喜劇な日々

名古屋の劇作家、鹿目由紀のほんの少しだけ喜劇的な毎日を、綴ります。

再開、再会

2009-07-03 01:26:39 | 読んだ本のこと
本日から東京公演に向けて『箱を持っている』稽古が再開。三日間会ってないだけで久しぶりとはこれ如何に。劇場のサイズが違うのでそれに合わせた稽古という事に。もう一度、皆で確認して欲しい事を話す。稽古後、劇団宛に届いた手紙を受け取る。その中の一通がとても可愛らしくて微笑んでしまった。手作りのみかんちゃんとともに写った笑顔の少女の写真と素敵なファンレター。親子ともどもファンでいてくださるという事で、なんだか嬉しくなりました。ありがとうね。次回も楽しみにしててくださいね。帰宅して『やることリスト』の項目を片付け始める。8月に新たにご依頼いただいたワークショップと名古屋市芸術文化活動アドバイザーのスケジュールを調整、確認。明日、新幹線に乗る前に片付けてしまいたい事がわんさか出て来た。東京公演中も、一人ホテルでホン書きという事になりそうだ…。てな感じでバタバタしてはいるが、ちまちまと合間を見計らい、本屋大賞受賞の湊かなえ著『告白』を読了。先日読んだ『贖罪』よりこちらの方が勢いのある文体のように思えた。同じ作家を二冊読んでみると気付く事も多い。そういう意味で行くと、何冊読んでも深く深く潜れそうに感じる向田邦子や松本清張は、やはり凄いなぁと。村上春樹氏の新刊は、世間が忘れ去った頃に読もうと思います。

思いがけず決意

2009-03-07 02:18:12 | 読んだ本のこと
『ねがいごとパズル』の直しに思いのほか時間がかかっていて、申し訳なく…。明日にはなんとかなるだろうか。お風呂に入りがてら本を読もうと思い、『箱を持っている』の参考にと箱つながりで『箱男』再読。何度読んでも面白くて唸る。その言いようのないディテールの細かさで全てを煙に巻かれる。安部公房はなにを読んでも面白い。すると安部公房のおかげで次回のホンとは全然関係のないところで、ある事をやろうと思いつく。これだ、これは今年中にやっておくべきだと一人で勝手に盛り上がる。明日は午前中、はせひろいちさんのワークショップを見学に行って参ります。気付いたら予定の詰まっている週末。やり遂げるべきをやり遂げよう。ニシキオリさんは餌の入ったタッパーを認識出来るようだ。タッパーに手をかけると口を開けてバタバタする。私の指を餌だと思う率が低くなっている。ほほう、なかなか賢いではないか。

読んで思うのは、いずれの事か

2009-03-05 23:55:52 | 読んだ本のこと
有吉佐和子『悪女について』があまりに面白く一気に読んでしまった。高校時代、サクマ(友人)が読んでいたのを思い出す。あの人は読書家だったなぁ。それで色々と考えつつ、ぐわんと一気に読んだせいで頭がクラクラ。この勢いで『香華』『不信のとき』も読みたいところ。後者はドラマになっていたが結構面白かった、石黒賢というチョイスが。『開幕ベルは華やかに』も読んでみたい。なんか『殺人は突然に』みたいだし、もしくは『誰が為にベルは鳴る』。あ、これはどっちもあおきりみかんでした…。今日はちょいと残念な事があったりして沈みそうだったが、有吉さんに救われた気分。それから写真のアイスがあまりに美味くて感動した。イチゴソースが決め手ですな。日常は絶え間なく流れるが、こうした少しの喜びを手にしながら、少しの哀しみと戦い、なんとなく相殺していくのですな。

愕然という字に愕然

2009-03-05 14:42:28 | 読んだ本のこと
目当ての本は取り寄せないといけなかったので、他に収穫はないかと探し迷った挙句、有吉佐和子を購入。以前『恍惚の人』を読んだ時も思ったが、この人の筆力は凄い。なんというか『腕力』だ。昨年AAF戯曲賞の公開審査会の時、佃さんの仰っていた『ジカタ』(地肩で良いのか)が強いというヤツだと感じる。あの時「かのめさんは川上憲伸の肩を持っている」というコメントを頂き、野球に疎い私はその時は今一つピンと来ていなかったのだが(今は少し分かる)、有吉佐和子はそれで行くと飛び抜けてスーパーメジャー級の肩に違いないと確信する。劇作家、演出家でもあった彼女の着眼点には、及ばずながら共感する部分があったり。バスを待つ間にぐんぐん読み進めて半分まで来てしまった。貰うべきヒントも得た感覚。帰宅して電話を数件。週末のウィルあいちワークショップは色んな年齢層の方がいらっしゃるようで楽しみであります。少しだけ『やることリスト』に線が引けた。ああ、でも我が要領の悪さに愕然とします。愕然です。愕然という字が仰々しくて愕然です。要領が悪くて不器用でガサツとは…最低最悪サイヤ人です(山中崇敬氏の持ちネタ)。

読了、休憩、思案

2009-03-04 16:21:28 | 読んだ本のこと
朝、モーニングを頂きつつ松本清張『強き蟻』を読了。主人公の女がごく当たり前のように振舞う行動の一つ一つがエゴイスティック。だが彼女の生理としては成立しているので、読み手もあっけにとられつつ、彼女の側に立って読んでしまう。周りの男たちは彼女を翻弄しているのか、翻弄されているのか。この辺りの男女中立な描き方に清張の凄さを感じるのだ。清張の小説の中ではトップレベルの面白さではなかったが、それでも今の私に得るものはあった。色んな意味でホン書きのヒントを貰った気がする。

その後、疲れていたのか今日だけ調子の悪い鼻のせいなのか、少し昼寝。いかんいかんと起き出して『やることリスト』に記した項目をつぶしていく。休むなら休めば良いのに、休んでいると罪悪感が芽生える。とりあえず冒険舎のホンの直しをカタカタ。ところで秋のテレピアの前に依頼され、お祭りで短編を2本上演する事に。1本は地元の高校生が、1本はあおきりみかんが上演するそうです。2本ともホンは自分が書く事になったので、3月中に一度打ち合わせ。6月のホンについては、相変わらずぼんやりと考えている。徐々につながりつつあるものを接着するには、ある事を調べなければならない。今日明日で資料探しに行かなければ。

書棚から想い出

2009-02-19 02:08:11 | 読んだ本のこと
理由あって書棚の芥川に久々に手を掛けた。芥川の『藪の中』は大学の卒業論文である。懐かしい事を言うと、いつだったか…小6か中1くらいだったと思うのですが、読書感想文が『地獄変』で、これで校内読書感想文コンクールで1位になったのを記憶している。でも時期はうろ覚え…。1位になると学校新聞に感想文の中の一文を載せて貰えるのが通例で、私の一文もピックアップされ載せて貰えた。確か『○○という名の生き地獄、これ以上、むごたらしい地獄があるのだろうか』みたいな…なんとなくそんな文章で、この○○という所がなんだったのかがどうしても思い出せないのだが、なんにせよ、あの感想文は自分の人生の文章の中でも珠玉の出来だったなぁと思っている。そんな若い頃に『珠玉』を書いて以来、書けてないのも悔しいが、あの時読んだ芥川はそれくらい鮮明で、美しく残酷だった。だから卒論にも『藪の中』を選んだように思うのだ。大学の時にやった芝居が『藪の中』をモチーフにしていて、それに出演していたのも大きいんですが。こないだの東京公演で、手伝ってくれた小池ちゃんと谷崎とか三島の話になり、なんだか近代文学が恋しくなった。ゼミは近代文学専攻で、教えてくださった細谷教授は文学青年を絵に描いたような素敵なオジサマだった。学校にはほとんどマトモに行かず芝居ばかりやっていた私が唯一真面目に受けたのが細谷教授の授業全般だった。あ、あと『生命環境における毒性』と安部公房『砂の女』の授業はちゃんと受けました。細谷先生、元気かなぁ。と本というのは色んな事を思い起こさせてくれるので、ホン書きの途中で手にするものじゃないとつくづく反省する。中学生日記を脱稿出来たら、芥川を読み直そう。

眠れなくなる

2008-01-12 04:10:05 | 読んだ本のこと
まったくもって、「しまった」のである。
寝る前に以前買って読んでいなかった小説を何気なく読んだが最後。
そして、止められなくなってしまったのである。
遠藤周作『海と毒薬』。面白いというより考えてしまった。
モラルとかタブーとかそういったものに関して。
戦時中、九州の病院で起こったある事件を扱っている。
構成の巧みさにより、一気にその世界にひき込まれた。
人間、ことに日本人について。さらに自分の本質について。
罪悪という感情や、その麻痺について。

今日というか昨日は、午前中は今年の初授業。
午後はヒューマンアカデミー卒業公演の稽古に顔を出し、ちらっと代役読み。
その後、『ギャル』の大道具の打ち合わせ。面白くなりそう。
夜は劇王の稽古。冒頭の手嶋の台詞を重点的に。
今日は終日、演劇デーでした。

実家から送って貰った林檎と米がとても美味しい。
おかげで生きていけそうです。ありがとう。

読むアタマ

2008-01-05 03:17:53 | 読んだ本のこと
ようやく読み終えた。松本清張の『時間の習俗』。
『点と線』の鳥飼刑事と三原警部補が事件に挑むのが楽しい。
昨年放送したビートたけし主演のドラマ『点と線』が観たかった。
松本清張は読めば読むほど、感心します。
珍しく読むのに時間がかかったのは、何故だろうか。
松本清張を読むアタマではなかったのかもしれない。
少し前に向田和子の『向田邦子の恋文』を読んだが、これはすんなり入った。
おそらく、これは読むアタマだったのだろう。
向田邦子の手紙と彼女が密かにつき合っていたカメラマンK氏の日記が交互に。
切なくて涙が出そうになった。手紙というものは生々しい。
向田邦子の彼への愛情が、何気ない文章からしみじみと伝わってくる。
その時に欲しいもの、というのがある。
その時に欲しくないもの、というのもある。
その時に欲しいものには、その時に欲しい理由があるのだろう。
欲しいものに誠実に在ろうと思ったりする。

理不尽な男気を堪能

2007-11-10 00:30:57 | 読んだ本のこと
『魁!男塾』を久々に読んだ。6巻までである。
剣桃太郎は格好いい。承太郎(ジョジョ参照)とキャラがかぶっている。
富樫もいいが、個人的には虎丸が好きだ。やんちゃで屈託なし。
あと私が男塾塾長、江田島平八であーる。
(この話し方は中川区民まつりに反映されている)
しかし男塾は、マジめちゃくちゃな塾である。
気持ちいいまでに理不尽極まりない。
ちなみにアニメ化された時は、一世風靡セピアが主題歌を歌っていた。
「よーごれーちまーったー かーなーしーみーにー」
というヤツである。かなり好きな歌である。
私が読んだところで、ようやく三号生筆頭・大豪院邪鬼が登場。
縮尺間違ってるだろうというくらい、図体がでかい。
ヤツの飲むワインは、人間が10人がかりで運ぶ。
でかさたるや、山のフドウ級である(北斗の拳参照)。
暇を見つけて、また続きを読もう。
ちなみに私の漫画におけるバイブルは『ついでにとんちんかん』と『ジョジョの奇妙な冒険』。
理想の男性は、ぬけ作先生とジョセフ・ジョースターである。
この二人は似てるんです。私の中では。
ちなみに私は稽古で『ドラゴンボール』に例えて説明することが多い。
気を消せとか三倍界王拳を使えとか、クリリン殺された時のことを思い出せとか。
そろそろジェネレーションギャップもあるので、止めようと思います。
あと、欽ちゃんの仮装大賞のテ・テ・テ・テテテッテと上がっていくヤツにも例えます。
そろそろ分からないと思うので止めようと思います。
というか、ほとんどジャンプの話ですね。
女の子なのにね。だって好きなんだもん。仕方ないじゃん。

そういえば今日、稽古の時突然『ホテル』における高嶋弟を思い出した。
謝らせたら日本一の男である。どうしているのか、高嶋弟。
ちなみに関根勤の真似する高嶋弟も大好きである。
無性にホテルが観たくなった。再放送しないかなぁ。
考えれば考えるほど、上司が胡散臭い。
松方弘樹とか丹波哲郎とか…カタギではない。
紺野美沙子だって、絶対松方弘樹となんかあるに違いない。
あのホテルに行ってみたい。「大変申し訳ありません」と言われたい。

冷凍保存

2007-07-13 03:29:35 | 読んだ本のこと
向田邦子『阿修羅のごとく』と安野モヨコ『美人画報』を読む。
『阿修羅~』はまだ途中。女たちの会話に必ず在るおかしみと哀愁が我がことのように降り注ぐ。
女はいくつになっても結婚しても何をしても女であり、女という生き物の魅力は計り知れない。
向田さんの本には、いつも気持がえぐられ、慰められ。
安野さんのは何となく購入。何となく読んだら何となく元気が出た。
何となく手に入れた元気は、得した気分をくれたり。
どちらを読んでも感じること。
女の『道化部分』と女の『女部分』は、共存し反発し合ってこそ女という生き物を形成するのだ。
『ソウ』に引き続き『ソウ2』を観てみたら、こちらの方が面白かった。
けれど所詮『CUBE』には敵わない。

一生忘れたくない幸せの瞬間を手に入れたら、そのまま冷凍保存できないだろうか。
いつでも解凍していつでもその瞬間を味わい、鮮度が保たれたまま死ぬまで味わい尽くしたい。
いや、本当はその瞬間が一生続けば、それに越したことはない。
そんなことは分かっているのだ。そんなことは。

話は変わり、この一週間は間違いなく『おかしな一週間』であった。
それについては後日、触れることにする。いや、ホントにおかしかったんですぜ。