水戸協同病院総合診療科初診外来部門では毎週木曜日の午前に闘魂外来他流試合を受け入れています。今回は、栄誉ある他流試合第一号を名乗り上げて、見事に勤めを果たされた小野正博先生の記録を、小野先生のご承認を得たうえで公開いたします。
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水戸藩道場破り日記①
昨日の水戸藩道場破りについてご報告いたします。今からでも参加したいという方のためにやや詳細に書きます。結論から言いますと、こんなに勉強になってしかもお金までもらえるというのは私の経験では他にありません。そしてこの企画はたまたま外来のブースが空いたから可能になったもので、期間限定です。9月12日、19日、26日はまだ空きがありますので、希望者はぜひ徳田先生に連絡をしてみてください。
8月22日午前6時半起床。昨夜の「誤診マイナス5000円」が頭に残っており、気分はややブルーである。何となく「カイジ」という漫画を思い浮かべる。午前7時半上野発のフレッシュひたちに乗りこんだ。水戸協同病院は駅から近く、9時前に受付につくと徳田先生が迎えに来て下さった。着替えをし、すぐ外来に向かう。
午前中の初診外来のブースは４つあり、その一つを私と徳田先生が担当する。私が問診、診察、鑑別診断、口頭での検査、処方のオーダーをし、隣にいらっしゃる徳田先生が電子カルテの記載や実際の検査のオーダー、処方まで行ってくださるという手筈である。ちなみに学生が行う闘魂外来では3人1組であり、1人がメインで診察をし、もう１人が補助、3人目は入力を行うということである。
まず、初診患者は全例、ナースがバイタルサイン（呼吸数を含めて）をとってくれているということに感動した。
1例目は今朝からの右肩甲骨内側の激痛であった。OPLLの既往があり、右Spurling test陽性で、頸椎症性神経根症を疑った。頸椎X線などの検査を行い、整形外科へ紹介した。
2例目はめまいで、頭位性で持続時間が短いことからBPPVを疑った。Dix-Hallpike陽性で、Epley法を3回行ったところ、めまいはなくなったが、「気持ち悪い」との訴えがあり、待合室で休憩していただいた。その後症状は改善し、帰宅可とした。
3例目は毎年胃カメラをしていて、胃カメラを希望して来院した方だった。問診、身体所見をとって、胃カメラをオーダーした。赤字はまぬがれそうな気がしてきた。
4例目は10日前からのフォーカス不明の発熱であった。忽那先生が前回の闘魂祭で「発熱患者には海外渡航歴と性交渉歴を必ず聞くように」と学生に話していたのを思い出した。聞いてみると、性交渉歴があり、STDの治療歴があった。バイタル上SIRSであり、尿検査、血液検査、血培などをオーダーし、入院とした。徳田先生が前医に処方を問い合わせるよう、迅速に指示を出してくださった。Jolt陽性のため、入院までの間、外来でルンバールを行うことになった。前日高齢者のルンバールを久しぶりに行って、成功していたので、少しは自信があったが、局麻でいきなり血液が引けてしまい、ビビってしまった。万一医療事故でも起こそうものなら、「誤診マイナス5000円」どころではない。場所を変えて行ったがうまく行かず、苦心していると見るやすぐに徳田先生が代わってくださり、成功した。なぜ失敗したのか考えてみると、体位をうまくとれていなかったことに尽きる。体位を介助してくれる人がいないなど、ふだん自分が行っているやり方とは違うため、手技には慎重に臨むべきだと思った。ちなみに髄液は無色透明だった。
徳田先生は他のブースの監督も兼ねているため、待ち時間があり、私が実際に診察したのは4名だけだった。徳田先生の再診の患者さんも3名外来に来られたが、急性扁桃炎、IgG4関連疾患とRS3PE症候群だった。他のブースの先生が診た患者さんで興味深かったのは、両側鼠径部だけのリンパ節腫脹、DPP4阻害薬との関連が疑われた急性膵炎だった。
1時半ころ昼食をとり、道場破りは終了となった。要するに道場破りとは、徳田先生と一緒に初診外来をやることであり、徳田先生が隣にいらっしゃる以上は「誤診マイナス5000円」の心配はしなくてもよいのであった。
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以上、小野先生、ありがとうございました！
徳田安春
