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熱帯 森見登美彦

千夜一夜物語のオマージュ作品というか、そこからインスピレーションを得た作品というか、いずれにしても同作品の影響が色濃い本作。論理的な謎解きなどを期待しなければ楽しく読書の時間を満喫できる点はいつも通りの著者の作品だが、熱帯の島とか昔を懐かしむ年配者達とか、これまでの著者のイメージとは少し違う感じの部分があって、その意味では新境地の作品と言えるだろう。なお、カバーを外すと「原色の簡単な幾何学模様」の表紙が現れて、作品のなかで紹介されている謎の本が出現するという趣向。物語の内容と合致していて、洒落ている。(「熱帯」 森見登美彦、文藝春秋)

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