goo

きみはいい子 中脇初枝

色々な視点から「児童虐待」を扱った短編集だが、扱われているテーマがテーマだけに、やるせない気分になる話ばかりだ。しかし、子どもを打ってしまう母親の視点で描かれた2つ目の作品を読むと、虐待する親の心理・論理というのはこういうことなのかという感じで、単純な善悪の概念とか人間の弱さとか、そうしたありきたりの見方ではおそらく理解できないものがはっきりと読者に伝わってくる。何かを啓蒙するということでもなく、淡々と冷静に内面を抉る本書、まさにこれが文学なのだろう。(「きみはいい子」 中脇初枝、ポプラ社)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )