この度パリのユシェット座で観た朗読劇の「春琴」については
こちらの春琴のサイトでどうぞ。
・・というわけですでに3週間近く前の話になるけれど、昼間はオルセー美術館で絵画を堪能して夜は芝居観劇と、日頃地球を叩いて・・というか傷つけながらゴルフ場をのし歩いている私とは正反対のとってもカルチャーな10月5日なのだった。
オルセー美術館を出て近くのカフェでランチの後ホテルで休憩。夕方バスに乗って14区の区役所まで行く。
「春琴」の公演に合わせて谷崎潤一郎を偲ぶ会というものが企画されていて幼馴染のCちゃんのお姉さんが司会進行を務めたのでそれを見学に行ったのだった。
谷崎を偲ぶ会が催された14区の区役所の部屋。りっぱな部屋でした。
フランスでは谷崎潤一郎は有名な作家なのだねえ。日本ではもう過去の人って感じですが。会では谷崎の生い立ちから亡くなるまでの紹介などがあったけど、あれだけの写真などをコピーライトをクリアしながら集めるのは大変だったらしい。その後彼の作品の一部の日本語とフランス語による朗読や谷崎研究家らによる発表が続き後はQ and Aとなったけど、如何せんすべてフランス語。私のつたないフランス語力ではどうにもならないくらいに小難しい話が続き退屈であったけど、どうにか最後の軽食まで持ちこたえ会場の外に用意してあった巻物やカナペ類をパクついて早々に退散。バスで再び芝居小屋のあるサン・ミシェルまで戻る。
Theatre de la Huchette
芝居小屋のユシェット座はサン・ミシェルの観光客で賑わう小さな通りにあって、イヨネスコの「授業」と「禿げの女歌手」という芝居を1957年以来50年間毎日やっているという由緒ある劇場なのだった。昔渋谷にあったジャンジャンみたい。
渋谷ジャンジャンでは1972年から11年間中村伸郎による芝居「授業」がかかっていたのだった。いつもパルコに買い物に行く途中にジャンジャンの前を通り過ぎては中村伸郎の芝居「授業」をそのうち観に行きたいな・・と思いつつ果たせないままだった。残念!彼も亡くなったし、ジャンジャン自体が無くなってしまった。やっぱり、「そのうち」なんて思っているようじゃだめなんだよね。したい、見たい、行きたいと思った時に行動しなくてはいけないのだ。
さて、パリのユシェット座での「春琴」公演。脚本を担当した竹田真砂子さんも、これをフランス語に訳したCちゃんのお姉さんの松本美栄子さんも公演に間に合うように区役所から戻ってきで、夜の9時から劇が始まった。
あんなに小さな芝居小屋でどんな劇になるのやら・・と思っているとナレーター役と春琴、佐助の3人によるアクションなしの朗読劇であった。それに日本からわざわざ呼んだ琴と三味線の演奏家2人。
ナレーター役は日本でも結構有名な役者で演出家の二コラ・バタイユ。春琴と佐助役の2人はこの劇場付きの役者らしい。
「春琴抄」といえば百恵と友和の映画しか知らない私とCちゃんだったけど、大体の筋を知っているのでフランス語による朗読劇も充分楽しめた。
それにしても佐助のマゾヒスティックな愛と献身はう~んやっぱりたいしたもんだ。谷崎の追求する究極の愛?
私も佐助どんのような人が欲しいよ~~。
でも考えて見たら友人のRちゃんは結構佐助どんに近いかも・・と思った一夜であった。チャンチャン。