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山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

北岳で見つかったシダを確認に行く ~花編~  令和2年9月27日

2020年09月30日 | 山に咲く花
 北岳はシダを見てきただけではなく、もちろん花も見てきた。特に登山者が入らない状況の中で植物がどうなっているのかに興味があった。聞くところによると御池小屋周辺に群生していたアザミ類はほとんど食害で消滅してしまったと聞いた。標高3,000mあたりの場所で猿の集団に会ったという話も聞いている。人が入らないからと言って植生に良い影響があるとは言い切れないようである。


    姿を現した北岳。上にも行ってみたいが今年は無理。


    フジアザミは枯れはじめである。


    ホウキアザミ。工事関係者が入るこの場所は残っている。


    もう終焉である。


    コウシンヤマハッカの群生


    ナギナタコウジュの群生


    もう消滅してしまったのではないかと思っていた場所で出会ったアオキラン。


    こんな大株を見るのは久しぶりである。これは今年人が入らなかった影響なのか、それとも当たり年なのか?


    終わりかけてはいるがたくさん見ることが出来た。


    来年もまたたくさん咲いて会えることを期待したい。


    白根御池。この周辺はシカの食害が酷いと聞いている。


    ここにはセンジョウアザミの群落があったはずだが、ハンゴンソウに代わってしまっている。


    わずかに残っていたセンジョウアザミ。もっと背が高くなるはずだが食害で大きくなれない。テント場近くで人が居たことが鹿の制御になっていたようだ。


    復活できるのかどうか?囲ったとしてももはやハンゴンソウに負けてしまいそうである。


    キタザワブシ


    画像では分かりにくいが花茎に屈毛が生えている。

 大樺沢二俣まで行って雨に降られて引き返し、さらには頭上で轟く雷を避けて急いで下山となった。広河原に到着するころには雨が上がり、鳳凰山の斜面には陽が差し込んできた。


    二重の虹が出た。


    立ち寄った広河原園地で結実したホザキイチヨウランに出会う。

 これにて山梨県山岳連盟による今年の山岳レインジャー調査はすべて終了である。最後の虹はご褒美だったのかも知れない。これからさらに大変な調査まとめ作業が待っている。





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北岳で見つかったシダを確認に行く ~シダ編~  令和2年9月27日

2020年09月30日 | シダの仲間
 今年は入山が規制されバスも運行されなかった北岳であるが、植物調査は山梨県からの依頼で行われることとなった。ただし、山小屋は運営されていないためテント泊で行くか日帰りで行くかということになり、ほとんどの調査は行けるところまでで日帰りで行われた。そんな中でハナワラビ属のあまり見かけないシダが見つかったとの報告が上がって来た。画像をシダの専門家の方に鑑定していただき、エゾフユノハナワラビであろうということになったのだが、撮影された画像では茎と葉裏の軸の毛が十分に見えていない。確認に行きたかったが今年は無理だろうと思っていたところ、幸運にもこの日は調査に行くグループが無くゲートの鍵を借りることが出来た。林道通行許可証の期限は9月30日までで、この日を逃すともはや入山は不可能となるので、植物調査を兼ねて北岳に入山する。


    途中までは暗い霧の中だったが、広河原に到着すると青空が見え北岳が姿を見せてくれた。


    大樺沢沿いの登山道にたくさん生えているこのシダはイッポンワラビだろう。


    中肋と辺縁の中間あたりに付く円形ないし楕円形ソーラス、イッポンワラビで間違い無さそうだ。


    早々に現れたウサギシダ。もう痛み始めていた。根元にあるのは別のシダで、おそらくオシダ。


    別の場所でもウサギシダを見たが、もうボロボロである。個体数は少ない。


    ウサギシダ


    イッポンワラビに似るが小羽片に円みのあるシダが現れた。最下羽片には柄がある。


    長楕円形のソーラスが付着し、小羽片の切れ込みが深い。ミヤマシダと思われる。


    葉の隙間が密で違うもののように見えるがこれもミヤマシダだろう。


    高度を上げて標高2,000mを越えたあたりから出現したシダ、ミヤマメシダ。


    根元近くに真っ黒な鱗片が付いている。


    御池に到着。あまり時間が無いのでそのまま休まずに進む。


    ミヤマシダに似るがさらに小羽片先端部の切れ込みが深いシダが現れた。これがキタノミヤマシダであろうか?


    楕円形ないしは長楕円形のソーラスが付着。葉の切れ込み方からキタノミヤマシダだと思われる。


    大型のシダが現れた。見ればすぐに分かるオオメシダ。


    綺麗に整列した長楕円形のソーラスは蕁麻疹のように見える。


    見ておきたかったイノデがこれ。葉の下側のほうが縮小して全体的に流線型となるイノデ、ホソイノデ。


    ソーラスは中央から上方に寄って付く。やや多き目のソーラスが付くと思っていたのだがこの個体ではあまり分からない。


    淡褐色の鱗片、柄は短め。


    中軸中央部の鱗片は披針形でイワシロイノデに似ている。今回いちばん確認しておきたかったのがこの部分の鱗片である。


    もう枯れ始めているオオバショリマ。


    流線型のボディはクサソテツに似ている。ホソバショリマをそのまま大きくしたような形である。


    小さ目のソーラスはやや辺縁寄りに付く。


    大樺沢二俣に到着。期待していたカラフトメンマはもう枯れ始めていた。


    カラフトメンマと大樺沢


    ソーラスは裂片の中軸と辺縁の真ん中に付く。オシダと良く似ている。


    ゴワゴワした鱗片もオシダに似ているが幅が狭いかも知れない。

 二俣で休憩と思ったがここで雨が降り出してしまう。御池小屋まで戻って休憩しようと思ったが今度は遠雷が鳴り出し、止む無く休まずにそのまま下山することになってしまった。雨足は次第に強くなり、頭の上では雷が鳴り出した。ひたすらに下りて御池小屋分岐まで行ってやっと休憩である。

 目的のハナワラビ属は十分に時間をとって観察してきた。


    新たに発見されたハナワラビ属のシダ。


    胞子嚢が成熟していちばん元気な状態である。さて、これの正体は?


    葉裏を見てみる。


    やはり、まばらではあるが細くて長い毛が付いている。


    葉茎にも毛があるのを確認。これはエゾフユノハナワラビである。

 毛が生えていなければヤマハナワラビの可能性が高かったが、密ではないが細くて長い毛が生えていることが確認され、これはエゾフユノハナワラビと見て良いだろう。エゾフユノハナワラビはやや寒い地域に生育しているが、分布を見ると南アルプスの静岡県側にも生育しているようで、おそらく山梨県でも南アルプスだけでなく八ヶ岳や奥秩父山系にも生育している可能性が高いと思われる。さらに調査を進めて行きたい。



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