山クジラの田舎暮らし

岩手県北の田舎に生息する「山クジラ」です。定年後の田舎暮らしや趣味の山行きのことなど、発信していきます。

『亡者の銭』足引き寺閻魔帳8=澤田ふじ子著

2013-01-25 07:18:31 | 読書

 澤田ふじ子の足引き寺閻魔帳シリーズの8、『亡者の銭』を読んだ。

 この本には次の話が載せられている。

①蛇(くちなわ)の辻子(ずし)、②お婆狂乱、③無慈悲な証文、④義盗の仕置き、⑤亡者の銭、⑥騙りの末期

 著者の「初版本あとがき」の中で、澤田ふじ子は「わたしは現代の社会状況や頻発する事件の中からテーマを拾い上げ、江戸時代の衣装をまとわせているにすぎない」として、『亡者の銭』の中では当時問題になっていた、若い弟子を暴行の末死なせてしまった相撲界の醜聞を潤色して書いたことを紹介している。この他にも、『無慈悲な証文』では、博打に誘い込んで借金をつくらせ、その証文でただ働きさせる悪徳業者を書きながら、派遣労働などの非人間的ともいえる現代の実態を告発している。どうにもならない庶民の怒りを、足引き寺というものにたくして解決していく。ここに読む者の共感を呼ぶものがあるのだろう。しかし、現実は国民自らの手で変える選択をするしかないとの思いを、最近の政治状況を見るにつけても強くしている。



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