喜劇な日々

名古屋の劇作家、鹿目由紀のほんの少しだけ喜劇的な毎日を、綴ります。

引っかかっては流れる

2008-03-20 01:16:34 | 映画のこと
このスコーンが大好きなのである。名古屋で食べても東京で食べてもスコーンはスコーンなのである。東京に行く前に借りたDVDをようやく全て観終える。新藤兼人監督『裸の十九歳』は、若き日の原田大二郎主演。ただの濃いおじさんだと思っていたので驚きました。新藤監督の作品を観たのは初めて。好みではないが、心をえぐってくる感じが強烈で他のも観たいと思わせる。乙羽信子が良い。浅見光彦のお母さんだと思っていたのに、なんだかエロい。次に成瀬巳喜男『娘・妻・母』。高峰秀子と原節子の共演だけでも豪華なのに、他にも豪華スター揃い踏み。成瀬作品にしては大味の印象。けれど豪華なのに案外満足感を得る。木下恵介監督の『カルメン故郷に帰る』は凄く面白かった。初のカラー作品だそうで。リリィ・カルメンこと高峰秀子演じるストリッパーが、田舎に帰ってくる事で起こる出来事を描く。自分の仕事を芸術だと信じて疑わず唄って踊りまくるデコちゃんが可愛い。『放浪記』からおバカな女まで、違和感なく演じられるのが素晴らしい。もちろん監督の力もあるのだろうけど。『二十四の瞳』も観なければ。ところで久々に洋画を借りる。『アイデンティティー』。思ったより面白かった。スタイリッシュなホラー。脚本が良いのかなぁと。他に、オンナオンナしたくなったので『セックス・アンド・ザ・シティ』のシーズン3。もう何度も観たのにまた性懲りもなく。『女の敵は女』と『セックスまでの距離』という話が好き。眠る前にダラダラと観ながら、色々な事が頭をよぎる。自分の状況により引っかかる『言葉』は違う。違うからまた観て、なにかを得てなにかを失う。なにかを失うとなにかを得て、また違う『言葉』に引っかかる。それもまた楽し。それもまた苦し。

突然に弱い

2008-03-12 01:33:34 | 映画のこと
絵描きのみくりめぐみ氏に描いて貰った、かのめみかん。
似てるけど私が描くのよりずっと可愛いぜ。ありがとうね。
公演中、色々な差し入れを頂きまして、ありがとうございました。
『関東無宿』を観た。渡り鳥こと小林旭は男前ですね。好みではないけど。
クライマックス。人を斬ると障子が倒れて突然、赤いホリゾント。
なんじゃこりゃ。凄いね、さすが鈴木清順監督。
この日活作品を観ると日活を出てから自由にやってるのだなぁと。
ぼんやりしてたら突然、思いも寄らない嬉しい報告。
いや、忘れてたくらいです。ありがたいことです。

男に成れと言われたら成るしかないのだ

2008-01-13 01:59:00 | 映画のこと
絶対に観なければならない。
映画『魁!!男塾』である。しかも私の誕生日に公開。
江田島平八があの麿赤児であーる。ぴったりであーる。
富樫が照英なのに少し不安を感じるがそれもまた良し。
監督・脚本・主演の坂口拓はつまり剣桃太郎役。
アクション俳優というのが、期待できそうだ。CGに頼ってないそうな。
あの関東豪学連との死闘をどう再現するのか楽しみであります。
もちろん映画『ピュ―と吹く!ジャガー』も気になる。
なんてったって、うすた京介ファンですから。
要潤が主演なのも笑えるが、それより彼がまだ26歳なのにびっくりだ。
老け過ぎだよ。『女性自身』で料理の連載とか持ってちゃいかんて。
それにハマーがおぎやはぎの小木って…似てるじゃん。

本日は『ギャル』の稽古後、小道具会議。
いつものもつ鍋屋さんで、もつ堪能。
プルプルのコラーゲンが嬉しい。

椀に映る顔

2007-07-25 02:33:54 | 映画のこと
どうしてもうまく書けない箇所があり『マサさんがゆく』の直しに手こずる。
ですが、何とか完了しメール。とりあえず返事待ち。
何だか、色々とうまく流れていかない。
気持ちも仕事も生活も、スムーズに流れていかない。
もともとスムーズに流れてなかったような気もする。
流れないのを自分なりに、流していくのが生きることのような気がする。
母方の祖父が、危ないとの知らせがあった。
祖父は、現役の時は漆塗り職人だった。
祖父の家に行くと、いつも漆の香りがした。古くて好きな香り。
祖母も仏壇の部品を塗るのを手伝っていた。母が手伝っていたこともある。
祖父が塗ったお椀を持っているが、一度も使っていない。
久々に取り出して眺める。
美しい赤。濃くて深い赤。曇りのない赤。
その赤にまぁるく映る顔と我が部屋を見て「もっとやれよ」と思う。

そういえば、高校演劇地区大会の審査員は無事に終了。
県大会、頑張ってください。
一昨日は少し元気の出ることがあった。
こういう事があると、続けていて良かったと感じるのだ。
嬉しくて両親にメールしたら、同じような返事が来て夫婦だなぁと思った。
夫婦というものを羨ましく思ったのだ。夫婦というものを。
昨日の朝は、前期最後の授業。発表だった。
緊張のあまり、腹痛でお手洗いに行く者数名。
けれど皆、必死にやってくれました。お疲れ様。
夜は冒険舎の稽古。主に根っこを探る旅。やり方を考えよう。

鈴木清順監督『陽炎座』を観る。
松田優作、大楠道代主演。大楠道代は美しく色気たっぷり。憧れの美女。あんな人になりたい。
どうなってるのと思いながら、ついつい引き込まれる清順ワールド。
けれど楠田枝里子はいかがなものかと…。
『ツィゴイネルワイゼン』が観たい。けれどまたもや近所のツタヤになし。
他に借りてきたのは、成瀬巳喜男『めし』『女が階段を上る時』と大島渚『日本の夜と霧』。
ある方から、溝口健二を薦められたので観てみようと思う。
お目当ての今村昌平は相変わらず借りられていて、悔しい。

ところで次回11月のあおきりみかん、タイトルが決定しました。
近々発表します。乞うご期待。

女の揺れと声変り

2007-07-20 05:22:08 | 映画のこと
成瀬巳喜男は、凄いと感じた作品。
『乱れる』である。主演は『浮雲』と同じく高峰秀子、そして加山雄三。
この映画を観て、高峰秀子の演技力に唸ってしまった。
『浮雲』のゆき子と同じ人物が演じているとは思えない程、礼子として映画の中にすっぽりはまっている。
特に加山演じる義弟に告白されてからの、抑圧された『揺れ』。
その抑圧が家を出ることにより漏れてしまった時の、その、女としての表情。
何と言ってもラストの表情には、観る者を引きこんで離さない力がある。
思い切り引きこまれた観客は、その後の突き放すような終わり方のおかげで余計に高峰秀子を追い求めてしまう。
加山雄三は、若大将でしかあり得ないだろうと思っていたが、違ったようだ。
何とも魅力的な年下の男を全うしている。
しばらく、成瀬作品にはまりそうですわ。高峰秀子(愛称デコちゃん)にもね。

今日は久々にあおきりみかん会議。
これからのことを中心に。次回公演はあっという間にやってくるのだ。
ホンについては、こんな題材の話というのはあるのだが、次の集まりまで黙ることに。
会議後、制作会議をする制作陣の傍らで、頼まれた新人公演チラシの表を描く。

ところで向田邦子のエッセイの中に『声変り』というのがあり、それが可笑しくて笑ったのだ。
男は声変りするが、女も声変りするという話。
甘く深い声としっとりとした歌い方が魅力の女性歌手と話す機会があったのだそうだ。
彼女は話し声も歌うように美しく、同じ女に生まれながら何という違いかと思ったのだと言う。
後で出入り口を通ると、大道具さんに文句を言う物凄いドスの利いた女の声。
「何べん言ったら判るんだよ」
大道具のかげから見えたドレスの裾は、甘く深い声の彼女のものと一緒だったという話。

例に漏れず、私も声変りする。
特に劇団で話す時は、普段から低くハスキーな声が一層低くドスの利いた声になっている。
これはもう、無意識なので仕方ない。アッコやらボスやら呼ばれても仕方ない。
不思議なもので、劇団と関係ない時は高くなる。いや高くなっても所詮低いのだが。
どちらがラクかと言われたら、どちらもラクである。
劇団で普段の声でいるのはしんどいし、普段の生活でドスの利いた話し方は疲れてしまう。
だからある意味、自然の形なのでしょう。
向田さんの話にもう一つ付け加えるとしたら、女は声変りと一緒に顔変りもするということ。
劇団の稽古が終わった後、鏡を見ると、実にげんなりするのである。
だってあれなんすよ。あまりに男らしいんすよ。
その男らしさたるや、相撲取り終わった直後の力士である。鬼の形相とまではいかないすけど。
ところが不思議なもので、これからデートだなんて言う時は案外しおらしい顔になってたりするんです。
山中崇敬氏あたりは信じないかもしれませんけど(舌打ち)。
造作は同じでも全く違うものになれるのは、女の特権なのかもしれない。
いや、きょうび、男も化けるんでしょうけど。
ところで一番困るのは、普段るんるん歩いてる時に劇団員に遭遇すること。
どういう対応したら良いのか、頭が混乱する。メダパニである。自分で自分を攻撃しかねない。
なので、先に相手を見つけた場合は逃げるようにしています。はぐれメタルです。ごめんなさい。

今も昔も、いくつになっても

2007-07-19 17:44:27 | 映画のこと
『青春残酷物語』(大島渚監督)と『浮雲』(成瀬巳喜男監督)。
どちらにも相当ダメな男が出ているが、『浮雲』の富岡のダメさたるや秀逸ダメ。
妻がありながら、高峰秀子演じるゆき子をさんざん振り回す。都合の良い時だけ頼る。
そのくせ突然連絡が取れなくなり、他の若い女(しかも夫あり)とトンズラ。
呆れて離れられると、またゆき子の前に現れて『俺なんかダメだ』オーラを出してくる。
そのオーラにやられ、ゆき子はまたまた振り回されるのである。子どもまで出来たのに。
こんなにダメ男(今で言うだめんず)なのに、どうして惹かれてしまうのか。
今も昔も、この問いかけは解消されることなく、永遠に生き続けている。

待機していたNHKドラマ『マサさんがゆく』が動き出した。
色々決まってきた模様。来週始めまでに改訂稿を出す予定。
冒険舎『ねがいごとパズル』は、大道具で悩む悩む。
稽古はまだ始まったばかりだが、限られた時間を有効につかいたい。
今月中にヒューマンアカデミー卒業公演のホンを書き上げるつもり。
ふと顔を合わせた生徒に話しかけられる度に、気合いが入るのである。
県から頼まれている仕事もぼちぼち動き出す。明日は打ち合わせで常滑。
何だか色々。そして何より11月のあおきりみかん。さぁタイトルは来週までに決まるのか。
書いてみたいことは、ぼんやり見えてきた。ぼやぼやぁっと。

やらなければならないことを忘れる。しくじる。
自省。どうして一度にバババッと片付けられないのか。
しばし落ち込む。しっかりしなさいと戒める。

あることで、突然癒された。
言わなくても分かると言われれば、ええ、分かっているのです。
けれど、言って貰えたら天にも昇る気持ちがするのです。
いくつになってもどんな状態でも、それは変わりなく単純な答えなのです。
単純で複雑な答えなのです。

高山で買った扇子は涼やか。にわかひのき風呂は、にわかだろうがひのき風呂。

窓を殴りつける夜に

2007-07-15 04:17:19 | 映画のこと
お目当ての『復讐するは我にあり』(今村昌平作品)が借りられていた。
しかも一番観たかった『にっぽん昆虫記』は置いてなかった。
それで、気になっていた古い邦画を数本レンタル。
鈴木清順監督の『肉体の門』を観る。
日活時代の作品で野川由美子が主演にして映画デビュー作。
圧倒されたのだ。息づかいや色合いや躍動感。
野川由美子といえば私の中では『桃太郎侍』だったが、目から鱗。
美しく可愛く、瑞々しく、色っぽく。
それから富永美沙子さんの色香が尋常じゃなくて目が離せなかった。
宍戸錠も良いのですが、やはり前述の女優二人が好きで堪りません。

ところで近況。
冒険舎『ねがいごとパズル』の稽古が始まった。
長く巡回上演していく作品。初めてのことも色々あり多少戸惑い気味だが。
みんなで素敵な作品にしてゆけたらなぁと思います。お楽しみに。
同じくして、あおきりみかん新人公演の稽古も始まった。
役を決めて、これからという感じ。とにかく良い意味ではみ出してください。
来週末は、高校演劇の地区大会の審査員で岐阜。
今年は一体、どんな作品に出会えるのだろうか。
『マサさんがゆく』は、第一稿の段階でひとまず待機。来週からまた動き出す。
だんだんと役者さんも決まり、楽しみになって参りました。

昨日(一昨日)、NHK芸術劇場で『ぬけがら』を観る。
生で観た時より、役者さんの顔が分かって新たな面白さを発見した。
文学座の俳優さんは達者な方ばかりだなぁと改めて感じる。

少しずつ読んでいる『阿修羅のごとく』は、どんどん深く重くコミカルになっている。
雨と風とが窓を殴りつけ、どんどん台風は台風らしくなっている。
私のテンションは、台風と部屋の温度と読本の興奮で、どんどん上がっている。

麗しの栄養補給生活

2007-06-17 00:48:54 | 映画のこと
午後からお出掛け。天気良し、紫外線強し。
栄である方とお茶をしながら、あれこれ話す。
おかげさまで、有意義なひとときを過ごすことができました。

それから、少年ボーイズさんを観に、一人千種文化へ。
向かう途中、ある店の前で足が止まる。
やられた。あのワンピースにズキューンとやられてしまった。
買うべきか、買わざるべきか、それがかなりの問題だ。
明日までしっかり悩もう。そうしよう。

そうしようそうしようと呪文のように呟きながら到着。そして観劇。
昨年末、堤劇団のお芝居に出演されていた半海一晃さんのホン。
半海さんは、映画やテレビで活躍されている、味のある素敵な俳優さんです。
ホンにしても演出にしても、あぁ俳優さん視点で作られたお芝居だなぁと感じる。
森さんが沢山出演されていたのが、面白かった。

帰り道、仕事のために観ておきたいDVDを借りたついでに、趣味の世界に入る。
『ソウ』『SEX and the CITY season5』『暗殺者の家』『サボタージュ』『第3逃亡者』。
後半の3本は全てヒッチコック。はい、ヒッチコック大好きなのです。
『SEX and the CITY』は全て観ているのだが、また借りてしまった。
はい、キャリー(主人公)大好きなのです。キャリーの生き様に励まされるのです。
あんなに洒落た生活は送れないけどね。いい加減DVD買おうかしらん。

『ソウ』を早速観る。ちょっと前に話題になったサスペンス・スリラー(っていうのか?)。
詳しくは言えないが、目は離せないことは目が離せない。
けれど、私はそんなに怖くなかったし、作り手の技巧的な所ばかりが目についてしまった。
映画にしろ舞台にしろ、結構純粋に楽しめる方なのだけれど。
ゲーム感覚のものならば『CUBE』の方が怖かったかなぁ。
久々に『アナザー・カントリー』のケイリー・エルウィスをまともに目撃。
ずいぶん歳を取っていたが、甘いマスクは健在。何てったってアナカンですから。
関係ないが、キーファ・サザーランドは歳取ってからの方が断然格好いい。

そんな感じで、久々にDVDライブを満喫中。
ところで、仕事のために観ようと借りたのは『小さき勇者たち~ガメラ』。ザ・特撮。

さて、風呂で『アガサ・クリスティー百科事典』を読むとしよう。
これがまた、クリスティーファンにはたまらないマニアック事典なのである。
ポアロの禿げ論争とか、たまりません。

明日はB級さんを観に行く。それもまた楽しみです。

迫り来る

2007-04-01 04:11:54 | 映画のこと
ホン書きの合間に、休憩がてらテレビを点けたら映画『蒲田行進曲』。
小さい頃に観た事はあったけど、ウッチャンナンチャンもパロディーやってたけど。
途中、というか終盤だったが、改めて観て凄さを再確認。いやぁ凄い。
とにもかくにも、物凄いエネルギー消費量の映画である。
深作欣二も凄けりゃ、つかこうへいも凄けりゃ。
風間杜夫も平田満も原田大二郎も蟹江啓三も何もかも濃くて良い。
このメンバーの中では、超脇役の若い萩原流行が可愛く見える。
そして松坂慶子の、綺麗なこと綺麗なこと。
ナンチャンのやってた小夏の似てないこと似てないこと。
綺麗だなぁとは思っていたが、改めて観るとマジ美しい。
この当時、私と同じくらいの歳。驚きです。

『常に迫り来る映画』。そんな感じ。
何より『キネマの天地』が頭から離れないのである。
にーじのーみやこ、ひーかりーのみやこー♪

書け、書くんだ。

天国と地獄

2006-08-19 23:56:25 | 映画のこと
 という映画が面白かった。クロサワ作品。
 それはさておき。
 今日はまさにタイトルどおりの一日だった。
 朝早起きして、掃除洗濯を済ませ、半身浴。
 なかなか順調なスタートを切れた。天国。
 佃さんが書いた劇団うりんこのお芝居を観に行くため、準備。
 ところがストッキングを履こうとしたら、ビリッとやってしまった。地獄。
 仕方ないので途中のコンビニで買って履こうと、とりあえず出かける。
 念のため2足買い、地下鉄のトイレで履こうとしたら何とまた…やっちまいました。地獄。
 「あぁ勿体ない」ともう1足の値段が高い方を履く。
 ところが焦っているのが悪いのだろう。またもや小さく穴があいた。連続地獄。
 「うぎゃあ」と悲鳴を上げ、そうになった。
 だが幸いにも、まだ食い止められる範疇。
 買おうと思っていたマニキュアのトップコートを手に入れ、伝線を食い止める。ふぅ。
 で、うりんこ。児童劇だから子どもがいっぱい。大人もいっぱい。満席。
 面白かった。
 特に成瀬くん(さん?)役の年配の役者さんのバスケ。面白天国。
 帰り、たまたま一緒になった加藤裕子嬢に駅まで送ってもらう。ありがた天国。
 同じくたまたま一緒になった徳留くんも一緒。
 私は星ヶ丘で降りて遅い昼を食べようと三越のアフタヌーンティーへ。
 写真の小海老入りホウレン草クリームパスタを食べる。嗚呼…天国。
 食事後、ぶらぶらと三越を見て回る。
 見るだけで楽しい。ウインドウ天国。
 本屋に差し掛かった辺りで館内アナウンス。
 屋上の映画館で20分後に『嫌われ松子の一生』を上演するとのこと。
 何てラッキー。見逃してたので。天国真っ盛り。
 ようやく観られた。
 原作を先に読んでいたので、あぁこうしたんだぁと思いながら観たが、好きだった。
 監督は、原作が好きだからこそ大胆な作り方が出来る繊細さがあるのだろう。そんな感覚。
 中谷美紀が思い切っていた。確かに、彼女は松子だった。
 妹の久美と龍と岡野と八女川が気になっていたが、頷くキャスティングでした。
 だけど岡野と八女川がもう少し観たかったなぁ。
 とか思いながら携帯の電源を入れて、地下鉄の階段を歩いていたら、突然目の前の景色が揺れる。
 気付くと、地面にうつぶせで潰れた蛙みたいに倒れていた。
 はい。いい歳して階段踏み外しました。はい4段も。はい地獄。
 言うまでもなくストッキングビリビリ。打った膝が赤い。
 だけど『松子』を観た後だったのが良かった。
 松子が物凄く階段を転げ落ちる場面があって、あれよりはマシと思えたのだった。
 とまぁこんな一日は、実家から送られて来たうまい桃(天国)が痛むのを恐れ、何とか今日中にと宅配便営業所まで痛む足を引きずりながら(地獄)汗だくで取りに行くこと(地獄)で締め括られるのであった。
 けどもう良い。桃がうまいので許す。もう何もかも許す。
 終わり良ければ何とやらである。

 『天国と 地獄は常に 紙一重』
 俳句の日の締め括りでした。だって8月19日だからね。
 ホントかは知らんけどね。