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神様のカルテ2 夏川草介

2011年03月05日 | 読んだ本

本屋大賞の第2位になった前作「1」の続編。「泣かせる本」としては、前作よりもさらにパワーアップしており、今年の本屋大賞の有力候補であることは間違いない。最後のところの「病院の屋上での出来事」では、涙ぐまずに読むのは難しいというか、ここで涙ぐまないようでは本書を読む甲斐がないという感じだ。前作では主人公の不自然な文語体のような口調と主人公の妻の読んでいる方が恥ずかしくなるような甘い口調の両方が、「作者の照れ隠し」のようで気になってしょうがなかったが、本作ではそれが少し改善されているように感じた。医療の世界の問題点を指摘する本という意味では、海堂尊の一連の作品に繋がるものがあるが、同じ問題に対する両者のアプローチの違いが対照的で面白い。(「神様のカルテ2」 夏川草介、小学館)