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ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

なんじゃこりゃ! コカコーラが推進する画期的な浄水器「スリング・ショット」とは?

2014年06月04日 | 科学・技術

日経新聞の61日の紙面に、コカコーラ社がアフリカやインドで画期的な浄水器「スリング・ショット」を広めているという記事が載っていました。

その記事によると、「汚水を100℃で沸騰させて、気化した真水を取りだす」方法で、水3.8㍑を作るのがわずか1¢という信じられないコストと、同時に発電が出来るという内容でした。発明者は電動2輪車セグウェイを製作したディーン・ケーメン氏。

 水を蒸発させるコストがこんなに安いはずは無いと思ってネットで調べたところ、装置の概要図が見つかりました。しかしその図から、ランニングコストを安くできる理由はわかりません。

 ネットでは、この浄水器に関する断片的な情報が出ていて

・浄水器は、2009年に完成していた

・動力は電力で、ドライヤーより少ない電力

・牛糞で動作するスターリングエンジンの発電機がある

・現在は浄水器本体が数万ドルになるが、2000ドルくらいにしたい

・装置の写真あり。半畳くらいの面積で、大きい犬小屋くらいの大きさ。

  (注)スターリングエンジンとは?

ガソリンエンジンやディーゼルエンジンのような内燃機関は、シリンダーの中で燃料を燃焼(爆発)させます。これらと異なり、スターリングエンジンのような外燃機関は、外気中で燃焼させます。このため、燃料の選択の幅が広いとか、熱効率が良いとかの長所がある一方、小型化が難しいとか、乗り物の動力には使い難いという短所がある。

 さて、これだけの情報で、「スリング・ショット」のランニングコストが安い理由を無理に想像すると次のような構成かな?

1¢の牛糞を燃やす⇒スターリングエンジンで発電⇒浄水器を動かす

牛糞の落ちていない場所では、身近にある?木や草を燃やすのでしょうか?

 身近に安定して燃料を入手できるような地域なら、このような浄水器の利用も可能でしょうが、荒れ果てたアフリカやインドの田舎で稼働させるのに、適した装置なのでしょうか???

 

2014.06.04


日本のいびつな成功体験「はやぶさ」

2014年02月06日 | 科学・技術

「はやぶさ」は、日本の宇宙開発において、世界的に稀な成功例となっています。「はやぶさ」に関しては、各種のイベントが盛況だったり、書籍もたくさん出版されて、今でも書店の棚を派手に飾っています。

しかし、「はやぶさ」の成功に関して、見直してみる必要があります。

 

それは、「はやぶさ」の成功の大きい要因の一つとして、「推進装置を制御する正規の回路の他に、もしかのための配線をしておいた」と言うのがありました。

でも、これって、日本企業に良くある、「上司に言うと邪魔されるので、上司には黙って研空開発した」という種類の話では?

それなのに、このプロジェクトの責任者が持て囃されるのでは、何かおかしい。責任者本人も、きっと心苦しいと思います。

 

「はやぶさ」のように、裏口技術で成功したことが、異常に持て囃される日本の風土には、何か問題があると思います。

このような裏口技術による成功体験があると、次にまともな成功プロセスが出来なくなるのでは?

次のプロジェクト「はやぶさ2」は、失敗するのでは?と心配します。

2014.02.06


~電気自動車と燃料電池車、どちらが勝つか?~  その2

2014年01月12日 | 科学・技術

その2 リチウムイオン電池の現状と見通し

将来の自動車の電池は、燃料電池かリチウムイオン電池のどちらでしょうか?

リチウムイオン電池に関しては、「材料の改良で走行可能距離が2倍になる」などの記事を良く見ます。これらの記事の技術を全て合わせると、電気自動車の電池の性能として十分のように見えますが、直ぐにそうはならないでしょう。

しかし、いずれ性能が向上すると私は考えています。

最近のリチウムイオン電池の記事をピックアップすると

2013/10/01 走行距離2倍のリチウムイオン電池試作

NEC、積水化学工業、田中化学研究所、産業技術総合研究所

正極材料に、リチウムや鉄、ニッケルなどからなる新材料を使用。

2013/11/12 ガラスの負極で電池容量2倍

産業技術総合研究所、五鈴精工硝子

負極材にスズとアンチモン、硫黄を含むガラス

2013/12/04 ケイ素使い蓄電量3倍

積水化学工業

負極材の材料として一般的な炭素の代わりにケイ素(シリコン)を使う

 一方で、リチウムイオン電池の次の世代の電池の候補の名前も上がっています。

・リチウム硫黄電池

・ナトリウムイオン電池

・多価イオン電池

・空気電池

 

燃料電池がリチウムイオン電池に勝つには、自動車用燃料電池に使用している触媒の白金(プラチナ)に代わる、価格が大幅に安い触媒材料が必須ですが、見つかるのでしょうか?参考までに、17日のプラチナ価格は1gあたり¥5027と金の¥4396より高価です。

将来を見通すことは困難ですが、自動車用には、燃料電池よりも充電の出来るリチウムイオン電池の方が有利と私は考えます。

 2014.01.12


~電気自動車は、リチウムイオン電池、それとも燃料電池、どちらが勝つ?~ その1

2014年01月12日 | 科学・技術

その1 リチウムイオン電池の現状

 既に、リチウムイオン電池を搭載した電気自動車が走っていますが、一回の充電での走行可能距離が短いのと、燃料電池ほどでは無いですが割高なので普及していません。

例えば、日本メーカーの量産車の代表的な車種二つ(両方とも、リチウムイオン電池を搭載)のデータは下記ですが、最高で200Kmちょっと(JC08モード、メーカー値)しか走れません。

日産LEAF228Km

三菱MiEV120Km180Km2機種

寒い雨の夜になると、ライト、エアコン、ウォッシャーを点けるので、走行可能距離はさらに短くなるでしょう。

価格は、補助金を使うと手の届く所まで来ました。

日産LEAF S\2.989.350G3.847.2002013年度補助金:\780.000

三菱MiEV M\2.600.000 G3.800.000(補助金:\620.000\850.000

 

一方、燃料電池車は、より難しい課題があります。

・水素スタンドが未整備で、整備には大きなコストがかかる

・燃料電池が高価。報道では、「車1台の価格を¥1000万以下にするのを目指す」としているので、現在は¥1000万を大きく超えている。

もし、リチウムイオン電池の能力が23倍に伸びて、走行可能距離が600Kmになったら、将来の自動車の動力源の大半はリチウムイオン電池になるでしょう。

リチウムイオン電池の能力が伸びず、燃料電池の価格が大幅に下がった場合、一時的に燃料電池車が優位に立つでしょうが、常にリチウムイオン電池やその改良型の電池の技術進展にその地位を脅かされ続けることになります。消費者にとって、家庭で充電できることは、大きなメリットですから。

そう考えると、燃料電池のインフラに投資する人はいるのでしょうか。ガソリンの代わりに水素を売るつもりの石油業界も躊躇するのでは?

2014.01.12


紫外線の不都合な真実

2013年09月08日 | 科学・技術

昔は、日光浴が健康に良いと言われていましたが、最近では皮膚ガンの原因とされたり、シミやしわ、美白の大敵とされ、忌み嫌われているようです。夕方や雲が厚い日も、日傘をさしたりアームカバーをしたり、なかには顔を全て覆っている人もいます。

ここでは、美容への影響は置いといて、健康・医療への影響について考えてみます。

 

オーストラリアの皮膚がん

紫外線の害の例として、オーストラリアでの皮膚がんの多さが取り上げられますが、日本での紫外線の害の例としては不適切です。オーストラリアでの皮膚がんを取り上げる場合、意図的なごまかしがあります。

実際にオーストラリアでは、毎年数百人が皮膚ガンで死亡しているようです。

皮膚がんの1種のメラノーマの発生率は、

  日本     :1.52 /10万人

  オーストラリア:20数人 /10万人

だそうです。出典は、

 http://皮膚がん.net/shibouritsu/Is-how-long-skin-cancer-mortality/

 しかし、これは

・オーストラリアで特に紫外線が強い(日本の数倍)

・太陽光の弱い地域から移住した白人の白い肌は、紫外線に弱い

の二つの要因が重なって起きるものです。

オーストラリアで特に紫外線が強い理由は、オゾンホールの破壊が言われています。

 

日本における紫外線の増加は、気象庁の下記サイトによると、1990年代と比べて5%程度です。

http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/uvhp/diag_cie.html

また日本人の肌は、白人ほど紫外線に弱くありません。

 

日本あるいは世界で、皮膚がんは増加傾向のようですが、具体的なデータが見つからないので、省略します。

 

紫外線のメリット・デメリット

従来から言われていることは、次の通りです。

【メリット】

・紫外線を適度に浴びると、皮膚組織内でコレステロールから、ビタミンDが生成します。

ビタミンDは、魚関係の食品を食べると摂取できます。また、錠剤・サプリでも補給できます。

・ビタミンDは、「くる病」や「骨粗鬆症」になるのを防止します。他に、ガンやインフルエンザ予防に効果あるという発表もありますが、明確ではないようです。

 

【デメリット】

・皮膚がんの原因

・「紫外線にたくさん当たったり、日焼けすると、活性酸素が大量に発生し、卵巣の働きが悪くなる」と、あるサイトには書いてありますが、微妙な書き方なので原典を探しましたが、見つかりませんでした。

次に、最近の研究で新しい知見が出てきているので、それを紹介します。いずれも、新聞に掲載されたり、報道されています。≪≫内は、それぞれのサイトからの引用です。

 

l活性酸素の精子幹細胞に対する増殖促進作用を解明 

京大プレスリリース 201367

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2013/130607_1.htm

これまで活性酸素は精子の運動率や機能を低下させる作用があることが知られており、男性不妊症の原因の一つとして考えられていました。今回の研究成果は活性酸素の低下が精子を作るもととなる幹細胞の増殖を低下させる作用があるということを明らかにしました。このため、不妊男性の活性酸素を低下させると幹細胞の能力が低下し、必ずしも精子形成全体には良い影響があるとは言えないことを示唆します。

要は、従来から、活性酸素が精子の機能を低下させることがわかっていたが、今回、活性酸素が精子の元になる幹細胞を増殖させる作用もあることがわかった。活性酸素は、紫外線・たばこ・ストレスなどで大量に発生する。

したがって、紫外線は精子に良い作用と悪い作用をするということになります。

 

l体脂肪率の低下やビタミンDの不足が、若いうちに卵子を減少させる可能性がある

 201394日 NHK

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130904/k10014271881000.html

 NHKのニュースは、ホームページから早く消えるので、無い時は悪しからず。

順天堂大学の発表はありません。

 

順天堂大学などの研究グループは、20代と30代の100人の女性を対象に、卵子の残りの数を推定できるとされるホルモンの量と、生活習慣や食生活などおよそ600項目との関連を調べました。

その結果、卵子の残りの数が40代と同じくらい少なくなっていると推定された女性は、20代の場合は、体脂肪率の平均が22.6%とそのほかの女性の平均より4%低くなっていたほか、30代は、血液中のビタミンDが不足状態だったことが分かりました。

 

 研究グループは、体脂肪率の低下やビタミンDの不足が、若いうちに卵子を減少させる可能性があるとみて、さらに大規模な調査を行うことにしています。

同じような研究結果は、去年アメリカでも報告されているということです。

順天堂大学の佐藤雄一医師は「若い女性はきれいになりたいと極度に痩せようとしたり美白を求めたりする傾向が強いが、不妊にならないためには、適度な体重を保つとともに、ビタミンDを体内で作るため毎日少しずつ日光を浴びることも大切だ」と話しています。

要は、卵子の減少が速い人は、体脂肪率が低く、ビタミンDも不足している傾向にある。今後さらに、大規模な調査を行うということです。

l日本人正常新生児にはビタミンD欠乏症が高頻度に見られ、母乳栄養児で特に改善が遅れる  京大プレスリリース 2008331

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/2008/news6/080331_1.htm

 

 ≪ビタミンD欠乏症は日光の弱い北欧や皮膚を隠す習慣のある民族以外ではまれであると考えられていましたが、近年先進諸国においても決してまれではないことが報告され、また本邦の小児科領域でも骨変形、けいれんなどで受診する患者さんが増加しています。

≪乳栄養児にはビタミンD欠乏の危険があることも従来欧米では認識されており、たとえば米国小児科学会の勧告では新生児全員に一日200単位のビタミンDを赤ちゃんに投与すべきだとの記載が既にされています。

日本でも、ビタミンD欠乏症の患者が増えていて、それが小児科でも増えているそうです。

 

なお、ビタミンDの薬剤は、「生」と「活性型」の二種類があり、日本では「活性型」しか認可されていないようです。ただし、サプリは「生」と思われます。また、≪活性型ビタミンD剤は専門医が注意して使わないと過剰症をおこしかねない製剤≫だそうです。

 

【結論】

魚類食品を沢山食べる人やサプリでビタミンDを飲む人以外は、適度に日光を浴びた方が良いと思います。

人類はその誕生以来、ずうっと紫外線を浴び続けてきたわけですから、紫外線は人類にとって良いことも悪いこともあって当然です。結局、各個人がどのようなライフスタイルを選ぶかによります。

 

余計ですが、人類はその誕生以来、宇宙から、あるいは地中から、放射線を浴び続けています。

 

(参考)

Nikkei BP Net「増える日本人の皮膚がん、男性も紫外線対策を」2005819

 http://www.nikkeibp.co.jp/archives/392/392586.html

には、国立がんセンターの皮膚科 医長の話として、

≪海外旅行に行って、肌を焼いているのは、日本人の若者ぐらいです。海外の皮膚がん研究者からは、「いったい日本は、どうなっているのだ?」と質問されることさえあります。専門家にしてみれば、日本の若者がこぞって肌を焼く行為は、自ら命を縮めているに等しい行為なのです。≫

という記事が載っていました。2005年の記事ですが、「肌を焼いているのは、日本人の若者ぐらいです」というのは、本当でしょうか? 私は世界のビーチに行っていませんが、TVやネットで見ていると、今でも白人と思しき人はガンガン日光浴しています。医者の話も専門外のことは、注意して聞かないとダメです。

2013.09.08