例によって、今年1年の世相を反映させる「一文字」が発表された。
京都清水寺管主さんの手で、墨筆鮮やかに書き出される文字に注目した。
特に今年は、自分の中でも1年を振り返って「一文字で表すとすれば……」と、あれこれ考えた来ただけに、世相を映し出す公式の一字に大いなる関心を持っていた。それが、この『北』という文字に要約された。
今さら説明を待たない。1日とて新聞テレビの報道に載らない日はないほどの一字「北」である。
世界の関心を集め、世界が振り回されたと言っても過言ではない、封建社会の将軍様が君臨するかの国を指している。
一つ間違えば、太平洋を挟んで、核戦争に発展しかねない、あまり賢者とは言い難い二人の国家リーダーを指しているようでもある。
狭い道でクルマ同士が出会ったとする。どちらかが運転が上手であれば、バックするなり相手をうまく指導して、大事に至らないうちに何事もなかったように離合してことは終わる。ところが、下手と下手の出会いや、意地っ張りと鼻っ柱の強いもの同士が出くわすと、どっちも譲らず、いつまでたっても離合することも出来ず動けないまま。終いには喧嘩になったりし兼ねない。なんかしらそんな下らない、アホな結末を自ら招くのを非としないのが、この一字である。
さて小生自身の頭に残る「今年のひともじ」は、残念ながら後ろ向きの否定形になってしまう『不』である。
思い出したくもない、3月に突然の訃報に晒された実の姉の不慮の事故。理不尽な最期。不本意な別れ。その後の事故責任の行方さえ不明瞭で、未だに決着を見ない不透明さと不安。
仏の一番近くにいる肉親の弟として、何事にも経験不足な子ども二人に適切なアドバイスが出来たのかという不安。
その一方で、あまり出しゃばるのもよくない、と控えめになり過ぎた指導力不足など。
今年が終わろうとする今に至っても、何か釈然としない消化不良を抱えている気がしてならない。
世間一般を不安に陥れた一字「北」。そして個人的に悩まされ続けてきた一字「不」。
どちらも、なんとかいい方向で決着して、元気のある南向きで陽の当たる安穏な新年に期待したいものだ。
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