（参考 新約聖書 １９５４年改訳 日本聖書協会）
＜ヨハネによる福音書第三章（４・１―４２ イエスとサマリヤの女）
４・１５―２６ 真の礼拝について
１５．女はイエスに言った、「主よ、わたしがかわくことがなく、また、ここにくみにこなくてもよいように、その水をわたしに下さい」。
１６．イエスは女に言われた、「あなたの夫を呼びに行って、ここに連れてきなさい」。
１７．女は答えて行った、「わたしには夫はありません」。イエスは女に言われた、「夫がないと言ったのは、もっともだ。
１８．あなたには５人の夫があったが、今のはあなたの夫ではない。あなたの言葉のとおりである」。
１９．女はイエスに言った、「主よ、私はあなたを預言者とみます。
２０．わたしたちの先祖は、この山で礼拝をしたのですが、あなたがたは礼拝すべき場所は、エルサレムにあると言っています」。
２１．イエスは女に言われた、「女よ、わたしの言うことを信じなさい。あなたがたが、この山でも、またエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。
２２．あなたがたは自分の知らないものを拝んでいるが、わたしたちは知っているかたを礼拝している。救はユダヤ人から来るからである。
２３．しかし。まことの礼拝をする者たちが、霊とまこととをもって父を礼拝する時がくる。そうだ、今きている。父は、このような礼拝をする者たちを求めておられるからである。
２４．神は霊であるから、礼拝をする者も、霊とまこととをもって礼拝すべきである」。
２５．女はイエスに言った、「わたしは、キリストと呼ばれるメシアがこられることを知っています。そのかたがこられたならば、わたしたちに、いっさいのことを知らせて下さるでしょう」。
２６．イエスは女に言われた、「あなたと話をしているこのわたしが、それである」。
（参考 新約聖書略解 日本基督教団出版局）
・１６．《夫》は、サマリヤ人の礼拝する神をいう。したがってサマリヤの女は、サマリヤ人の象徴である。
・《生ける水》の問題は、人々の礼拝する神の問題である。そこでイエスは女に、《あなたの夫を、ここに連れてきなさい》と言った。
・《５人の夫》は、アッシリヤ人がサマリヤに移住させた五民族の神々をさす。《今の》夫は、当時サマリヤ人が礼拝していたヤハウェのこと。それは他の神々と混合して、半ば偶像化していたヤハウェであった。真の《夫》はサマリヤ人にはなかった。
・１９．２９．女はイエスを常人以上の《預言者》と見た。そこで平素苦しめられていた、真の礼拝の場所はゲリジムかエルサレムか、という切実な問題を持ち出して、その解決をイエスにこうた。
・イエスはその問いに対して、問題は礼拝の場所にあるのではなく、礼拝者たちの心の持ち方にある。心の持ち方が正しいなら、礼拝の場所は問題にならない。イエスが来たことによって、この問題は解決された。ゆえに《この山でも、またエルサレムでもない所で、父を礼拝する時がくる》否、すでに来ている。
・《救はユダヤ人から来る》救済史的に見て、ユダヤ人は神の選びを受け、神の救いの働きに参加する栄誉とを持っている。
・２３．しかしユダヤ人もまだ《まことの礼拝》をしているのではない。
・《霊とまこととをもって礼拝する》ことは、神の愛と神の真実の具現者であるイエスの仲介によって可能である。
・２４．自己中心的な願望に導かれ、勝手に礼拝をしてはならない。真の礼拝は、霊により一致においてなされなければならない。
・２５．女、は礼拝に関する問題の一切の解決者が、きたるべきメシヤであることを知っていた。そして、イエスの言葉によって、それを思い出した。
