喜劇な日々

名古屋の劇作家、鹿目由紀のほんの少しだけ喜劇的な毎日を、綴ります。

怒濤の京都~汗だく編その2~

2006-08-31 23:19:37 | 日々のこと
そうなのだ。『歩き出した』のだった。
そうなのだ。私は甘かったのだ。
驚くべきことに、私は決めたルートを全て『徒歩』で辿ろうとしていたのである。
理由は3つ。

1. 私は京都を甘く見ていた。
2. 私は地図の縮尺が分からないうえに、バスなんかに乗ったら迷うに違いないと信じていた。
3. 私は自分の足を信じていた。

ところが困ったことに、私は空腹に襲われていた。
東本願寺での無駄なダッシュが空腹を盛り上げていた。
ところで『デリシャスな昼食』とは、いわゆる京都ならではのものを差している。
つまり、湯豆腐なんかである。
だが『京都地図本』には、三十三間堂までの道程に湯豆腐料理屋が載っていなかった。
とにかく空腹は容赦ない。腹が減ると楽しさも減る。これ定説なり。
おまけに暑い。イヤらしい程にさんさんと照り輝く太陽。
そしてそんな道すがら、コイツに出会ってしまったのだ。

『ランチやってます シーフードカレーセット サラダ・コーヒー付 700円』

見ては行けない物を見てしまった。
カレーは私の大好物である。サラダもそう、そして何より食後のコーヒー。
コイツはいけねぇ、かなりの好条件だ。だけどちょっと待てよ。

全然、京都じゃないよね。

京都でなくても、むしろ全国津々浦々でお目にかかる類の看板である。
まさか、ここで妥協するのか。それでいいのか。だって目的は『デリシャスな昼食』。
凄まじい葛藤のさなか、私の頭の中のエンピツがこう書き込んだ。

『カレーだってデリシャスだぜ』

敗北。完全敗北。
仕方ない。腹が減っては何とやらと言うではないか。
シーフードカレーは、想像以上でも以下でもなく、紛れもなくシーフードカレーだった。
けれど、ここでの昼食は正解だった。
食後のコーヒーを飲みながら、再びエネルギーが四肢に漲っていくのを感じたのだ。
いいのだ。誰が何と言おうとコイツは今、京都で一番輝いているカレーに違いない。
カレーパワーで勢いづいた私、あっという間に三十三間堂に到着。
千手観音が1001体並ぶ堂内は圧巻。修学旅行で観た時の記憶も鮮明だ。
とはいうものの、あの頃は、千手観音像よりも二十八部衆の阿修羅像に釘付けだった。
『キン肉マン』でアシュラマンが好きだったという安直な理由である。
今観ると、観音様は一体一体が個性に富んでいて非常に面白い。
腹も満たされ知的好奇心も満たされ、調子に乗ってきた私、だんだん開き直ってきた。

「ひとり旅がなんぼのもんじゃい」

躊躇なく、女性2人組に写真撮影を頼む。
片方の女性が「こいつ、ひとり?」という顔をしたが、もうそんなのはどうでも良かった。
満面の笑みで撮ってもらうと次の目的地、清水寺へ。
汗は滝のように流れ出るが、もうそんなのもどうでも良かった。
競歩と見まごうばかりの早歩きで茶わん坂に到着。ここを上れば、清水寺。
その時、突然アジア系の外国人に話しかけられた。
「スミマセン」
これはまさか、怪しい宗教の人なのか。
ああやはり、ひとり旅にはこういう事はつきものなのか。そう思いながら、ぶっきらぼうに返事。
「はい」
「オチマシタヨ」
「はい?」
「ソレ、アナタノデショ」
「はい?」
後ろを振り返ると、私のハンドタオルが地面にくたっと寝ているではないか。
「あ、ありがとうございました!」
にこやかに去っていく彼の後ろ姿を見ながら、私は我が心の汚さを恥じた。
そうだよ、世の中そんなに捨てたもんじゃないんだよ。
清水寺に到着。早速カップルに撮影を頼む。
そうして勝手に確信した。私は今、このカップルより旅を楽しんでいる。
清水の舞台も堪能し、ここでひいたおみくじは『大吉』であった。
舞台を出てすぐの所に、えんむすびの神様を祀っている『地主神社』があった。
女性の観光客で物凄く賑わっている。ウーマンパワームンムンである。
ここに、『恋占いの石』というのがある。
神社を挟んで両端に2つの大きな石があり、一方の石から目を閉じて歩き反対の石に無事に辿り着くと恋の願いが叶うそうな。一緒に説明書きを読んでいた女性3人組が、
「えー、こんなの出来ないよねぇ」
「だって人いっぱいだしぃ」
などと話していたが、今の私は恐いもの知らずのうえに、他団体に対抗意識を燃やしていた。
「この世にできない事なんてあるものか。あたしゃやってやるさ。やってやるともさ」
そう思い立つと意を決して石を触り、目を閉じた。

よーい、スタート。

あの人やってるよ、という声が遠くで聞こえた。
時々人にぶつかる。その度に小さく「すみません」と言う。
意外と距離がある。まだか、まだか、まだなのか。
石までの道が永遠に続くように思われたその時、ゴツンと何かにぶつかった。
目を開く。反対側の石である。
やったぁ!と小躍りしかけて、はたと思い返した。実を言うと一度、薄目で見てしまったのだ。
あれを許容するか否か。あれを神様は許容してくれるのか。
ひとりでこんなに頑張ったんだから、許してはもらえないでしょうか。
ねぇ、神様。
けれど「うむ、許す」と答えてくれるはずもなかった。
御利益があるという水を飲み、清水寺を後にした。
すると、突然の雨。日傘で雨をしのぎ、それでも歩き続ける。
もう汗なんだか雨なんだか分からない程に、背中がしっとりしていた。
目指すは祇園。かの有名な祇園。
『京都地図本』によると、非常にうまい甘味処が点在している、祇園。
これぞ、本日のメインイベント。
甘いもの食べたい…甘いもの食べたい…そう念じながら前に進む。
ところが行けども行けども、祇園は見えて来ない。
心なしか、足取りも重い。
そう、ここに来て『徒歩』の弊害が出始めていたのだった。

(~完結編~につづく)

怒濤の京都~汗だく編その1~

2006-08-30 11:47:36 | 日々のこと
だが、ふとあることに気付いたのである。

『子どもはいつか飽きる』

舌を鳴らすよりももっと面白い遊びを見つけるか、眠くなるか。
飽きろ、飽きれば、飽きてしまえ。
全然頭に入らない小説を開きながら、私はそうひたすら祈り続けた。
しかし驚いた事にヤツは、
「ききききききららららららききききききらららららら」
と、物凄くビートを刻み始めたのである。
そうして私は、もう一つの事実にはたと気付いたのだった。

『子どもはどうでもいい事に楽しみを見出す』

ダメだ、ひたすら耐えるしかない。喉は渇いてない…渇いてない…渇いてない…。
そうして長い長い2時間が経過し、ようやく乗り継ぎの大和八木駅に着いたのだった。
電車を出るやいなやダッシュで売店に行き、お茶を購入。
「プハーッ」
よもやビールのCMに起用されるくらい、うまい飲みっぷりだ。
ついでにチョコレート(非常食といえばこれだ)と『京都地図本』という観光ガイドを購入。
おお、ここに来てようやく旅行らしくなってきたではないか。
やがて乗り継ぎ電車が到着。乗り込んで、お茶を飲みながら行き先を物色。
時間は限られているので、あまり遠い所には行けなさそうだ。
本当は三千院や寂光院の庭を観たかったが、日帰りではそうも行かない。
京都駅からすぐに行けるルートを決定。以下の通り。

京都駅→東本願寺→西本願寺→デリシャスな昼食→三十三間堂→清水寺→祇園のうまい甘味処(メインイベント)→京都をぶらぶら(京ぶら)→京都駅

非の打ち所のないルート選択。
そう、この段階では、私はこれが机上の空論である事に全く気付いていなかった。
京都駅到着。
修学旅行で登った京都タワーが出迎えてくれる。
ああ、これが京都どすえ…。
何やら変な訛りを心で噛みしめると、早速、東本願寺へ。
土曜日というのもあって、町には観光客があふれている。しかも、ほとんどが団体かカップル。
何故だろう。こういう時に別に寂しくもないのに見栄を張ろうとするのは。
私は、『ひとりで旅する女=寂しい女』だと思われたくなかった。
いや、本当に別に寂しくないのだ。むしろ進んでひとり旅に踏み出したのだから。
けれど何だろう。この他団体に沸き上がる『対抗意識』は。
信号待ちで、おじさん軍団と一緒になった。
ヤツらも東本願寺に行くつもりなのは明らかだった。
ヤツらと、一緒のタイミングで回ることになるのだけは嫌だ。
そう思った私は、青信号と同時に凄い早歩きで進み出した。遠ざかるおじさん軍団。
東本願寺。修学旅行で行ったと思うが憶えていなかった。
靴を備え付けのビニール袋に入れ、阿弥陀堂に入る。
よしよし、軍団はまだ来ていない。
立派な造りに感心しながら優雅に見学。お堂の中はひんやりとしていて気持ちいい。
早歩きで吹き出た汗を拭おうとハンカチを出そうとして、突如あることに気付いた。

靴がないっ!!

さっきまで手に持っていたはずだ。私は一生懸命記憶を辿った。
そういえば、お祈りをした時に脇に置いたような…。
まずい。靴はまずい。今ここで靴を盗られたら絶体絶命だ。靴は旅の命なのだ。
東本願寺の閑静な廊下をド派手なダッシュで駆け抜ける。
頼む。あってくれ。あっておくれぇぇ。
靴は白いビニール袋に入ったまま、ちょこんと佇んでいた。
ほっとしたのも束の間、さっきのおじさん軍団がゾロゾロと入ってくるではないか。
慌ててダッシュで廊下を往復。かつてこれほど東本願寺を駆け抜けた女がいただろうか。
いや、昔の人は駆け抜けたかもしれないな。
落ち着いて観る事なく、寺を出た私。この先に一抹の不安を感じ始めていた。
お寺を出てすぐの所に数珠等を売る露店があり、そこで私はある物に目を留めた。

「あ、カメラだ」

カメラ。紙一重の代物である。
写真を撮るのが趣味でもない限り、ひとり旅で持っちゃいけない代物である。
特に使い捨ては良くない。使い捨てで景色だけ撮るのは、何やらもの悲しいではないか。
となると、やはり自分と名所を一緒に写すのが妥当。
となると、やはり誰かに頼んで撮ってもらうのが妥当。
ところが、やはり撮ってくれる人がこう思うのも、至極妥当。

「こいつ、ひとりで何やってんだ」

長い葛藤の末、私はカメラを購入する決心をした。
こんな変な旅、形に残しておかない手はない。
数珠に群がるおばちゃん軍団に手こずりながら、私はカメラを買った。
そして、東本願寺の前で勇気を出して、出来るだけ明るく声をかけた。
「すみません。写真撮ってもらえませんか?」
私は寂しくない。ひとり旅だけど物凄く楽しんでいるのよ。
そういうオーラを出しまくる。
だけど撮ってくれたおじさんの顔はこう語っていた。

「こいつ、ひとりで楽しいのか」

敗北。完全な敗北だった。
とぼとぼと歩きながら、そういえば朝から何も食べていない事に気付いた。

「西本願寺はやめよう。デリシャスな昼食を、食べよう」

そうして私は西本願寺に背を向け、三十三間堂方面へ歩き出したのだった。

(~汗だく編その2~に続く)

怒濤の京都~つまずき編~

2006-08-29 11:03:29 | 日々のこと
あの台詞は本当だなぁと、感心したのである。

「そうだ、京都に行こう」

まさにその通りのフレーズが、突然頭をよぎったからだ。
けれど交通手段はJRではなく近鉄。JRのキャッチコピーに対しての背徳行為だ。
ところが近鉄で行くという以外、何一つ決めていなかった。
だって「そうだ、京都に行こう」なのだ。いわゆる行き当たりばったりなのだ。
思えば私の人生もそう。常に行き当たりばったりだ。
やはり人生は旅行なのだ。
近鉄の窓口のおじさんは冷たかった。いや、間違えていた私が悪いのだ。
「すみません、アーバンライナーって京都まで行きますか?」
おじさんは鼻で思い切り笑って、
「あのね、アーバンライナーは京都行かないの」
私の頭の中の消しゴムが、自信の全てを真っ白に消し去った。
思えば、この出だしのつまずきが悪かったのかもしれない。
何故だろう。アーバンライナーは京都を通ると私は信じ込んでいた。
だが良く考えればアーバン(都会)とライナー(線)である。
京都はそりゃあその名の通り『都』だが、都会と言うよりむしろ観光地。
「じゃ、どうやって行けばいいんでしょうか」
恐る恐る聞く私に、さらにおじさんは冷たく言い放った。
「特急乗り継いでもらうしかないよ。2時間50分もかかるけどいいの?」
「いいです」
「ホントに?2時間50分だよ」
「いいです。大丈夫です」
「じゃ9時30分のでいい?」
「いいです」
「乗り換えが1回あるけどいいの?」
「いいです。大丈夫です」
早くおじさんの冷たさから逃れたい一心でイイデスイイデス言うイイデスマシーンになった私。
そうしてせかせかとチケットを買った。思えばこれも良くなかった。
時計を見たら既に9時28分。
急いで電車に乗り込み、ふうとひと息つく。ようやく少しの安心を手に入れる。
そうだ、これからめくるめく『ぶらり京都ひとり旅』が始まるのだ。
高鳴る胸。ふくらむ期待。中学校の修学旅行以来の京都。憧れの京都。
私と私の想いを乗せた夢列車(by欽ちゃん)は、ゆっくりと走り出したのだった。
流れていく景色を見ながら、余裕が出てきた私。
『さぁてコーヒーでも飲もうかなぁ』
と思ってから、ハッと気付いた。

…あ。新幹線じゃないんだから、売り子さんは来ないんだ。

だけど焦っていたせいで、何も飲み物も買っていなかった。
だけど焦っていたせいで、喉はめちゃくちゃ渇いていた。
ふと、母が以前、大雪のせいで8時間も電車に閉じ込められた時の話を思い出した。
「いつ何が起こるか分からないから、飲み物だけは持ち歩いた方がいいよ」
いいよ…いいよ…いいよ…。母の声が頭の中に響き渡る。
乗り継ぎの駅までは2時間近くある。やばい、考えれば考えるほど、喉が渇いてくる。
落ち着け。冷静に考えろ。
選択肢は3つある。

1.次の駅に止まった瞬間、ダッシュで飲み物を買う。
2.近くの席の人に「それ、ひと口貰えませんか?」と言う。
3.とにかく我慢する。

1番は危険。2番は変。どう考えても、3番が妥当。
小説でも読んで気を紛らわそうと、川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』を読む。
大丈夫、小説に熱中してしまえば良いのだ。
ところが思いも寄らない刺客が登場。次の駅で乗り込んできた2人組のおばちゃんだ。
通路を挟んだ席に着くや否や、ガサガサと包みを広げ始めた。
「やっぱりおにぎりにはお茶やなぁ」
「お茶はお茶でも煎茶に限るなぁ」
頼む。飲み物の話はやめてくれ。
そんな願いに気付くはずもなく、ゴクゴクと喉を鳴らしながらお茶を飲むおばちゃん。
残り1時間50分。ええい、こうなったら砂漠だ。砂漠を旅している人を見習おう。
ところがさらなる刺客が登場した。斜め後ろの子どもである。
ヤツは舌を鳴らして音階を刻むという、非常に『口中』を意識させる行動に出始めた。
しかも、ヤツの舌鳴らしは異常に上手い。
「きーらーきーらーひーかーるー、おーそーらーのーほーしーよー」
聴きたくなくても聴いてしまうそのやたら可愛らしいメロディーライン。
舌鳴らし…舌…喉…喉渇いた…喉渇いた…喉渇いた…。ダメだ、どうしても考えてしまう。
選択肢は3つ。

1.ヤツに「舌鳴らすの止めろコラァ」と言ってやる。
2.おばちゃんに煎茶をひと口貰う。
3.とにかく我慢する。

1番は横暴。2番は勇気なし。やはり、3番しかない。
後1時間30分。こうなったらボクサーだ。減量中のボクサーを見習おう。
かくして雅やかな京都旅行は、初っ端から過酷な耐久レースのような幕開けとなったのだった。

(~汗だく編~につづく)

ぶらり京都一人旅

2006-08-26 18:07:29 | 日々のこと
 突如、初めての一人旅。
 とは言うものの、日帰り。
 一人旅ミラクル、起こりまくり。
 紀行文は、待て次号。

 タワー好きには堪らない、京都タワー。
 中学の修学旅行の時、階段降りるのが怖くて号泣したのを思い出した。
 階段の隙間から、一番下まで丸見えでしたから。
 今もあんな風なのかな。

冥王星よ、永遠なれ

2006-08-25 02:45:02 | 芝居のこと
 一昨日、教えている学校の全体講師会議と懇親会。
 学校の進級公演の為に50分位の台本を書くのが正式決定。締切は9月末まで。
 劇団の台本も9月末まで。
 リレー台本もそろそろ回ってくる。
 実はこれが一番ドキドキである。
 一つずつ片付けようと、依頼されていた15分の短編劇を昨日書き上げた。
 中川区民まつりで上演するモリゾー・キッコロが出演する芝居です。
 以前、区役所が公募したモリコロにちなんだストーリーの中から優秀作品を選定。
 優秀作品が2つだったので、区役所の方と相談して2つを合体させたホンにした。
 詳細が分かったら、お知らせします。
 一つ終わってほっとしていたが、良く考えたら来週からリレー台本の稽古があるのだった。
 ホン書きより何より、それが一番心配である。
 とりあえず、近所を走ってみたり。
 とりあえず、風呂上がりにストレッチとか筋トレしてみたり。
 そうですよ。体を動かして心を紛らわす作戦ですよ。
 まぁええじゃないか。
 そういや冥王星が惑星から格下げになったとのこと。
 星ながら可哀想な気持ちになりました。
 奴は何も悪くないのにね。

 水金地火木土天海。
 締まらないすね。

 写真→最近書く時にお香を炊いてます。良いんです、これが。

突然、目が覚めたり

2006-08-23 11:58:45 | 日々のこと
 先週ずっと。
 眠っても眠ってもなお、眠かった。
 「そういう時は、体にしろ心にしろ疲れてんだから眠っせ(眠れ)」
 電話で母に言われたので逆らわずに眠った。眠り倒しである。
 そして今週。
 突然パッと「目が覚めた」。
 全てにおいて、目が覚めたと確信。
 先週の眠気はこの目覚めの為にあったのだ。
 と、何やらスピリチュアルな話だが、いやぁ清々しいもんですわ。
 いかに目覚めていないのに目覚めたふりしてババンバンしていたか。
 一人反省会。
 驚くべきは覚めた目で見返すと気付く事の多いこと多いこと。
 そんな時もある。
 常にシャキッと物事の真理が見える人なんて、そうはいないのです。

 写真は、素敵なカップだったので。服の色に合わせてくれたようです。
 そんな事すらどうでも良かった先週の自分。プライスダウン。

天国と地獄

2006-08-19 23:56:25 | 映画のこと
 という映画が面白かった。クロサワ作品。
 それはさておき。
 今日はまさにタイトルどおりの一日だった。
 朝早起きして、掃除洗濯を済ませ、半身浴。
 なかなか順調なスタートを切れた。天国。
 佃さんが書いた劇団うりんこのお芝居を観に行くため、準備。
 ところがストッキングを履こうとしたら、ビリッとやってしまった。地獄。
 仕方ないので途中のコンビニで買って履こうと、とりあえず出かける。
 念のため2足買い、地下鉄のトイレで履こうとしたら何とまた…やっちまいました。地獄。
 「あぁ勿体ない」ともう1足の値段が高い方を履く。
 ところが焦っているのが悪いのだろう。またもや小さく穴があいた。連続地獄。
 「うぎゃあ」と悲鳴を上げ、そうになった。
 だが幸いにも、まだ食い止められる範疇。
 買おうと思っていたマニキュアのトップコートを手に入れ、伝線を食い止める。ふぅ。
 で、うりんこ。児童劇だから子どもがいっぱい。大人もいっぱい。満席。
 面白かった。
 特に成瀬くん(さん?)役の年配の役者さんのバスケ。面白天国。
 帰り、たまたま一緒になった加藤裕子嬢に駅まで送ってもらう。ありがた天国。
 同じくたまたま一緒になった徳留くんも一緒。
 私は星ヶ丘で降りて遅い昼を食べようと三越のアフタヌーンティーへ。
 写真の小海老入りホウレン草クリームパスタを食べる。嗚呼…天国。
 食事後、ぶらぶらと三越を見て回る。
 見るだけで楽しい。ウインドウ天国。
 本屋に差し掛かった辺りで館内アナウンス。
 屋上の映画館で20分後に『嫌われ松子の一生』を上演するとのこと。
 何てラッキー。見逃してたので。天国真っ盛り。
 ようやく観られた。
 原作を先に読んでいたので、あぁこうしたんだぁと思いながら観たが、好きだった。
 監督は、原作が好きだからこそ大胆な作り方が出来る繊細さがあるのだろう。そんな感覚。
 中谷美紀が思い切っていた。確かに、彼女は松子だった。
 妹の久美と龍と岡野と八女川が気になっていたが、頷くキャスティングでした。
 だけど岡野と八女川がもう少し観たかったなぁ。
 とか思いながら携帯の電源を入れて、地下鉄の階段を歩いていたら、突然目の前の景色が揺れる。
 気付くと、地面にうつぶせで潰れた蛙みたいに倒れていた。
 はい。いい歳して階段踏み外しました。はい4段も。はい地獄。
 言うまでもなくストッキングビリビリ。打った膝が赤い。
 だけど『松子』を観た後だったのが良かった。
 松子が物凄く階段を転げ落ちる場面があって、あれよりはマシと思えたのだった。
 とまぁこんな一日は、実家から送られて来たうまい桃(天国)が痛むのを恐れ、何とか今日中にと宅配便営業所まで痛む足を引きずりながら(地獄)汗だくで取りに行くこと(地獄)で締め括られるのであった。
 けどもう良い。桃がうまいので許す。もう何もかも許す。
 終わり良ければ何とやらである。

 『天国と 地獄は常に 紙一重』
 俳句の日の締め括りでした。だって8月19日だからね。
 ホントかは知らんけどね。

そうそう、いつもゆれてるんだ

2006-08-15 19:14:24 | 映画のこと
 映画『ゆれる』を観た。
 それで色々と思い出したのだ。
 そうだった。いつもゆれてるんだった。
 そう気付かせてくれたのが、良かった。
 人も物も何もかも全てはっきりした何かであるわけではない。
 そう思い出させてくれたのが、収穫。
 『ゆれ』の真っ只中にいると、ゆれてる事に気付かないから。

 前半から中盤までが、ミステリー仕立てに進んでいく。
 それで、飽きずにどっぷり観られる。
 一歩間違うと火サス(もしくは土ワイ)というスレスレ土俵際の気持ちいいラインを行く。
 これが上手いなぁと思う。
 すると、そのうちミステリーなんかどうでも良くなってくる。
 どんどん地味に、内へ内へこもろうとするから。
 この話の持っていき方に監督の、純文学好きの香りを感じた。

 後半、少しもたついた感があったが、それをオダギリジョーで保たす保たす。
 ジョーを見直しました。って私に見直されても仕方ないでしょうが。
 私、何せジョーファンですから。
 ちょっと贔屓目かも知れません。
 笑ってるような泣いてるようなあの顔の造りが内面の『ゆれ』度をさらに助けていた。
 あと、兄役の香川照之がはまっていた。
 そうです、浜木綿子の息子です。
 浜木綿子は、火サスの『女監察医室生亜季子シリーズ』でお馴染みのあの人です。
 古くは『クイズなっとく歴史館』(※)の回答者として、その頭の良さと育ちの良さを存分に出していた香川照之。
 やりますね。香川照之。

 ジョー扮する弟が、昔何かあったような雰囲気の女を車で送っている時の、車内に充満するぎこちない敬語のやり取り。それが壊れた時の変化。
 それと、兄と弟が最後に面会室で話す場面の二人の間に流れる空気。
 この2つが特に好きだった。
 
 映画は良い。一人で行くのがなお良い。
 と、ぐるぐる考えていたら中元志津も観たのを知った。すぐさま電話。

 ※『クイズなっとく歴史館』
 リンドバーグを結成する前のアイドル時代の渡瀬マキが出ていたり。
 再現VTRにきたろうが出ていたり、とにかくがむしゃらに好きだったクイズ番組。

だって夏だから

2006-08-15 03:11:19 | 日々のこと
 『黒烏龍茶』ばかり飲んでいる。
 脂肪の吸収を抑えるのも魅力だが、何よりあの苦みが好きだ。
 『ホット黒烏龍茶』が早く発売されれば良いのになぁと心底思う。
 8月に入り、とうとう愛用していた自販機からすら、ホットが消えた。
 今はただ、悲しみに打ちひしがれている。
 もう頼みの綱はコンビニだけとなった。
 むろん、家では普通に湯を沸かして飲んでいるのだけれど、そういう問題ではない。
 とにかくただ悲しく、ただ悔しいのである。
 夏だってホット、むしろ夏だからホット。

 似たような思いを抱くことに、冬はシャーベット系のアイスが激減するというのがある。
 冬とてシャリシャリ、むしろ冬ゆえにシャリシャリ。

 さて、少し遠ざかるが、カレーとライスは分けて出して欲しいのだ。
 ご飯は白い。白いはご飯。
 とにかく白いご飯大好きガールである。
 ドンブリとかあり得ないですから。
 ましてや、つゆだくとかあり得ないですから。
 某牛丼屋では『つゆなし』もしくは『牛皿とご飯』ですから。
 チャーハンとか雑炊とかリゾットとかまで行くと問題ないんすけどね。
 「我々はご飯を使ったこういう料理なんです」という潔さがありますから。ヤツらには。
 それに比べてドンブリとか「あ、弁当のおかずとご飯混ざっちゃった」とかの曖昧さと来たら。
 ご飯は白い。白いはご飯です。

 とはいえ、まぁマイノリティーには厳しい世の中です。
 地下鉄の自動改札機にも左利き用が欲しいですしね。
 まぁ今だにうまく通せずキンコンと止められる事があるのは、私がトロいだけなんですけどね。

書き上がり、また書き始める

2006-08-13 22:47:30 | ホンのこと
 『朝は勝手に生まれ変わる』が書き上がる。
 有言実行、続行中。
 果たして刈馬くんは、どう感じることやら。
 どのように演出されるのか楽しみであります。

 で、次にかかる。
 秋にイベントにつかう、15分くらいの特殊なホン。
 詳細はまた今度。

 明日は19時より、NHK中学生日記『ワンダブルライフ』が再放送します。
 巷はお盆ですが、良ければ観てください。

 巷はお盆ですが、私は帰れません。
 書いて食べて掃除して寝て風呂に入って稽古して書いて食べて過ごします。
 故郷に思いを馳せて、城。