
徹底して利用者への刺激を排除されている施設です。


そこに通ってくるのは、本当に最重度の自閉症者で、
家庭ではパニックで自傷や他害、器物破損などがひどく
家族の負担がかなり重く大変な方が多いといわれていました。

現に、お迎えにきた車の中には、窓に鉄格子のような物がはめられている物もありました。

かなり暴れるんでしょうね・・・。

でも、この施設の中にいるときは落ち着いているのだそうです。

(。・_・。ゞ そうなんだぁ。。。



でも、正直その見学をしたときは複雑な気持ちになりました。

外界と隔離され、様々な刺激を排除した環境の中で過ごすことが
本当に幸せなのだろうか?

いくら障害があるとはいえ、人間らしく生きているといえるのだろうか?

そんなことを考えていました。



まだ、その頃の由紀子は小学生でしたし、
普通の小学校の特殊学級に通い、
お友達の中で楽しく生活をしている頃でした。

その頃の私にはその施設の必要性など、ほとんど理解できなかったのです。


でも、その数年後・・・。

由紀子は思春期の中で感覚の過敏さが増し、
環境の変化の中で自傷や他害がひどくなって家庭生活が大変になりました。


一番ひどい時には、すべての感覚が過敏になって
家中の音を消し、遮光カーテンを引いた薄暗い部屋の中で
布団に横になり、目を腕で覆って食事もろくに食べずに寝て過ごす日が続きました。


その時、思い出したのがあの作業所のことでした。

今の我が家の環境はあの施設と同じではないか・・・・
確かにあの施設の環境を必要とする自閉症の人はいるんだ!!

そう思ったのです。


おかげさまで、由紀子はたくさんの人に支えられて
何とか通常の生活が送れるまでに回復することができましたが、
自閉症の支援の難しさは、今でも感じます。


今日の施設の見学をしながら、
佐賀のあの施設のように徹底された物ではありませんが、
(あの施設は本当に特殊ですからね!!)
長崎にも自閉症を意識した施設ができたことを本当にうれしく思いました。





自閉症の人にとって、どんな環境が必要なのか?


私たちが楽しいと思うことが楽しいとは限らないし、
私たちから見たら、つらいだろうとか、物足りないだろうと思うことが
自閉症の人たちは幸せだったりする・・・。

それは、定型発達と呼ばれる私たちにはわからないことがいっぱいです。

今日の説明会の中で、責任者の方が

「障害があってもいろんな経験をさせてやりたい。
失敗をして泣く事もあるだろうが、いろんな思い出を作って、
死ぬときに楽しい人生だったと思えるような生活をして欲しい。
そのサポートをしていきたい!」

と、話をされていました。


楽しい人生か・・・・。(*ーー*)うーん

そうなのかもしれない・・・・
でも、そうではないのかもしれない・・・・


5年前の施設見学で、あの作業所の意味がわからなかったように、
今の私には由紀子の人生に、本当はどのような形の支援が必要なのか、
まだよくわからない。