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内科専門医のための新しいリベラルアーツ 連載 その55

2014-06-20 | 師の言葉

 今回も「総合医としての内科専門医」と題して「内科専門医としての新しいリベラルアーツ」をお送りします、では

 評論家の立花 隆氏は、難問が山積している現代社会の最前線において、その問題解決のための必要な人材はゼネラリストであると述べ、その著書の中で、次のように記している。

 「例えば環境問題を解決しようと思ったら、工学、医学、生理学、化学、気象学、法律学、経済学、社会教育学などなど、あらゆる関連学問を動員する必要があります。 社会のあらゆる部門の現場で同じような要求があります。 そのような要求に対し、それなら専門家をどんどん集めてくれば良いかというとそうはいきません。 どういう問題でも、その問題の全体像をとらえ、今何が必要で、それは誰がどういう役割分担すればいいかを考えるマネジメントが的確に出来るゼネラリストが必要なのです。 問題解決に参加する専門家も専門領域を超えた目が持てるゼネラルなスペシャリストが必要なのです。 そういう人材を社会に供給していくために必要なのは、学生をどんどん専門課程に送り込んで狭い領域のことしかわからない専門的スペシャリストを沢山育てることではありません。 むしろ、いろいろな専門領域のことまである程度わかるというゼネラリストを育てるために、新しいリベラルアーツを構築することです。」

 ここで登場した「専門領域を超えた目が持てるゼネラルなスペシャリスト」、そして「いろんな専門領域のことまである程度わかるというレベルのゼネラリスト」を、内科領域で捉えると、「内科専門医」がそのような存在と言える。

 また、歴史上類をみない超高齢化社会を迎えている日本における、臨床現場での老人診療では、多臓器に障害を抱えている患者がますます増えてきており、従来の臓器別メンタリティーでは対応できなくなってきている。 メンタルヘルスや生活全体をケアする役割としてもゼネラリストのニーズは大きい。

 そして、患者診療だけでなく、病院内外の様々な問題を解決し、また医学生や研修医の指導を効果的に行うためには、臓器別スーパー・サブ・スペシャリストではなく、むしろスーパー・ゼネラリストのニーズが高い。

 今回はここまでです、続きは次回に。

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