ひまわりの種

毎日の診療や暮しの中で感じたことを、思いつくまま書いていきます。
不定期更新、ご容赦下さい。

「苦難にある者たちの告白」

2007年09月03日 | 日々のつぶやき
「苦難にある者たちの告白」

2007/09/02
知人の先生から、表題の詩を教えていただいた。
原題は「A Creed For Those Who Have Suffered」

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     苦難にある者たちの告白

 大事をなそうとして力を与えてほしいと神に求めたのに
 慎み深く従順であるようにと弱さを授かった

 より偉大なことができるように健康を求めたのに
 よりよきことができるようにと病弱を与えられた

 幸せになろうとして富を求めたのに
 賢明であるようにと貧困を授かった

 世の人々の賞賛を得ようとして権力を求めたのに
 神の前にひざまづくようにと弱さを授かった

 人生を享楽しようとあらゆるものを求めたのに
 あらゆることを喜べるようにと生命を授かった

 求めたものは一つとして与えられなかったが
 願いはすべて聞き届けられた
 神の意にそわぬ者であるにもかかわらず
 心の中の言い表せない祈りはすべてかなえられた

 私はあらゆる人の中でもっとも豊かに祝福されたのだ

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この詩は、ニューヨーク市立大学のリハビリテーションルームの壁に刻んであるのだそうだ。
作者不詳、という説、J・ロジャー・ルーシー神父の詩という説、
ベトナム戦争で負傷した若者の詩と言う説もあるらしい。
日本語訳は、ノートルダム清心女子大学・学長をなさった渡辺和子シスターのものが
よく知られているそうだ。

わたしはカトリック信者ではないが、深い感銘を受けた。

開業して今年で12年。
産科は、唯一「命」の誕生にかかわることができる科でもある。
夫とともに、何千人もの方々に「おめでとう」をお伝えしてきた。
けれども、時として、重く深い「おめでとう」を告げねばならぬこともある。
  待ち望んだ我が子が、まさか・・・・・。
重い事実を告げられたご両親の衝撃と悲しみを思う時、
なんとわたしたちは無力なのだろうと思う。

あるがままを受け入れて生きることは時に苦しい。
それでも人は、死ぬまで「生きる」権利も義務もある。
どんな形であれ、無駄な「命」はないのだ。
天使のような笑顔の赤ちゃん、ようこそ、この世に生まれてきて、おめでとう。
わたしはあなたの笑顔から、また大切なことを教えていただきました。

今つらい思いをしている全ての人に、この詩を贈りたい。

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2 コメント

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はしたなくも求めたものは (なおみ)
2013-02-05 15:00:31
私も手に入れられませんでした。
努力すればなんだって叶うと
かつては傲慢にも思っていたのですが。

おかげさまでいのちはあります。
でも辛く苦しい時には
そのことに感謝なんかしなきゃいけないんだろうか
と神様に喧嘩を売りたくなることも。

>時として、重く深い「おめでとう」を告げねばならぬこともある。

お医者様のお仕事が行き届くようになり
昔なら助けることができなかった命が救われ
そのことによって長く続く苦労を目の当たりにした時

お医者様は命を救うのが仕事
でも・・・退院したらそこまでで
なんか・・・なんかなあ・・・と
思っていたことがあるんです。

そうかといって生まれる前の診断で
どうします?と聞かれるのもなんかなあ・・・。

私にとって多くのお医者様は
気持ちの上でとても遠い人でした。

(この間20分ぐらいためて読んでください)
ひまわり先生がいてよかったです。


>重い事実を告げられたご両親の衝撃と悲しみ

もちろん
自然な心の働きで
このことに打ちのめされることはあっても
多くの親御さんは負けたままではいません。

一緒にいきましょうと
ひとりにはさせませんよと
そういう人が必ず近くにいるからです。
返信する
Unknown (ひまわり)
2013-02-06 02:04:55
なおみさん
コメントありがとうございました。

一生懸命努力すればたいていの望みは叶うものだと、
わたしも若い頃は思っていました。
でも現実はそうそう甘くないですね。

誰もが順風満帆の人生を送れるわけじゃない。
でもそれが自分の身に起こるなんて普段は考えない。

幸せか不幸かの物差しなんてものは本当はなくて、
上も見ても下を見てもきりがないことなのだけれど、
どうして自分だけ・・・?、
どうしてうちの子は・・・? って、考えるのは辛いことですね。

だけど、この過程を経ないとやっぱり先は見えないわけで・・・。

 >自然な心の働きで
 >このことに打ちのめされることはあっても
 >多くの親御さんは負けたままではいません。

 >一緒にいきましょうと
 >ひとりにはさせませんよと
 >そういう人が必ず近くにいるからです。

力強い言葉ですね。ありがとうございます。
クリニックにおいでになるお母さまたちにもお伝えしたいです。

そうなんですよね。
ひとりじゃない、これ、大事なことですね。

そしてわたし自身も、お母さまやお子さんたちからエネルギーをいただいてます。
返信する

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