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ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

最近、「えっ!」と思う鉄道事故が多い

2025年02月08日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

最近の事故は「想像外」

 

最近の鉄道事故は私にとって「えっ!」と思う事故が多い。「想定内」「想定外」は当事者の対応力なので、私個人の「えっ!」は「想像外」です。事故は「想定外」だから起きるんだろうけど、「想定内」だったら手抜きというべきです。

 

下に書く鉄道事故は、当事者にとって「想定内」だったのか、「想定外」だったのか?

 

国鉄(JR)京都線の快速は昔から速かった

 

その前にちょっと寄り道します。鉄道関係のネットに「特急なのに『新快速』よりも遅い!? 関空特急『はるか』の『ゆっくりダイヤ』の理由とは」という記事が出ている。これは、JR京都駅を同時に出る関空特急「はるか」よりも、新快速がJR新大阪駅に速く着くというもの。理由は、京都駅付近で単線になる山陰線(嵯峨野線)の線路を使うから。

 

新快速がなく快速が走っていた私の子供の頃も、快速の方が特急より速かった。東海道線(京都線)は複々線で、内側線を特急や各停(普通)が走り、外側線を快速が走っていた。快速は、京都駅を出ると大阪駅までノンストップでした。新幹線が出来てからも、快速は新大阪駅を通過していた?(ここのところの記憶はハッキリしない)

 

京都駅から快速に乗ると、途中で特急や急行に追い付き、しばらく並走した後追い抜いていくのが快感でした。ここのところは下記のブログにも書いている。

2022年10月2日のブログ「鉄道フェイクニュース 関西の東海道線『快速』他

2023年10月29日「昔々の京都―大阪間の電車について

 

最近の鉄道事故は基本を怠ったことで発生している

 

  • JR山陽線新山口駅構内で起きた貨物列車の機関車の脱線事故

 

この事故は、2024年8月14日の「機関車の脱線、保守車両の衝突、基本中の基本がなっていない」で取り上げている。

このブログでは、2024年7月24日にJR山陽線新山口駅構内で起きた貨物列車の機関車の脱線事故と、2024年7月22日深夜に起きた東海道新幹線の保守用車両同士の衝突事故について書いている。貨物列車の機関車の脱線事故は、車輪を輪軸に挿入する時の数値の改竄と関係しているかどうか? 保守用車両同士の衝突事故は「想定外」というよりは、作業の基本を怠ったことで発生している。

 

2024年10月11日の「JRは初歩を忘れている

このブログでは、車輪を輪軸に挿入する時の数値の改竄と9月19日に起きた東北新幹線の連結器が外れた事故について書いている。この二件の事故は「想定外」と言えない。

 

最近の鉄道事故は私の想像外

 

  • 北海道の貨物列車脱線事故は錆びてレールが細くなっていた

 

これは、JR函館線で2024年11月16日に21両編成の貨物列車が脱線した事故です。11月18日には原因が発表されています。それは、脱線が始まった踏切付近のレールの腹部が腐食で細くなっていた。(下図参照)

その場所「鷲ノ木道路踏切」をGoogleマップで見ると下記の場所(「踏切」と書いてある場所)のようです。

「鷲ノ木道路踏切」の位置関係

この踏切の位置とレールの錆びを考えると、海水がレールを錆びさせたと考えるのが妥当と思う。しかし、この踏切は海から約100m離れているので、波が直接寄せて来る距離とは思えない。海風がレールを錆びさせるだけの海水を運んでくるかどうか? 

 

「鷲ノ木道路踏切」と思われる踏切

 

踏切周辺のレールもこんなに錆びていたのかどうか? 踏切周辺のレールも錆びていれば、踏切内のレールも目視も含め検査したはずなので、レールが錆びて細くなっていたのは踏切内だけ? 踏切内だけなら踏切の隙間を覆うゴム板が悪さをした? 上記「鷲ノ木道路踏切」と思われる踏切の写真を見ると、天気は良いのに踏切付近の道路が濡れている。なぜ? これは海水?

 

しかし、レールがここまで細くなるのを見過していたのには呆れる。近頃の踏切のレールと路盤の隙間にはゴム板が嵌め込まれているので容易に目視できないのは分かる。レールなどを計測する計測車を走らせているはずだけど、レールの腹の部分は計測できないのかな? もし、計測できないのなら、測定できるようにするべきです。

 

  • 熊本市電の脱線事故

 

昨年末の12月31日に熊本市電が脱線した。熊本市交通局は原因を直ぐに発表している。それによると、現場付近のレール幅が数cm広がっていたから。数mmだったら脱線はしないだろうけど、数cmとは呆れてしまう。数cm広がっていたら、目視でも気がつくはずだけど? 隣接する場所で市電のレールの工事をしていたのが原因という報道もあるけど? もしそうであれば、お粗末すぎる。

 

2025年2月8日

 


蒲蒲線の現在

2025年02月06日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

蒲蒲線の本来の目的

 

蒲蒲線は、本来「東急空港線(「京急空港線」は既にある)」というべきで、東急蒲田駅(JR蒲田駅が隣接)と京急蒲田駅を結ぶことは目的ではありません。大田区は両蒲田駅を結ぶのが目的と公表していますが、それはミスリードです。

 

京急蒲田駅周辺には、「大田区産業プラザ」以外にこれといった施設は無く、両蒲田駅を結ぶための工事費に約1000億円をかけるメリットは無い。京急蒲田駅周辺で大金をかけられるのは、京急空港線しか無い。蒲蒲線の本来の目的は、東急蒲田駅(JR蒲田駅が隣接、横に大田区役所もある)から羽田空港へのルートを作ることです。そうすれば、東急蒲田駅やJR蒲田駅の乗降客が増え、この地域がさらに発展することになる。

 

ただし、蒲蒲線が京急空港線に乗り入れて、蒲蒲線の電車が羽田空港に到達する目途はついていないので、このブログでは「蒲蒲線」にしておきます。

 

東急電鉄は営業構想を申請

 

NHKによると、

「東急電鉄は、東京・大田区にある蒲田駅と京急蒲田駅付近の2つの駅を結ぶ新しい路線について、1月17日、国に営業構想の申請を出しました」

と報道している。

 

ところで、東急電鉄が申請した「営業構想」って何ですかね? 私は新線に関する法律に詳しくないので、「営業構想」がどういう位置づけなのか、わかりません。東急の「営業構想」を読んでみると、今まで公開されている情報以上のことは書かれていません。

 

週刊東洋経済の記事

 

週刊東洋経済のネットに「蒲田から蒲田へ『たった800m』の新線に集まる期待 渋谷~羽田空港『新空港線』メリットと実現への課題」という記事が出ています。この記事に、

 

不動産会社「桃源社」が1988年に本社ビル(現在の大田区役所)を建設する際には、区から受けた「ビルの地下に鉄道を通すスペースを残してほしい」という要請に従ったという。(2004年2月13日・朝日新聞東京地方版より)

 

という一文がある。この朝日新聞の記事は知らなかったので、後日確認します。確かに、私が推測する想定ルート上に、大田区役所がある。(下記地図参照)

 

しかし、「ビルの地下に鉄道を通すスペースを残してほしい」とはどういうことかな? 地下に打ち込んだ基礎杭の間隔を線路幅だけ空けて欲しいということ? しかし、想定ルート上には他の民間ビルがあるので、この要請は意味があるのかな? どうせなら、朝日新聞の記事の真偽を大田区役所に直接聞いて欲しかった。

 

この件に類似した話は2021年2月8日の「大田区役所の地下に・・・は、鉄道フェイクニュース」参照。

 

蒲蒲線の想定ルート

 

蒲蒲線の具体的で詳細なルートは未だ公開されていません。そこで、今までに出た公開情報を元に、蒲蒲線ルートと「地下の東急蒲田駅」、「地下の南蒲田駅(京急蒲田駅の南側に出来る「蒲蒲線」の当面の終点の駅)」を私が勝手に地図に書き込みました。

東急蒲田駅、JR蒲田駅付近の想定ルート

これを見ると、ルートの一部が大田区役所の地下を通ります。駅の位置は不明なので、東横線の10両の電車が使用できる長さ200メートルの深青色の線を下に示しています。

 

京急蒲田駅付近の想定ルート

 

京急蒲田駅の南端に接してできる南蒲田駅(仮称、京急蒲田駅の南側に出来る「蒲蒲線」の当面の終点の駅)」の位置を深青色の線で書いています。やはり、東横線の10両の電車が使用できる長さ200メートルの駅を作ると、大田区産業プラザの地下まで使用することになる。そうすると、京急蒲田駅の新空港線のホームまでかなり歩くことになる。

 

ミスリードになる蒲蒲線の地図

 

NHKと週刊東洋経済は、誤解を与えそうな蒲蒲線の地図(大田区提供とある)を未だに載せている。それがこれ。

蒲蒲線が京急蒲田駅の真ん中に来ていますが、実際は上に書いたように京急蒲田駅の南端になります。また、蒲蒲線は京急蒲田駅で直接京急空港線に乗り入れられそうな絵が描いてありますが、それは無理です。

 

今後の課題

 

今後、決める必要のある項目です。

・蒲蒲線の具体的なルートの決定

今までの発表では蒲蒲線は単線なので、細い道の地下でも通れる

・東急蒲田地下駅の規模と位置

東急多摩川線の3両編成の電車が折り返し運転できること

東横線の10両編成の電車が停車できること

・南蒲田地下駅の規模と位置

  徒歩で5分以上かかると予想される京急蒲田駅までの通路の改善

・東急多摩川線の改良

現在は、3両編成(18メートル車です)の電車が走っている東急多摩川線に、東横線の10両編成の電車が通過できるようにすること

 

2025年2月6日

 


アナリストとジャーナリストの違い

2024年12月02日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

本当は12月1日に出す予定でしたが、朝から忙しく2日になってしまいました。悪しからず。

 

旅行アナリスト

 

TVを見ていたら、太っちょの旅行アナリストの人があちこち(どこか忘れた)への旅行の話をしていた。あちこち旅行できる旅行アナリストの人を羨んだのか、スタジオの人が「旅行アナリストってどういう仕事?」と質問していた。正確な答えは忘れたが「旅行アナリストは旅行の楽しい話はするが、批判はしない」「ジャーナリストは批判をする」と言っていた。なるほど、そこが「アナリスト」と「ジャーナリスト」の違うところか。

 

そうだろうな、狭い旅行業界で批判的な言動をすれば直ぐに出禁(昔風に言うと「干される」)にされそう。これは、鉄道業界でも同じだろうな。昔、TVに良く出ていたある鉄道評論家というか鉄道ジャーナリストの人は、最近のTVでお目にかかれない。鉄道会社に批判的な本を出したことがあるので、出禁にされたのかな?と勝手に思っている。そんなこと、誰に聞いても教えてくれそうにないので、多分そうだろうと信じている。

 

旅行ジャーナリストや鉄道ジャーナリストは出禁

 

旅行ジャーナリストや鉄道ジャーナリストが鉄道の写真を撮ったり、鉄道に乗って旅行したりする分には良いが、鉄道のサービスや鉄道事故対応で鉄道会社を批判すると、鉄道会社からのサービス、例えば新車情報や技術情報などは貰えなくなるだろうな。リニアを批判すると、やはり鉄道会社から技術情報は貰えなくなるだろうな。狭い社会だし。

 

鉄道会社にしても、鉄道会社のPRに役立つのなら旅行ジャーナリストや鉄道ジャーナリストに情報を提供する理由は成り立つだろうけど、鉄道会社を批判する人に便宜を与えると、鉄道会社の広報部門は社内の批判にさらされるだろうな。

 

鉄道の様に狭い社会では、鉄道ジャーナリストや旅行ジャーナリストは存在できないだろうな。こういうところが個人事業主としての弱さだろうな。朝日新聞のような大きなメディアに所属しているとまた違った対応になるかもしれないけど。鉄道や旅行分野でジャーナリストとして活動するのなら、別に仕事を持って、鉄道や旅行は趣味として活動するしかない。

 

2024年12月1日

 


JRは初歩を忘れている

2024年10月11日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

電気機関車の脱線事故は輪軸の嵌め込み異常が原因か?

 

新山口駅において、貨物列車を牽引する電気機関車が脱線する事故がありました。この脱線事故の原因は、電気機関車の車軸が折れたことですが、脱線状況から見て車軸が折れるなんてありえなかった。

 

この事故に関しては、下記のブログ参照してください。

2024年8月14日のブログ「機関車の脱線、保守車両の衝突、基本中の基本がなっていない

 

その後、JR貨物の車両工場で車輪を車軸に挿入する際に、基準値から外れているのにそのままにしていたとか、数値を改ざんしていたことが内部通報で明らかになった。さらに調べると、JR貨物以外の鉄道でも、同じようなことが露見しています。

 

だからといって、これが電気機関車の脱線事故の原因になったかどうかは明らかではない。車輪挿入時に車軸に傷がついて、金属疲労が原因で車軸が折れたかどうかはまだ明らかではない。

 

車輪を車軸に挿入する際の基準ハズレが多い割に、車軸が折れる事例は新山口駅における電気機関車の脱線事故しかないので、脱線事故の原因は別の可能性がある。

 

こういう作業対応は誰もやりたがらない

 

私も会社で基準値を作ったことがあるのでその時の経験から言うと、基準値を外れた時の対応は誰もやりたがらない。基準値を作る技術屋さんはなるべく安全サイドにしようと数値を狭くしようとするし、作業現場はなるべく許容限度が広い方がやり易いので広くしようとする。といって、その限度を証明する作業は手間が掛かり、作業量が膨大になる。それに、苦労して基準値を作っても、その人の評価は上がらない。むしろ、「基準値を広げるような検討をしろ」と言われる。確かにその通りなので、結局基準値を外れた時の対応は誰もやらない。

 

東北新幹線の連結器ハズレはメチャメチャ

 

9月19日、東北新幹線「はやぶさ・こまち6号」が、古川―仙台間を走行中に連結器が外れる事故が起きました。「はやぶさ・こまち6号」は、前10両が「はやぶさ」で後ろの7両が「こまち」です。盛岡駅で「はやぶさ」の後ろに秋田から来た「こまち」を連結して東京駅まで運転する。盛岡駅での「はやぶさ」と「こまち」の連結は、お互いの先頭車の先端が開いて、普段は格納されている連結器が現れ、自動で連結される。当然ながら、この連結が解除されることは無く、実際に開業から今までこういう事故は無かった。

 

その後の調査でJR東日本は連結器を解除するスイッチの近くで金属の切り屑(ドリルで金属に穴を開けた時に出るクネクネした金属屑)を見つけたと発表した。この切り屑をスイッチの接点につけると連結器が外れる現象が再現したそうなので、確かでしょう。

 

電気接点近くに金属の切り屑を放置するなんてありえない

 

ところで、スイッチのような電気接点近くに金属の切り屑を放置するなんてありえない。金属の切り屑が動いて、電気接点に付着する可能性があるので、製造時に切り屑が出ても、普通は取り除くはず。メーカーで取り除き忘れた? それとも、取り除くのをサボった?

 

他の新幹線の編成をチェックしたら、何台かで金属の切り屑が見つかったとJR東日本は言っています。新幹線は複数のメーカーが製作しているので、切り屑を放置した車両メーカーは特定のメーカーに偏っているのかどうか? JR東日本は、発表していない。

 

もし、特定のメーカーに偏っていたのなら、そのメーカーの製造作業を見直すことが必要。特定のメーカーに偏っていないのなら、切り屑が残らないように製造時の作業手順を見直す必要がある。

 

2024年10月11日

 


蒲蒲線のいろいろ

2024年09月15日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

日本経済新聞の地図のチョンボ

 

日本経済新聞のJR羽田アクセス線の記事を読んでいたら、記事の地図に存在しない路線が描かれていた。それは、このブログで何回も書いている蒲蒲線。どこかで使った蒲蒲線の地図を流用したと思われるけど、蒲蒲線を消し忘れている。

 

蒲蒲線の路線図に間違いが多い

 

蒲蒲線に関する記事に、東急多摩川線が東急蒲田駅付近から、真っ直ぐ京急蒲田駅に向かっている路線図を時々見ますが、これは間違いです。南北に長い京急蒲田駅の南端の地下に駅を作るので、乗り換えに時間を要する。2022年6月14日の「蒲蒲線に予算?東京都は金持ち!」ではNHKの地図の誤りを指摘しています。

 

蒲蒲線、それとも東急空港線? 大田区の思惑

 

ところでこの路線、蒲蒲線というより東急空港線というべきです。蒲蒲線というと、東急蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ路線の様に誤解しますが、大田区の本来の目的は大田区役所のある東急蒲田駅(JR蒲田駅に隣接)と羽田空港を連絡すること。京急蒲田駅と連絡することは目的ではない。実際に京急蒲田駅付近には、大田区産業プラザ以外にこれといった施設はない。私も当初は、蒲蒲線という名前から、東急蒲田駅と京急蒲田駅を繋ぐ路線の様に思い込み、誤解していた。

 

この誤解は、大田区が意図したものだったのか、それとも意識していなかったのか? 京急蒲田駅(多分)には小学生の描いた蒲蒲線が出来た時の画が貼ってありました。小学生を出しにするなよ!という印象でした。

 

その蒲蒲線ですが、京急空港線に乗り入れる見通しが立たず、京急蒲田駅付近までの計画しかたっていません。ということで、空港線と呼ぶのは憚れるので、あえて蒲蒲線にしておきます。

 

当初の大田区の計画は経済合理性が全く無かった、今も?

 

当初の大田区の案(下の図の上側)を見ると、京急空港線から分岐して京急線が東急多摩川線の蒲田駅の地下に来るものでした。これでは、京急が新線の大部分を作ることになる。

(下の図の下側は2017年当時の案です。これらの図は、大田区案を参考に私が描きました)

 

 

前から言っているけど、東急蒲田駅と羽田空港を結ぶ新線を作って得をするのは東急です。京急はむしろ京急本線の利用客が減る可能性があるので損をする。だから、新線に京急が金を出すなんてありえない。計画を作った大田区の経済音痴は明らか。きっと、京急に取り合ってもらえず、東急と相談して作ったシナリオというか計画なんでしょう。この件について、経済誌が何回か好意的に取り上げていたけど、経済音痴の経済紙(今でも潰れていない)でした。

 

蒲蒲線の近況

 

大田区が61%、東急が39%を出資している「羽田エアポートライン株式会社」が蒲蒲線の建設主体です。蒲蒲線の事業費は1360億円と想定していますが、昨今の建設費上昇により、増額が予想されます。2000億円程度になるかも? これだけの費用をかけても効果は疑問です? より便利なJR羽田アクセス線が出来るのに?

 

蒲蒲線の経路

 

大田区が作成した蒲蒲線のイラストが公表されています。ただし、東急とどれだけ詰めたかは分からないので、今後変更があるかもしれません。今までのイラストも変更されています。このように蒲蒲線の計画のイラストが複数出ていますので、私が一番可能性のあるイラストを選択しました。これによると、東急多摩川線の矢口渡駅付近から複線で地下に入り、現在の東急蒲田駅の地下に東急多摩川線と蒲蒲線の蒲田地下駅を作る。東急の蒲田地下駅から京急蒲田駅近くの蒲蒲線の地下駅までは単線です。

東急蒲田駅の池上線プラットホームは地上にそのまま残り、多摩川線と池上線を連絡する線路は残すようです。そうしないと、池上線は他の東急線から孤立してしまう。旗の台駅で大井町線と立体交差していますが、渡り線はありません。

 

蒲蒲駅間のルートはどこ?

 

下のGoogleマップは、東急蒲田駅・JR蒲田駅付近とそこから800m離れた京急蒲田駅付近です。この写真を見ると、両駅間には家屋やビルがびっしり建っています。

  

両駅を通る道は、地図中のAとBの一方通行の二つの狭い道しかない。

  

この二つの道路、京急の高架下付近のC地点から東急蒲田駅方面を見ると、道路のAとBの狭さが分かる。

  

この道路は狭いので、地下に線路を作るにしても単線しか作れない。AとB両方の道路下にそれぞれ単線を作れば合わせて複線になるけど、費用は増える。計画の見積り1360億円は単線なので、複線にすると2000億円(近年の工事費アップを見込まずに)くらいにはなる。

 

単線の場合、道路Aか道路Bのかどちらの地下を通るか? 道路Aのほうが東急多摩川線からスムーズに入れますが、道路Aのような狭い道の地下に単線でも通せるのかな?

 

京急蒲田駅近くの蒲蒲線の地下駅はどこに?

 

京急蒲田駅は最近高架化されました。狭い土地の駅を高架化したので、3階は横浜方面行、2階は品川方面行になっていて、空港線は2階と3階から単線で出ています。

(下のGoogleマップは京急蒲田駅横の第一京浜から品川方向を見ています)

 

品川から来る電車はそのまま空港線に入るが、横浜方面から来る電車は、蒲田駅で進行方向を逆にして空港線に乗り入れています。空港から来る電車の品川方面行は2階のホームに入るし、横浜方面行は3階に入って進行方向を逆にして横浜方向に進行します。2階と3階から空港線の線路が出ていますが、同じ線路を使って空港へ行く電車と空港から来る電車を通すというややこしい運用をしています。

 

京急蒲田駅近くに出来る蒲蒲線の地下駅は、どこになるのか? 東横線の電車が多摩川線を経由して蒲蒲線に乗り入れるという計画なので、これらの電車に対応するプラットホームが必要です。東横線の電車は8両(長さ160m)か10両(長さ200m)なので、200m+αが必要。

 

京急本線の高架下(およそC地点)と国道15号線(第一京浜)の地下だけでは200mに足らない。C地点付近から、細長い敷地の大田区産業プラザの地下まで使うと、200mほどのプラットホーム(図中青紫線D)は作れる。大田区産業プラザは壊して建て替えですね。

 

蒲蒲線地下駅が大田区産業プラザ付近とすると、京急蒲田駅の空港線プラットホームまで少なくとも150m歩き、地下から2階か3階の空港線プラットホームまで登ることになる。これが羽田に向かう人たちに受け入れられるかどうか? JR羽田アクセス線との競争ですね。

 

蒲蒲線のダイヤ

 

東急蒲田地下駅から、京急蒲田駅近くの蒲蒲線の地下駅まで、約800mを単線で作ると、この区間は10~15分間隔でしか電車を運転できない。東急多摩川線はもっと短い間隔で運転しているので、多摩川線の3両連結の電車の大部分は東急蒲田地下駅止まりで、東横線から多摩川線をノンストップで直通してくる8両か10両の電車が蒲蒲線に直通することになる。もしかして、目黒線(地下鉄南北線、都営三田線が乗り入れている)の電車も直通してくるかもしれない。

 

現状の東急多摩川線は駅のホームが18m車4両対応なので、20m車の8両か10両の電車が乗り入れても、駅に停車できない。それで、直通してくる電車は田園調布駅から東急蒲田駅まで6駅をノンストップで走ることになる。そうすると、どこかの駅で、3両連結の多摩川線の電車を退避させる必要があり、そのための工事が必要です。現在、待避線はありません。

 

蒲蒲線を利用する人の見込み

 

【想定】

・山手線西側の人を想定

(東側の人は、新しく出来るJR羽田アクセス線や、品川から京急が使える)

・りんかい線大井町付近からJR羽田アクセス線への橋渡し線は完成している

 (埼京線は、大崎駅からりんかい線、JR羽田アクセス線へと直通し羽田に)

・西武池袋線と東武東上線の東横線直通電車の一部が蒲蒲線にも直通する

 

湘南の人

  ⇒ 東海道線・横須賀線で横浜駅、ここで京急へ(乗り換え1回)

横浜の山側の人(東急田園都市線や東急大井町線沿線の人)

  ⇒ 渋谷に出て山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 渋谷に出て、東横線から蒲蒲線、京急空港線(乗り換え2回)

  ⇒ 渋谷に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

横浜の海側の人(東急東横線より海側の人)

  ⇒ 京急本線・空港線で(乗り換え0回)

東急東横線沿線の人 

  ⇒ 渋谷に出て山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 渋谷に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

  ⇒ (沿線の横浜市の人)東横線で横浜、京急本線・京急空港線(乗り換え1回)

  ⇒ (沿線の東京都の人)東横線から蒲蒲線、京急空港線(乗り換え1回)

西武池袋線・東武東上線沿線の人

  ⇒ 池袋に出て山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 副都心線・東横線直通に乗り蒲蒲線、京急空港線(乗り換え1回)

  ⇒ 池袋に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

西武新宿線沿線の人

  ⇒ 新宿や高田馬場に出て山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 新宿に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

京王線沿線の人

  ⇒ 新宿に出て、山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 新宿に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

  ⇒ 新宿三丁目から副都心線、東横線直通に乗り蒲蒲線、京急空港線(乗り換え2回)

小田急線沿線の人

  ⇒ 新宿に出て山手線で品川、京急へ(乗り換え2回)

  ⇒ 新宿に出て、埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え1回)

  ⇒ 海老名から相鉄線で横浜、京急へ(乗り換え2回)

埼京線沿線の人

  ⇒ 埼京線からJR羽田アクセス線(乗り換え0回)

地下鉄南北線、都営三田線沿線の人(目黒線が蒲蒲線に直通する場合)

  ⇒ 地下鉄南北線、都営三田線から目黒線、蒲蒲線へ、京急空港線(乗り換え1回)

  ⇒ いろいろ乗って、品川に出て京急へ

  ⇒ いろいろ乗って、JR羽田アクセス線へ

 

これを見ると、

・東横線・蒲蒲線利用者と京急本線利用者は競合する。蒲蒲線が出来ると京急本線利用者は減る。将来、京急空港線に東急が乗り入れると、乗り換えの手間が減るので、さらに京急本線利用者は減る。

・東横線・蒲蒲線とJR羽田アクセス線、京急は競合するので、どれを利用するのかは、電車の本数や所要時間、料金、乗り換えの手間など利便性による

 

東急沿線でも、一部の東横線沿線を除くと、蒲田は結構行きづらい。結局、東横線に乗り入れている西武池袋線や東武東上線、副都心線沿線の人が如何に利用するかということかな。 

 

利用者から見ると、いろいろなルートがあるのは選択肢が増えて有難い。経営面から見ると、JR羽田アクセス線、京急、それに東横線・多摩川線・蒲蒲線直通、それに空港直通バスのどれが利益を挙げるか、興味深い。

 

2024年9月15日