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ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

刺身の放射線測定は難しい 日常の放射線について

2023年09月15日 | 科学・技術

予定を変更して、あまり知られていない日常の放射線について書きます。なお、私は放射線測定の専門家ではありません。環境省の資料を使います。図は環境省の資料から、図の説明は環境省の資料を基に私が書きました。

 

身の回りの放射線(環境省)から。

201510mat1s-01-6.pdf (env.go.jp)

 

身の回りの被ばく量

(説明)

自然放射線(左上)

・宇宙から0.3mSv  

宇宙から放射線が来る。空気があると減衰するので、地上より上空の方が強い

・大地から0.33mSv  

土壌に含まれる鉱物による。例えば花崗岩は放射線量が多い。

・空気中のラドンから0.48mSv 

ラドンは気体です。土壌・建材から空気中に飛散します。

・食物から0.99mSv  

放射線を出す「カリウム40」は、カリウムに0.01%含まれている。カリウムは多くの食物の成分である。

・航空機0.11~0.16mSv 

上空にいくほど宇宙から来る放射線が強くなる。当然長時間の飛行ほど被ばく量が多い。それで、航空機乗員は決められた被ばく量を越えないように乗務する。

 

人工放射線(右)

・CTやX線撮影はX線を照射するので被ばくする。CTは照射時間が長く、強いので被ばく量も多くなる。

 

世界各地の放射線量

(説明)

放射線の多い地域(中国の陽江、インドのケララなど)は、土壌中の放射性物質が多いことに起因します。

 

日本でも地域差があります。花崗岩は放射線を出す鉱物が多いことが知られており、日本では表層に花崗岩が多い西日本で放射線量が高く、厚い関東ローム層で遮られる関東は低いことが知られています。

 

(まとめ)

 

人間は自然界からの放射線や医療用の放射線で被ばくしています。したがって、場所・食物・医療により、その人が被ばくする放射線量は変わります。

 

ということは、寿司ネタを1個測定して0.13マイクロシーベルトの数値が出たからといって、バックグラウンドの放射線値も考慮しないと、寿司ネタの測定値は当てにならない。まして、簡易測定器の値は信用できない。

 

環境省のデータから2枚の画像を参考にしましたが、他にも画像があるのでご参考に。

 

2023年9月15日

 


日本に巨大な線形加速器は必要か?

2023年07月20日 | 科学・技術

線形加速器の経緯

 

線形加速器を日本に誘致する問題は以前にも書いている。

 

2019年03月16日のブログ「ILCは不要

2013年4月21日のブログ「国際線形加速器ILCの日本誘致より、原発対策を!

 

ILCはInternational Linear Collider 国際・線型加速器です。collider なら「衝突器」で、「加速器」はacceleratorですが、上の様にしておきます。

 

現在の世界最大の加速器は、スイスのジュネーブ近郊の地下100mにある周長27Kmの円形加速器です。この加速器を用いてヒッグス粒子を見つけたので、ヒッグス粒子の理論を予測した人がノーベル賞を受賞しました。

 

しかし、粒子を円形に回すとエネルギーのロスが発生するので、加速に限界がある。そこで直線状の線形加速器でより速く加速させようというのが線形加速器を必要とする理由。

 

線形加速器を日本に誘致するという話になり、日本のあちこちが立候補したが、結局岩手県の北上山地が残った。しかし、こんな巨大な施設は地震大国の日本に不向きです。北上山地に活断層は無くても、近くで大地震が起きれば線形加速器も一緒に揺れるので、線形加速器にダメージを与えるはず。

 

線形加速器の建設費用は1兆円を越える

 

地下100mに直線で約30Kmの加速器を建設すると、建設費用は巨額になる。10年以上前の見積もりでは、建設期間10年で8000億円と見込まれるが、再見積もりをすると軽く1兆円を越えるはず。この費用の約半分を誘致した日本が拠出する。

 

費用はこれだけでなく、毎年の維持費が約400億円かかるが、この維持費の半分も日本が負担する。(この維持費も、再見積もりするとさらに増えるはず)

 

線形加速器以外の研究開発予算は減らされる

 

この線形加速器について、日本政府は従来の科学技術予算とは別枠の予算を組むつもりは無いとしている。しかし、日本の負担費用1兆円の半分として5000億円を従来の予算をやりくりするのは無理なので、また国債かな? 維持費も従来予算の枠内から流用すると政府は言っているが、そんなことできるのかな? いずれにしても、線形加速器以外の科学技術予算は減額されるのは必至で、線形加速器以外の科学者や技術者は反対している。

 

日本経済新聞は経済性を考えろ!

 

日本経済新聞は6月8日の記事「迫る中国 巻き返しへ 瀬戸際の次世代加速器」で「国会議員同盟」の活動再開を書いている。

 

この記事では、中国で新しい線形加速器の建設計画が進んでいるので、日本に新しい線形加速器を作らないと、線形加速器は世界で中国だけにしか存在しない状態になると煽っている。

 

アメリカも欧州も線形加速器の建設を辞退した 中国にやらせておけば

 

アメリカも欧州も一度は手を挙げたが、辞退した。結局、残ったのが日本と中国。だいたい、こういう計画にアメリカや欧州が乗ってこないのは、スイスの円形加速器から建設費用に見合う技術的な成果や経済効果が出なかったから。ノーベル賞は取ったといっても理論だけ。これでは、巨額の費用に対する見返りが小さい。

 

世界のもう一つの共同開発事業である核融合炉は、原発に代わる将来のエネルギー源と期待されているので、巨額な費用に対する見返りは大きい。したがって、フランスはちゃんと自国に誘致している。

 

私の意見は、線形加速器を中国にやらせればよい。中国は、自国だけで宇宙ステーションを作っているし、月面調査もしている。それに、この線形加速器でノーベル賞を取れるかもしれないので、中国としてもメリットがある。

 

日本はいつまでナンバー1を目指すのか?

 

北上山地に誘致する人たちは科学的成果が目的ではなく、金が地元に落ちることが目的だろうけど、こんな巨大な施設を作って、ノーベル賞を取りに行くそんな余裕は現在の日本には無い。あけすけに言うと、日本は加速器に携わる科学者や技術者の再就職対策に大金をつぎ込むことは無い。それにノーベル賞といっても、どうせ理論で取るので、実験で取るわけではない。

 

二番目では悪いんですか?

 

ところで、昔「二番目では悪いんですか?」と発言した議員に「1番目でなければだめなんだよ」と批判が相次いだ。これら批判した人たちは、次世代の線形加速器を日本に作ることに賛成なんでしょうね。それらの人に増税の負担お願いしますと言うと、「増税反対!」「国債を発行しろ!」というのかな。

 

2023年7月20日

 


昔は輝いていたPARC

2023年06月17日 | 科学・技術

ゼロックスはPARCをスタンフォード大学に寄贈

 

シリコンバレーのパロアルトにあるゼロックス・パロアルト研究所、通称PARC(Palo Alto Research Center)を、ゼロックスはスタンフォード大学を母体とする研究所に寄贈することを決めたと報道されている。

 

PARCは1970年の創設。昔、PARC は光り輝いていました。若い人は知っているかな? PARCはゼロックスの業績向上には寄与しなかったけど、世界のITの進展には多大な貢献をしたと言われている。

 

PARCから生まれた技術

 

PARCで生まれた技術を「IT用語辞典“BINARY”」から引用する。

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オブジェクト指向プログラミング言語であるSmalltalkを開発したアラン・ケイ、イーサネットを開発したロバート・エトカルフェ、ワープロソフトでWYSIWYGを実現したチャールズ・シモニー、ページ記述言語を開発したジョン・E・ワーノックなどがPARCに在籍していた。

 

PARCにおける研究成果は、1970年代から1980年代にかけて、コンピュータの世界に多くの影響を与えた。GUI、マウス、レーザープリンタ、パーソナルコンピュータの概念、ユビキタスコンピューティング、果てはコンピュータウイルスもPARCの研究より生み出されたとされている。

 

また、スティーブ・ジョブズやビル・アトキンソン、ビル・ゲイツなどがPARCを見学に訪れ、大いに刺激を受け、それがGUIのOSであるMacintoshやWindowsの開発につながったとも言われている。

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スティーブ・ジョブズは、PARCを見学に行き、その技術を使ってApple社のコンピュータを作った(と言うと言い過ぎかも)ことは伝説になっている。

 

“Mac Technology Lab.”の「スティーブ・ジョブズとパロアルト研究所物語」から一部を引用すると

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後年WindowsがMacに似すぎていると文句を言ったスティーブ・ジョブズに対し、Microsoft社のビル・ゲイツが「ゼロックスの家に押し入ってテレビを盗んだのが僕より先だったからといって、僕らが後から行ってステレオを盗んだらいけないってことにはならないだろう」と言い放ったという話がある。

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まあ、この話が実際はどうだったのかは、これ以降の「スティーブ・ジョブズとパロアルト研究所物語」に推察されているので、参考にしてください。これほどPARCから生み出された技術はその後のPCの発展に寄与したと言えると思います。

 

あの頃PARCは光り輝いていたが・・・

 

PARCが無ければ、その後のApple社も無ければ、i-phoneも無かったと思います。一方でPARCの親会社だったゼロックスは、今は鳴かず飛ばず。

(ゼロックスに関して、2021年02月13日の「Xeroxを高値で売り損ねた四面楚歌のカール・アイカーンはどうする?」、2022年03月24日の「続 Xeroxを高値で売り損ねたカール・アイカーンはどうする?」を参照)

 

あの頃光り輝いていた会社のその後

 

そういえば、昔光り輝いていた米国の会社も今では光が消えそうになっているし、既に消えてしまった会社もある。

 

「IBM」や「インテル」、「TI(テキサス・インスツルメンツ)」は、だいぶ光が弱くなってきています。

「フェアチャイルド」は、オン・セミコンダクターが買収してなくなってしまった。

「シリコングラフィックス」も無くなってしまった。(現在のシリコングラフィックスは別の会社が名称を変更した)

「ナショナルセミコンダクター」はTIに買収された。

「モトローラ」は二つの会社に分割されて、一方はレノボの子会社になった。

スパコンでトップを争っていた「クレイ」も無くなった。(現在の「クレイ」は別の会社が名称を変更)

 

これらの大会社だけでなく、小さくても輝いていた会社がなくなってしまった。

 

この文の主旨と異なりますが、GEから分離したRCA(Radio Corporation of America)も無くなってしまった。

 

こう見て来ると、米国では製造業が落ち目になっている一方で、非製造業や製造を海外に依存している企業が強いことがわかります。バイデン政権は、中国に依存し過ぎた米国の製造業の再生を目指しているようですが、どうなることやら。米国についていってる日本もどうなることやら?

 

2023年6月17日

 


未来が見えないトヨタザウルス

2022年03月06日 | 科学・技術

ソニーとホンダがEVで提携

 

3月4日のCNET Japanに「ソニーとホンダ、EVを共同開発、販売へ--2022年中に合弁会社設立目指す」という記事が出ていた。ソニーとホンダは合弁会社を設立して、EVを共同開発、販売するらしい。

 

これは良い組み合わせ。ソニーとホンダは社風と製品が似ているように思える。EVを造るうえで、ソニーにとっては富士山を1合目から登るより、ホンダの経験を生かして、富士山の五合目から登る方が時間も金も節約できる。ホンダもソニーの電子技術を取り込んだEVを揃えられる。

 

トヨタは電気自動車専用のモデル「bZ」を発表

 

トヨタは、2021年12月14日に東京のメガウェッブ(取り壊される予定)にあるトヨタの展示スペースで、電気自動車専用モデル「bZ」の発表会を開催し、豊田章夫社長がプレゼンを行った。「bZ」5車種の背後には今後発表する11車種の電気自動車が並んでいたが、あるメディアによると、これらはクレイ(粘土)モデルらしい。EVの機種を水増ししていた?

 

2月18日の日本経済新聞は、「bZ」の中の1機種SUVの「bZ4X」は、欧米向けに販売する一方、国内向けには販売せず、5月からサブスクリプション(定額課金)サービスに限定して提供すると書いている。日本ではEVのインフラが不十分なのは分かるが、メガウェッブでのトヨタ社長のプレゼンの勢いが後退したという感じがする。

 

トヨタザウルスは体がデカいけど脳は小さい

 

豊田章夫社長のプレゼンでは、いわゆる電気自動車をバッテリーEV(BEV)と呼んでいるので、ここではEVまたはBEVを適宜使います。

 

5年前には既に「トヨタはEVに出遅れた」という記事が経済雑誌にも出ていた。ということは、トヨタはEVに後ろ向きと以前から広く認識されていたということ。それなのに、社長が未だに「ハイブリッドにも燃料電池車にもBEVにもエンジンにもすべてに本気」と言っているようでは、そのうち野垂れ死にしそうです。トヨタザウルスは体がデカいけど、脳は豊田章夫社長の脳みそくらいの小ささしかないようです。

 

トヨタ社長は、フランスのマクロン大統領に「ハイブリッドも残してくれ」と直訴したらしい(報道から。しかし、ネットで検索しても確認できなかった)が、これは「トヨタはEVに後ろ向き」というか「トヨタの弱点はEV」と暴露したようなもの。向うは、トヨタの弱みであるEVに注力するべきと確信したと思う。

 

EVを今までもやって来た?

 

従来のトヨタ自動車は、ハイブリッドに注力しつつ、燃料電池車を安全パイにしていたイメージがある。しかしこれは営業サイドの話で、研究開発陣はEV電気自動車も可能性の一つとして本気で研究開発していると思っていた。これに関しては、一度書いている。

 

2017年10月22日のブログ「トヨタザウルス、ドツボから出られない

 

しかし、トヨタが従来からやって来たというトヨタのBEV(豊田章夫社長のプレゼンにも出て来る)を見ると、いずれもトヨタのエンジン車と競合しないようなニッチ市場向けで、トヨタの本気さは伝わってこない車種です。

 

全方位なんて成功しないよ

 

残念ながら、将来の可能性が分からない時、全てに可能性に全力をかけて成功した例は(私の知る限り)ない。ということは、トヨタは失敗するか、途中で路線変更することになる。

 

技術革新は無慈悲に進む

 

技術革新は非情です。無慈悲に仕事が無くなる会社が出て来るし、仕事が無くなる労働者が出て来る。例えば、デジタルカメラが出て来た時の銀塩フィルムのカメラ、液晶テレビが出て来た時のブラウン管テレビ、CDが出て来た時のアナログレコード、ワープロが出て来た時のタイプライターでは、そういう事態が起きた。

 

そして、自動車の技術革新は、上に挙げた技術革新の例よりも大規模に起きる。

 

絶頂トヨタの真実

 

週刊ダイヤモンドの2022年3月5日号の特集は「絶頂トヨタの真実」。こういう雑誌の企業特集は、特集した企業が雑誌を買い上げてくれるのか、定かではありませんが、ヨイショの記事が過去には多かった。そう思って読んだら、結構トヨタに手厳しい。それくらい、トヨタの内情がヒドイのかな? 

 

確かに、トヨタ社長が「ハイブリッドにも燃料電池車にもBEVにもエンジンにもすべてに本気」と言わざるを得ないほど、社内が混乱しているのかと想像してしまう。

 

あるいは、どれが将来の本命かわからないので、世間でおおよそこの方向だと流れが決まった時に、即座にその車種をそろえられるように準備しているのかもしれない。松下電器(現パナソニック)が昔にやっていた「二番手戦略」をトヨタもやろうとしているように思われる。

 

(追加 3月9日)

「二番手戦略」に関しては、2013年08月27日のブログ「会社は急には変われない その2~サムスン電子~」参照。

 

2022年3月6日

 


産総研は改革が必要

2022年02月01日 | 科学・技術

産業技術総合研究所(産総研)は2001年に創設されました。それ以前は工業技術院でした。産総研に関しては、2014年06月10日のブログ産業技術総合研究所の理事長は元ソニーの中鉢氏で良いのかな?に一度書いている。中身は、タイトル通りです。中鉢氏は2020年まで理事長でした。

 

工業技術院とは

 

私は産総研に関わったことは無いので、それほど詳しい訳ではありません。しかし、最近ここから出て来た技術はあるのか、大いに疑問です。少なくとも、新聞に載るような技術は無かったような。 

 

昔は、工業技術院という通産省(今の経産省)傘下の組織が、いくつかの研究所を抱えていました。(池袋の暴走事故で、プリウスを運転していた人は、この工業技術院の院長でした)

 

例えば、工業技術院傘下の一部の研究所(名称はいろいろ変遷していてややこしいので、私が適当に選んだ)を挙げると

地質調査所

電子技術総合研究所(さらに昔は電気試験所)

計量研究所

各地の工業試験所

などの研究所が工業技術院の傘下でした。

 

旧電子技術総合研究所(電総研)などの研究部門は、過去に業績を上げており、技術系大学生のあこがれの的でした。一方で、旧地質調査所のように、地味な部門もありました。

 

産業技術総合研究所(産総研)は名前を変えただけ

 

工業技術院がなぜ産業技術総合研究所(産総研)になったか。私の記憶では、原子力安全保安院を創設する時に、工業技術院を廃止して、「院」を付け替えたと記憶しています。要は、工業技術院が「院」と言う名前を使えなくなったので、産業技術総合研究所に名前を変更し、昔の各研究所などを取り込んだということ。しかしそのおかげで、旧地質調査所は「地質グループ」というハッキリしない名前になっている。

 

産総研は役目をハッキリするべき

 

だいたい、電総研のような開発志向の部門と地質調査所のような調査研究が主体の部門が同じ屋根の下(実際は建物は別です)というのも理解しがたいし、シナージー効果を上げるとは思えない。元の工業技術院の中身と今の産業技術総合研究所の中身は変わらないと言っても、「名は体を表す」なので中身に合った名前にするべきです。例えば昔の組織名に戻して役割をハッキリするべきです。

 

それに、最近流行りの技術をあまりやっていないような? 理化学研究所(こちらは経産省と文科省の傘下)はAIも量子コンピューターもやるようだし? なんでも、流行りの技術をやっていれば良いというものでもないと思うけど、産業技術総合研究所は最近はやりの新規技術をやらないのかな? 不思議?

 

(産総研のホームページを見ると、現理事長はいろいろ改革されているようですが、上に書いたような更なる改革が必要と思います)

 

2022年2月1日