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死亡フラグが立ちました 七尾与史

2011年12月26日 | 読んだ本

題名から類推して、ケータイ小説のような軽くて新しい文体の小説かと思ったら、普通に読み慣れた文章のミステリーだった。むしろ普通よりも「書き込んだ」という感じがする密度の濃い文章が続き、それほど大著ではないが、濃縮された文章を堪能できたような気がする。事件や犯人の造形自体はかなり現実離れしていて、ご都合主義についていけない部分も多かったが、文章自体の魅力で最後まで読ませる力量には感心させられる。本書は懸賞の応募作品ということで、明らかに力が入りすぎているというか、面白くしようとしすぎている部分がある。この作者に対しては、そうした気負いをなくして、奇想天外なストーリーの追求だけに注力したような作品を是非読んでみたいと思う。(「死亡フラグが立ちました」 七尾与史、宝島文庫)