本を読むのが好きな人間にとって、どのように良い本に出会うかは決定的に重要だし、何年本を読んでいても、なかなか自分にとってベストの方法というものを確立できないのが大きな悩みだ。今の自分は、書評誌、新聞の書評欄、本屋さんの店頭の3つがおもな情報源だが、書評誌では自分と好みの似ている書き手を見つけるのが大変だし、新聞の書評欄は明らかにエンターテイメント軽視で内容が偏っているように感じる。そうなると、どうしても本屋さんの店頭での直観頼みになるし、読んで面白かった本の続編がどうしても目についてしまう。そのせいか、自分の読書のなかで、シリーズものの割合がどんどん増えていて、シリーズの新刊を追いかけるだけでかなりの時間を取られてしまうという事態になってしまっている気がする。割合で半分くらいはシリーズものという感触だ。「これではいけない」という思いが強いところで、本書は、新しい本との出会いを可能にしてくれそうな気がして、読んでみた。内容は、著者が考案した「本を紹介しあう会合」をルール化した「ビブリアバトル」というものの解説だが、著者があとがきで述べているように、まさに「良くそれだけで1冊の本になっているなあ」という感じだ。(「ビブリオバトル」 谷口忠大、文春新書)