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アーモンド ソンウォンピョン

本屋大賞などで話題の本書。失感情症の主人公が、周囲の様々な偏見や無理解に直面しながらも、手を差し伸べてくれる理解者、厳しい環境に育った不良の同級生などと関わりながら、自分を見つめ、成長していく姿が淡々と描かれている。ネットなどによる偏見の拡散、周囲の空気に共感することに四苦八苦する現代社会など、様々な問題提起もあるが、本書の核心は感情というものが人間関係にもたらす様々な功罪についての考察だろう。少なすぎてもこまるし、多すぎてももやっかいなもの。まさにカント流の感性と悟性に関する永遠の課題を改めて考えさせられた。(「アーモンド」 ソンウォンピョン、祥伝社)
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