(政教一体)公明党・創価学会 政権参加を問う しんぶん赤旗・特別取材班
新日本出版社 800- 2000/3
-------(P47)--以下、本文--
第二部 自自公連立の軌跡をみる
◆ 竹下元首相のつぶやき
「小沢君とも、秋谷会長とも話ができるわなぁ」
「もし自由民主党が過半数の議席を失うというようなことになつた場合、公明党に手をさしのべてこれとの連立によって圧倒的多数の政権を構成するならば、そのときは、日本の保守独裁体制が明らかにファシズムへのワンステップを踏みだすときではないか」
創価学会・公明党の言論出版妨害と命をかけてたたかい、一九九九年三月、七十七歳で没した政治評論家・藤原弘達氏が、約三十年前に発した警告(『創価学会を斬る』)です。
九九年十月五日、鳴り物入りで発足した自自公連立政権(小渕第二次改造内閣)は、実に衆院議席の七一・四%(参院は五五・九%)を占める文字通りの「圧倒的多数」。しかも、すでに政権発足前から、戦争法(ガイドライン法)、盗聴法、「国旗・国歌」法など自民党単独では不可能だつたファッショ的悪法をつぎつぎに強行成立させてきた経緯をみるなら、藤原氏の警告が決して過去のものでなく、いよいよ重みを増しているといえます。
「大政翼賛会ばりの巨大与党」(「朝曰新聞」早野透編集委員)との指摘さえある自自公連立政権は、どのようにして成立したのか。その軌跡をたどってみましょう。
◆「数は力」の“政治哲学”で
九八年七月の参院選で自民党が惨敗。橋本龍太郎首相の進退が問題になると、小渕派オーナーで小渕氏の「後見人」を任じる元首相竹下登氏は、こうのべました。
「それ(橋本退陣)が武士だわな」
この一言で、首相退陣が决定的になり、自民党は新総理候補を選ぶための総裁選へ。
“秘蔵っ子”小渕氏を何としても政権の座に--これが、現在「変形性脊椎症」の病名で都内の病院に人院、加療中の竹下氏のだれはばかることのない悲願でした。
--田中角栄元首相ゆずりの「数は力」の“政治哲学”で自民党内は押さえきれる。しかし、問題は参院の深刻な過半数割れ。衆院も総選挙後の「一本釣り」でかろうじて多数を保っているだけ……。周辺のそんな不安をよそに、竹下氏は側近の古参議員らに、ポソッとつぶやいたといいます。
「まあ、小沢君(一郎・自由党党首)とは、話ができるわなぁ」
「創価学会の秋谷(栄之助)会長とも、話ができるわなぁ」
竹下氏のこのつぶやきこそ、自自公連立へのスタートを告げる号砲そのものだったのです。側近らの動きもあわただしくなる--。
それからほほ一年。九九年七月二十五日付「毎日新聞」朝刊は、一面トップで次のように報じました。
「自自は『クッション』」「本命は自公 昨夏にシナリオ竹下氏、秋谷創価学会会長と会談」
(「巨大与党検証『自自公』」連載①)
それによると--。九八年年八月中旬、竹下-秋谷会談が山梨・河口湖にある「共通の友人の別荘」でおこなわれ、竹下氏が公明党の小渕首相への協力を要請。「参院で大幅過半数割れ」した自民党は「新たな政権の枠組みづくり」を迫られ、「創価学会側も敵対する共産党が参院選で躍進したことに危機感を募らせ……要請を受け入れた」。
会談は自民の「公明党に対する本格的な働き掛けの皮切りとなった」。
神崎武法公明党代表は野中広務官房長官に「それ(自公連立)にはクッションが必要だ」と「メッセージを投げかけた」報道が事実なら、竹下氏は側近へのつぶやきを、すかさず実行に移していたことになります。
◆訂正や謝罪 紙面になし
これについて、創価学会側は表向きは沈黙したまま。代わりに公明党の冬柴鉄三幹事長が「秋谷・竹下会談そのものがなかったということを、学会側関係者は明確にされています」「そこから始まったという会談そのものがなかった以上、学会が(連立を)主導したという話自体、なりたたない」(「公明新聞」九九年九月三日付)と全面否定しています。これほど重大問題なのに、創価学会の態度はどうしたことか--。
一方、「毎日新聞」の現在までの紙面を見る限り、この報道についての訂正や謝罪をした形跡は、一切見当たりません。
ところで、政治の表舞台の動きはどうだったのか。
参院選後の九八年七月三十日、小渕氏が戦後二十五番目の首相に選出されます。その際、参院では野党が結束、決選投票で菅直人民主党代表を首相に指名しましたが、公明(後に公明党)も同調しています。
政界が、にわかにあわただしさを増すのは、大手銀行を国民の血税で救済する「金融国会」と呼ばれたこの国会が、終盤を迎えたころ。参院本会議(九八年十月十六日)で、“小渕派のプリンス”額賀福志郎防衛庁長官の問責決議案が、公明もふくむ野党の賛成で可決されたのです。
閣僚の問責決議が可決されたのは、戦後初めてのことでした。
---------(52P)-------つづく--
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