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かゆみが出た!

2015-07-13 | 養生訓

今回も「賢く選ぶ百歳長寿の養生訓」からお送りします。

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かゆみは軽く局所のみですぐにおさまるものが多く自然に消失することが多いですが、なかには重篤な病気が原因となることもあります。とくに、全身性のもので症状が徐々に増悪するものや、発熱や気分不良などの全身症状を伴うものは要注意です。

かゆみの原因となる主な病気を下記にお示しします。

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A:境界不明瞭の紅斑などの皮膚障害があってのかゆみ

 水性掻痒症、アトピー性皮膚炎、水疱性類天疱瘡、接触性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、ファイバーグラス皮膚炎、虫刺症、汗疹(刺すような熱感)、しらみ症、疥癬、蕁麻疹、乾皮症(皮膚乾燥症)

B: 境界明瞭の紅斑などの皮膚病変を伴うかゆみ

 薬疹、毛包炎、真菌感染、偏平苔癬、慢性型単純苔癬、菌状息肉症、落葉状天疱瘡、ばら色ヒ糠疹、妊娠に伴う掻痒性蕁麻疹様丘疹もしくは斑、乾癬、日光皮膚炎

C:全身の病気に伴うかゆみ

 AIDS、薬物性胆道系疾患、妊娠、肝硬変、慢性腎不全、甲状腺機能亢進症、リンパ網内系疾患(悪性リンパ腫など)、内臓の悪性腫瘍

D:最も多い原因と、配慮すべきこと

 乾皮症は若年層、老年層のどちらにおいても、皮膚掻痒症の原因として最も多い。慢性腎不全は二次性の皮膚掻痒症と最も関係のある全身性疾患である。悪性腫瘍は慢性皮膚掻痒症で重要であるが、悪性腫瘍が併発するのは1%にすぎない。

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原因についての診断と治療が基本ですが、一般論としての、かゆみを訴える患者さんへのアドバイスを下記に示します。

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●皮膚の潤滑剤を多量に使用

 寝る前にワセリンや潤滑クリームを使用:アルコールの入っていない、低刺激性のローションを日中は頻繁に使用する。

●入浴の回数を減らす

 温めのお湯に短時間つかるようにする:入浴後、短時間でたたくように乾かし、すぐに皮膚潤滑剤を使用する。

●低刺激・無香・低アレルゲンの石鹸を1週間に2,3回使用する

 毎日石鹸を使用するのはそけい部と腋窩部(脚、腕、体幹は除く)に制限する。

●乾燥した室内環境を加湿する、特に冬皮膚を刺激しない衣類を選ぶ

 (2度洗いした綿やシルク製が望ましい);羊毛やなめらかな手触りの綿、保温素材(化学繊維)製の衣類は避ける。シーツを洗う際にはすすぎの時にバスオイルを加える。

●血管を拡張させるもの(カフェイン、アルコール、スパイス、温水;シャワー)の使用や過度の発汗は避ける

●爪を短く清潔に保ち、掻爬による合併症を予防する

 掻きたい衝動を抑えられないときは手のひらで皮膚をこするようにする。

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では、今回も「賢く選ぶ百歳長寿の養生訓」から、下記です。

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第1条:かかりつけ医のていねいな病歴聴取と皮膚の診察で、診断がつくことが多いのでがまんしないで相談してみる。

第2条:診断がつかない場合も、かゆみは苦痛を伴う症状なので、治療を受けながら、経過観察のために受診する。

第3条:かかりつけ医から提案があったら、皮膚科などの他科専門医にも受診して相談してみる。

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今回は以上です、話変わって、台風9号の影響もあるといわれていますが、全国各地で35度を超える猛暑日になっています、昨日は90過ぎの高齢者が亡くなってます、皆さんこまめな水分補給とあればエアコンで温度調節して下さい、自分は大丈夫と思わないように、では次回に。

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こんなとき、フィジカル: 超実践的! 身体診察のアプローチ
徳田安春
金原出版

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