ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

マニフェスト

2009年07月27日 | Weblog
このところ、新聞でもTVでも、与党と野党とのマニフェスト合戦の話題でもちきりです。
一般国民のわたしたちから見たら、足の引っ張り合いのようにも見えますが・・・。

次期政権をとるかも知れない野党のマニフェストに、子ども支援が盛り込まれていました。
それはそれで歓迎すべきなんだけど・・・・、
「絵に描いた餅」を見せられているように感じてしまうのは、わたしだけでしょうか?

子どものいる家庭に、子ども一人あたりの育児給付金なるものを補助して下さるそうです。
それは大歓迎ですが、子どものいない家庭にしわよせが及ぶようになったらいけないですね。
高校生も(公立かな?)授業料は無料にする、とか・・・。
でもさ、高校生ぐらいの年齢になれば、勉強したくない子だっている。
高校の授業料を無料にするぐらいなら、保育園の負担をもっと軽くして欲しい。
保育園児を持つ親御さんは年齢も若いですから、お給料だって多くはありません。

子育て支援として金銭的バックアップをはかるのであれば、
0歳児~小学生(できれば中学生)までの年齢層の子ども・家庭に、もっと援助して欲しい。

そして、どこの保育園・保育所でも、お預かりするお子さんの人数に対して、
ギリギリの保育士さんの人数配置なのです。
ひとりでも手のかかるお子さんがクラスにいれば、大変です。
そのための補助要員の保育士さんを増やそうとするには、
そのお子さんが「手がかかる=発達障害」といった「診断書」がないと、
補助要員はつけていただけません。
こうして、書類上の「発達障害児」が増えてしまいます。

発達障害児がいけない、ということではありません。
ただ、なんでもかんでも、ちょっと手がかかると障害児扱いにしないと、
まともに子どもの世話もできない世の中になってしまっている、
そのことが、とても残念に感じるのです。

(発達障害については、本題とずれてしまうので、また別の機会に・・・)

0歳児なら3~5人にひとりの担任、
小学生なら、10~20人にひとりの担任、中学生なら、20~30人にひとりの担任、
で、義務教育の期間は、どのクラスも、担任と副担任がいて、
新米教員は数年間は副担任として現場の勉強をする、
このぐらいの制度改革はできないものなのでしょうかねぇ・・・。

医療の現場はもちろん大変ですが、
実は教育現場はもっと大変なことになっていると感じています。
医師にはまだ、研修医制度があります。
医師免許を取得しても、いきなり新米がひとりで患者さんを受け持つことはありませんが、
教育現場では、新任教師がひとりでいきなりクラス担任とかしてるでしょう?
本当は、学校や幼稚園の先生たちだって、数年間の研修期間は必要だと思います。
ましてやこのご時世、想像もつかないクレームをつける親御さんもいるでしょう。
資格だけで経験のない若い先生方には、あまりにむずかしい試練だと思います。
先生にも「不登校」や「うつ」が増えているらしい。

でも、保育士さんや教員を増やすためには、その報酬も必要なんですね。

それを、どうにかできないものなのでしょうか。

ゆとり教育を見直せといったって、
「ゆとり」の教育システムに対しての報酬が決まっています。
多くの先生方は、ほとんどボランティアで課外の業務をこなしているのではないでしょうか。
その上、生徒や親から罵倒されたのでは、たまりません。
(医師と同じで、なかには困った先生もいらっしゃるかも知れませんが・・・)

今の学校現場の疲弊と崩壊は、そのまんま、近い将来の医療現場と同じです。
いえ、すでに同じになりつつありますね。

保育園・保育所は管轄が文科省ではなく厚労省ですから、事情は少し違いますが、
人数を増やしたくても、報酬の面で増やせないのは同じだと思います。

例えば・・・、
保育園の数を増やす。保育士の人数を増やす。保育料の負担を軽くする。
小学校、中学校のクラスを少人数性にして増やす。
そのための担任教諭も増やす。
栄養士・養護教諭・学校カウンセラー(臨床心理士)も、全ての学校に配置する。
(これらの資格をもった人たちも就職ができます)

インフルエンザ・おたふくかぜ・水痘・肝炎・ヒブ、など、
現在任意で有料のワクチンを、全て無料にする。
全国の中学生までの医療費を、無料(が無理ならせめて1割負担でも)にする。

一家庭あたりいくら、という支援も結構だけど、せめてこっちをどうにかして欲しい。

高校生になる以前の、もっと小さい子どもたちが生活している全ての場面での支援を、
何とかして欲しいものですね。

この国の将来を本当に憂えて何とかしようとするなら、
まずは教育(勉強の教育だけじゃなくて)と健康維持にお金をかけないと・・・。

本当にそういうことに財源を導入するのなら、消費税が多少上がったって、
文句を言うひとは少ないと思うのですが・・・。