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大相撲と鉄道 木村銀治郎

先日読んだ交通新聞社新書の本が面白かったので、本屋さんに行って同新書のコーナーを探して見つけた一冊。著者は鉄道ファンでもある幕内格の行司さんで、大相撲の行司の仕事に関する基礎知識、全国各地の本場所や地方巡業を行うための力士・関係者の移動における鉄道との関わりなどを細かく教えてくれる内容。行司さんの仕事は、取り組みの行司だけでなく、相撲文字による番付作成、場内アナウンス、星取表の作成、力士たちの移動、宿泊手配一式、後援会との連絡、礼状、案内状の作成、イベントの司会や受付など、雑務全般の多岐に渡っているということを初めて知った。この中で重要なのが力士たちの移動と宿泊。十両以上の力士や親方などは各自で移動するが、幕下以下の力士は団体行動が原則で、年間200日弱(本場所90日+地方巡業100日)のスケジュールや移動手段と宿泊先の手配が著者の重要な仕事とのこと。本書の大半はその業務の解説だが、体重が重すぎて実質的に航空機が使えないこと、相撲界独特の上下関係の厳しさ、荷物の多さなどから、ものすごく苦労する業務だということが伝わってくるし、この世界の前時代的な悪習の闇が大きすぎて怖いほどだ。一方、上京のために同じ列車に乗車した若者が2人共横綱(若乃花、隆の里)になったという出世列車「寝台特急ゆうづる」、力士の名前がついた特急「かいおう」、全国の駅にある力士像、大井川鐵道の運転士になった元力士、「大行司」という名前の駅、力士の姿にラッピングされた列車など、相撲と鉄道という2つのジャンルに関したエピソードが多数紹介されていてその辺りはほのぼのとしていて面白かった。(「大相撲と鉄道」 木村銀治郎、交通新聞社新書)
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