喜劇な日々

名古屋の劇作家、鹿目由紀のほんの少しだけ喜劇的な毎日を、綴ります。

隣りが気になる

2007-02-10 13:09:47 | 日々のこと
フレッツのCMで長澤まさみに「だーい好き」と言われると、胸がときめくかのめです。
昨日、打ち合わせの前に時間があったので、とあるカフェに立ち寄った。
コーヒーを飲みながらぼーっと考え事をしていると、左隣りの話が耳に入ってくる。
スーツの紳士と年輩の女性と若い女性という三人組。血のつながりはなさそうだ。
「正当防衛の線で裁判は…」
「いやいや、過剰防衛になる確率も…」
何だかただごとではない雰囲気。弁護士事務所の人々か。
そうかと思うと、隣りに男女二人組が座ったようだ。
ようだ、というのは、左隣りの方が気になって、耳しか傾けていなかったからである。
二人はパスタを頼んだようで、何だかうまそうなパスタの匂いが漂ってきた。
男のダンディーな声が聞こえてくる。
「パスタは、こないだ食べた店のが最高でね…」
さぞかしおしゃれな恋人たちなのだろうと思い、視線を右隣りに移行すると。
…想像と違う。
女性は若くて綺麗で聡明な感じ。しかし男性が…あれ。
いや、声は完全に男前だったのである。だけど…あれ。
しかも雰囲気が…あれ。本当に恋人同士なのか怪しくなってしまった。
恋人の雰囲気というのは、読めるものである。
「あ、あいつら恋人同士じゃーん」
と、すぐ気付くくらい、読めるものだ。
しかも私、そういうのを読むのが割と得意である。
だけど、二人は微妙だった。
距離とか声のトーンは恋人のソレのような気がするのだが、確信が持てない雰囲気。
まさか、『友達以上恋人未満』という80年代的関係か。
だけどそれにしては、男があまりに…いや、男は顔じゃない、中身である。
しかも彼は、声だけは抜群に良い。声は二割増しである。
しかもスーツも着ている。スーツも二割増しである。
だけど…だけど…ああ、分からない。分かりたい。
今すぐ、すっくと立ち上がり、
「失礼ですけど、どういうご関係ですか」
と芸能レポーター風に聞いてみたい。
裁判の話も熱くなってきた。私の聞きたい気持ちも熱くなってきた。
だけど気付くと、目の前のコーヒーが冷えきっていた。ああ。