腰痛はよくある症状ですが、大部分は自然に治ります。重篤な原因による危険な腰痛かどうかは、レッドフラッグ(赤い旗)と呼ばれている警告症状を伴う場合です。レッドフラッグがあるときは、直ちに医療機関へ受診しましょう。そうでなければ、少し様子をみてよくならなければ、かかりつけ医に相談しましょう。
腰痛症の原因は、大きく分けて3つあります。筋骨格系の機械的原因による腰痛、非機械的脊椎疾患による腰痛、そして内臓・血管性疾患の3つです。このうち、筋骨格系の機械的原因による腰痛が最も頻度が多いです。下記にそれぞれの病気をお示しします。
(1)筋骨格系の機械的原因による腰痛/下肢痛(97%)
腰椎圧迫、腰椎捻挫(70%)
年齢による椎間板や関節面の変形(10%)
椎間板ヘルニア(4%)
脊柱管狭窄(3%)
骨粗鬆症による圧迫骨折(4%)
脊椎すべり症(2%)
その他、外傷性骨折 先天性疾患 脊椎分離症 椎間板分離など
(2)非機械的脊椎疾患(1%)
悪性疾患
・多発性骨髄腫
・癌の骨転移
・白血病
・脊髄腫瘍
・後腹膜腫瘍
・原発性脊椎腫瘍
炎症性関節炎
・強直性脊椎炎
・乾癬性脊椎炎
・ライター症候群
・炎症性腸疾患
骨軟化症
バジェット病
感染・骨髄炎
・敗血症性椎間板炎
・腸腰筋膿瘍
・硬膜外膿瘍
(3)内臓・血管性疾患(2%)
骨盤内疾患
・前立腺炎
・子宮内膜症
・慢性骨盤内炎症性疾患
腎臓疾患
・腎内結石症
・腎盂腎炎
・腎膿瘍
大動脈瘤・大動脈解離
胃腸疾患・膵炎
ここで、重篤な疾患を考えるべき、腰痛でのレッドフラッグ(警告症状と警告所見)を下記に示します。
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全身状態:4~6週間の保存療法でも改善しない
夜間疼痛や安静時痛
筋力低下や感覚障害の進行
癌:50歳以上
癌あるいは癌を強く疑わせるような病歴
原因不明の体重減少
感染:静脈麻薬の使用
最近の尿路感染症、皮膚感染症
免疫抑制状態
発熱、悪寒
骨折:50歳以上
骨粗鬆症の既往
慢性のステロイド使用
薬物乱用
強い外傷
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では、「賢く選ぶ百歳長寿の養生訓」より、腰痛での養生訓をお示しします。
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第1条:「腰が痛い」という訴えで最も一般的にみられる原因は、筋骨格系の機械的疲労である。一時的に悪化することがあっても、保存的に様子観察が可能であり、通常長期間の合併症が現れることは少ない。
第2条:一般に腰痛では検査や画像で重篤な疾患が見つかることは少ないので、レッドフラッグが病歴と身体診察であれば、検査を考慮する。
第3条:「腰が痛い」患者においては、痛みのコントロールも必要であるが、同時にその背景に隠れている心理社会的問題も関与している可能性もある。
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今回のシリーズは以上です、話変わって、アメリカのフロリダ沖において約300年前のスペイン船団の財宝およそ100億円が引き上げられたそうです、金貨や銀貨、金製品などだそうです、すごい話ですね、ロマンがありますね、では次回に。
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