アメリカン・ビューティーソニー・ピクチャーズこのアイテムの詳細を見る |
今晩というか明朝というかもうじき今年のアカデミー賞が決まるけど、最近シネマで見た唯一のアメリカ映画「ブロークバックマウンテン」が大賞を取るといいなあ。
アカデミー賞に因んで6年前の大賞作品でまだ見てなかった「アメリカン・ビューティー」のヴィデオを借りてきた。こういう作品ならアメリカ物でも好きだわ。
私が子供だった頃アメリカの家族風景は憧れだった。大きな家に大きなキッチン、緑の芝生に大きな自家用車。「わんぱくデニス」「パパは何でも知っている」「うちのママは世界一」「恋するカレン」等等・・。あれから約半世紀が過ぎて、アメリカの郊外にあるきれいな住宅の中に住む家族は単に幸せを演じる対外CM用の家族となり実際はバラバラに崩壊しているのだ・・というのを半分コメディタッチ、半分シリアスタッチで描いた作品。ケヴィン・スペイシーの冴えない中年男がいい味だしている。
広告業界で働くレスターはリストラされるが上司の悪事をネタに退職金をがっぽりせしめてハンバーグ屋でバイトを始める。妻のキャロリンは不動産ブローカーで虚栄心の強い女。2人の夫婦関係はすでに壊れている。娘のジェーンは高校生で反抗期の最中。レスターは娘の同級生のアンジェラのチアガール姿を見て惚れ込んでしまう。ある時隣に元軍隊大佐だった男の一家が引っ越してくるが、ここにも問題児の息子リッキーと亭主関白で軍体調の律し方しか知らない夫とそれに疲れた妻の姿が・・。そのうち、レスターの妻キャロリンは仕事敵の男と浮気を始め、娘のジェーンは隣のリッキーと仲良くなるのだが、レスターとリッキーがたまたまガレージに2人でいるところを隣から盗み見ていた大佐は2人がホモの関係を結んでいると誤解してしまい、帰ってきたリっキーを殴りつけ出て行けと罵る。リッキーはジェーンに駆け落ちしようと持ちかけ、隠れホモだった大佐はレスターのところに行って彼を誘うがあえなく拒絶され、すごすごと帰るのだが・・・・。レスターはアンジェラと寝ようとするが、彼女が口先ばかりで実はまだ未経験だと知って手を出すのをやめる。このあたり、平気で援助交際という買春をやる日本の中年親父よりまだモラルがあるかも。最後の瞬間にレスターはアメリカの美を思い出しながら死ねたのだろうか。その死に顔には穏やかな微笑みが・・。エンディングに流れるビートルズの「ビコーズ」の詩と曲が賛美歌のようで絶妙に合っている。
配役の一人一人にドラマがあって、映画の作り方は私の好きなロバート・アルトマン監督の作品に通じるものがある。なるほどね、アカデミー大賞あげてもいい作品だ・・って、取ったんだけどね。
そう言えば昔テレビドラマで山田太一の「岸辺のアルバム」というのがあったっけ。あれも家族の崩壊と再生を多摩川の決壊にかけて描いていたけど、あの中の夫はいかにも日本的な仕事人間で、そういう生き方に疑問のひとつも持ってないような男で、魅力なかった・・。あれでは妻は他の男に走っても納得だ。もう内容はちゃんと覚えてないけど、テーマ曲だったジャニス・イアンの「Will you dance」というのが良かった。