佐伯泰英の「吉原裏同心」シリーズの第22作『夢幻』を読んだ。4月20日発行されたばかりの文庫である。神守幹次郎は、流浪の果てに吉原で会所の用心棒的役割をはたし、いつしか裏同心とも称されるようになっている。今回の話は、吉原で生計をたてていた按摩の孫市が殺されることから始まる。神守幹次郎らが調べを進めるうち、孫市の不遇な生い立ちと、秘めていた悲しき夢を知る。一方、孫市の殺害現場で薄墨大夫が幹次郎に寄り添っているのを見たのが孫市殺しの犯人。孫市の恨みをはらすとともに、薄墨太夫を守るために、幹次郎は一刀のもとに犯人を切り捨てる。幹次郎には年上の恋女房・汀女がいるのだが、幹次郎に心を寄せる薄墨太夫との関係がどうなっていくのか、そのあたりで『夢幻』という題がついたものだろうか。吉原という特殊社会の中で、様々な事件を描きながら、裏同心・神守幹次郎の快刀乱麻の活躍が続く、目が離せない。
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