goo

クスノキの女神 東野圭吾

著者の最新刊。ある人が新月の夜に思いをクスノキに託し、満月の夜にその思いを誰かが受け取るという設定の前作「クスノキの番人」の続編。本書で登場するのは、ヤングケアラーで自作の詩を書く女子高校生、即興で物語のストーリーを絵画化するのが上手い難病の中学生など困難に直面している人たちだが、読んでいて不思議と心温まる気持ちになれるストーリーだ。最近読む本が押し並べて閉塞感の強い現代日本を映した陰鬱なものが多い中、こうした本を読むと気持ちがとても和む。前作で主人公以上に存在感の強かった主人公の叔母に大きな変化が見られ、このシリーズに続編を期待して良いか難しいところだが、このシリーズのシチュエーションを活かしたファンタジー、まだまだ読んでいきたい気がする。(「クスノキの女神」 東野圭吾、実業之日本社)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )