喜劇な日々

名古屋の劇作家、鹿目由紀のほんの少しだけ喜劇的な毎日を、綴ります。

読書と安定

2007-02-04 01:06:51 | 読んだ本のこと
一人であれやこれや考えていたら、どうしても他の物に触れたい欲求が高まった。
そういう時に必要なのは、私の場合は本か映画である。
かといって、映画を観に行くような暇は、あらすじを書き上げなければ、ない。
かといって、書くために、何かに触れたいわけであり。
ということになると手っ取り早いのは、本である。
ちなみに、『マリー・アントワネット』と『愛の流刑地』は観たいです。
キルスティン・ダンストと寺島しのぶが大好きなので。

近所の小さい本屋で物色。品揃えは良くない。
良くないくらいの方が、迷わず選べるので好きだったりする。
購入したのは、向田邦子『思い出トランプ』と松本清張『渡された時間』。
どちらも好きな作家。
向田邦子の方は短編なので、気分転換に一つ、二つ読む。
この人の書く文章には、本当にドキッとさせられる。
葬式の席などでの夫が妻の話をすることに関して。

「本当は気の弱い亭主が、こういう席では見すかされまいとして、大きく羽を広げた物言いをすることもある。やましい男が人前でわざと女房を持ち上げて、罪ほろぼしをすることもある。」

向田邦子が好きなのは、残酷な捉え方をしつつも、そんな人間のダメさを愛しているから。
色んな人と出会い、恋愛し、生活し、それらを糧にして作品を生み出す力に尊敬を抱く。
欲している類の本を読むと、あちらこちらに傾いていた心が安定する気がする。
今日は、向田さんを欲していた模様。

ところで、今日(昨日)の夕方。
『舞台・中学生日記』演出の神谷さんと台本について少しお話しする機会あり。
「あなたらしいホン」というお言葉。はい。納得です。直球です。
他に、劇王の事や演出の事、役者の事などについて、色々。
神谷さんのお話には、いつも沢山の刺激を受ける。
『かぼちゃ』の稽古の最中は、役者として聞きながらも。
帰宅してお風呂に浸かりながら「これを劇団に置き換えてやるとすると…」などと、つい考える自分あり。
演出として、自分なりに取り込んで、劇団に還元したいものだ。

はてさて、そろそろ仕事に戻らねばなりますまい。