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総合診療医Dr徳田安春の最新医学情報集

ふさぎの虫ーうつ病を正しく理解する

2015-07-29 | 養生訓

 だるい、集中力がない、食欲がない、そんな日が続いたら自分は「うつ病」ではないかと思うことはないですか? 学校や会社に行きたくない気分になったら自分は「うつ病」ではないかと思うことはないですか? 

 

数日間(厳密には2週間未満)の症状では「うつ病」ではありません。実は「うつ病」という正式名称の病気はありません。「抑うつ状態」というのはあります。しかしながら、一般的に「抑うつ状態」は「うつ病」という病名となっていますので、ここでも「うつ病」という名称を使います。

 

それではまず、「うつ病」の診断を下記にまとめました。下記の(A)(B)(C)の3つを満たすことが必須です。

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(A)以下の症状のうち、5つ以上(1または2は必須)がほとんど毎日2週間以上持続する。

1          1日中、ゆううつ(悲しい、空虚、泣くなど)

2          1日中、何に対しても興味、喜びを感じない

3          食欲が低下し、ひどく体重が減る。または逆に亢進して体重が増える。

4          不眠または眠りすぎる

5          周りから見ても、イライラがひどいか、ひどく動きが鈍い

6          疲れやすく、無気力

7          自分は無価値、罪深いとの意識がある

8          考えが進まないし、集中できない、決断できない

9          自殺を繰り返し考える

(B)(A)の症状のため著しく苦しんでおり、普段の生活に困難が生じる

(C)薬物や身体疾患の直接的な結果ではなく死別反応(家族など)でもない

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躁(そう)病とは、気分が病的に高揚し、暴言や異常行動をきたすものです。これは、精神科疾患に属します。躁(そう)状態とうつ状態を繰り替えす場合、躁うつ病(双極性障害)といいます。躁(そう)病の診断を下記にまとめました。

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(A)気分が異常かつ持続的に高揚し、いつもと違って怒りっぽく、開放的な状態が1週間以上続く

(B)その期間中に以下のうち3つ以上がはっきり持続する

1          自尊心が肥大、または誇大

2          眠らなくても平気

3          普段より多弁、喋り続けようとする

4          考えがどんどん発展し、まとまりに欠ける

5          注意散漫(重要でない事柄に関心がころころ移るなど)

6          職場、学校、社会での活動過多、または焦燥感

7          悪い結果を生むような快楽的活動、例えば浪費、性的無分別、馬鹿げた投資などに熱中する

(C):(A)(B)の症状のために社会活動、人間関係、職業的機能に深刻な支障を起こすほどであるか、自己、他者を傷つけるのを防ぐための入院が必要なレベルであるか、または精神病性の特徴が存在する

(D)薬物や身体疾患の直接的な結果ではなく、死別反応ではない。

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では、「うつ病」の疑いで、受診するときの心得3ヶ条をお示しします。

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第1条:うつ病はよくある病気ですが、一時的な「抑うつ状態」のこともあります。

第2条:うつ病の要因の大部分は心理・社会的背景に関係しています。

第3条:精神科医のみならず、家庭医、総合内科医もうつ病診療を行っています。

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あとがき

夏休みが始まったとたんに、連日の猛暑日、体温を超える気温、照りつける太陽、皆様お体には十分にお気をつけ下さい、水分補給をこまめに、喉が渇いてからでは遅いです、自分が思っている以上に水分を失っています、では次回まで。

ドクター徳田安春の養生訓―元気な100歳をめざせ
徳田安春
西村書店

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