前回に引き続き、健康長寿は子供から、親がいますぐできること、を考えていきましょう。
妊娠中は薬剤を服用すると、胎児になんらかの影響を及ぼします。 薬剤は妊娠中には基本的には中止・代用薬へ変更しますが、抗けいれん薬のように中止できないものもあります。 妊娠中に薬を服用する場合は、必ず医師に相談してください。
妊娠中はもちろん、妊娠前後も喫煙はやめましょう。
妊娠中の母親のアルコールは、胎児アルコール症候群、アルコール性先天奇形などの原因となります。 また、出生後の言語・運動発達の遅れ、IQの低下などとも関係すると考えられています。
その他、CT検査などの放射線の曝露、メチル水銀、鉛、妊娠初期での発熱なども先天性奇形の原因となるので、注意が必要です。
妊娠週数は最終月経の初日から数えますが、妊娠第2~10週までは、脳、心臓、四肢、そのほか人間にとって重要な臓器がつくられる時期であり、器官形成期と呼ばれ、環境要因による影響をとくに受けやすい時期であることがわかっています。 もちろん個人差があり、この時期に環境要因に曝露したからといって100%奇形児が生まれるわけではありませんが、細心の注意をはらう必要があります。
また、器官形成期を過ぎていても出産までに環境要因の曝露があった場合、生まれたときに外観は正常であっても、その後の発育遅延などを引き起こすこともあり、妊娠中を通して細心の注意が必要なのはいうまでもありません。
中枢神経の形成に葉酸(ホウレン草、ブロッコリー、カリフラワーなどの緑黄色野菜に多く含まれるビタミンB群)は欠かせません。 1990年代前半に葉酸欠乏と脊柱管閉鎖不全などの中枢神経系奇形との関係が明らかとなり、アメリカでは現在妊娠可能年齢の全女性に葉酸一日400ミリグラム、妊婦には800ミリグラムをとるようにすすめています。
明らかな効果が期待されているため、妊娠希望女性は葉酸をぜひ摂取してください。 また、葉酸を強化したパンやシリアル、緑黄色野菜などを食べることが大切です。
これまでにあげた環境要因を十分考えて、計画的に妊娠を行うことは非常に重要です。 しかし、ここ数年、沖縄県にかぎらず全国でも十代の人工妊娠中絶、性行為感染症の増加が報告されており、社会全体で取り組まなければならない大問題になっています。 コンドームなどによる避妊の徹底、妊娠希望であれば妊娠前検査を行い細心の注意をはらって新しい命の誕生を祈り、大事に見守る必要があります。
今回はこの辺で、次回は乳児突然死症候群の原因と予防について考えていきましょう。