「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「宮仕え」

2021年03月15日 | つれづれ噺

                                                                    

一人はスーツにネクタイ姿。一人はラフな作業服姿。そんな若い兄ちゃん二人が前触れもなく訪れた。
「市役所の者ですが、少しお聞きしたいことがありまして」と低姿勢。ひょっとしてついに家庭訪問の特殊詐欺か。でも取られるモノ何も持ち合わせていないよなー。と思いながら対応すると、間違いなく市役所の職員と分かった。それも収税課員である。

「お宅の隣の空き地の畠は誰が作っておられるんですか」ときた。要するに隣の広大な荒れ地は、相続人はいるのだが、一級住宅地で固定資産税がかさむのでみんな相続放棄をしたのだという。そのような未収税の土地に畠など生産性のある使い方をすると、使っている人間に固定資産税が課せられるのだ。と初めて知った。

「そんなことなら、いつだって畠は辞める。但しこれは、荒れ放題の藪が家の側までやってきて、害獣やヘビの住処になる。そんなことを防ぐための、防衛手段として仕方なしに畠を作っている」だから「こちらは畠を辞める代わり、藪が押し迫ってきたり、害獣やヘビの住処になるのを防ぐためには、市役所が年に3回、丁寧な草刈りでもして、荒れ放題にしないと約束してくれ」みたいな押し問答を少々。

あまり居丈高に言ってもねー、相手も給料もらっての宮仕え。ここでケンカしても三文の得にもならんことを悟って、やんわり結論は?と迫ると「一端帰って上司とも相談しましょう」ということに。その夕方の電話で「荒れ地面積に対して畠耕作の面積比率が低いので、今まで通りにどうぞ。但し、それ以上広い畑になると状況は変る可能性があります」と。先ずは納得の出来る返答をもらってひと安心。

我が身を守るために、と思ってやっていることでも意外な方面から横やりが入るものだ。もっとも、畠作りと言っても今の広ささえ持て余し気味。これ以上など望みもしない。

それにしても、荒れ地の持ち主夫婦がお元気な頃に、耕運機で耕しに来るのを、おふくろが湯茶の接待をしたご縁で畠作りが始まったのだが、その持ち主もとっくに彼岸へ。ご子息がいなかったようで、ちゃんとした相続人もいないとはね~。年月とは時に残酷な姿を見せるものではある。

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