「ここではドイツ語で話すのが礼儀だ。」といった彼女に対して「そんなこと大きなお世話だ、関係ないもんね。」と言い返したのが癪に障ったのか、彼女は私との関係を冷戦状態に持ち込むつもりのようで挨拶ひとつしないで無視することにしたようだ。続けて説教してやろうというか100倍にして返してやろうと思っていたけど、しょうがないわけで、私は他のドイツ人たちとはにこやかにドイツ語でおしゃべりし、日本人とは日本語でしゃべっている。
くやしかったら、母国語と外国語を使い分けて見ろってなもんで。
今度何か文句言ったら、売り言葉に買い言葉になるけれど私らには最後の切り札、捨て台詞があるのよね。それは「あんたみたいに傲慢で非寛容で外国人嫌いのドイツ人が60年前にユダヤ人を虐殺したんだろう。あんたもヒットラーユーゲントだったの?」という台詞。 ナチスとかヒットラーの子かという文句をいうとたいていのドイツ人はしょげるかいきり立って怒るんだけどね。本当はあのくそ婆あにこれを言ってやりたいんだけど、今週のところは押さえている私。
会社の同僚であるポーランド人に事の一部始終を話したら、これはドイツ人のメンタリティの問題で、ドイツ人の集団に外人が紛れ込んで彼らが自分たちのわからない外国語で話し出すのを非常に嫌うのだと言っていた。それは理解できますよ。多分ドイツ人だけでなく他の言語集団でも違和感を持つだろう。でもね、時代は60年前ではなく、多国籍人種の住む現在の都会での話しですよ。外国語にアレルギーを持ち、非寛容になるのではなく関心を持つことから理解しあえるんじゃないの。
これまで8年近く一緒にバレエやってきて突然こんなこと言い出したところを見るとこの小学校の校長先生は今年65歳の定年退職を前にしてアルツハイマーの兆候を示しているのかもね・・。何しろそうでなくっても変わった人だから。