F1の小部屋 NEO

F1のリザルトについてあれやこれや好き勝手にコメントしてみようと思います。レース終了後1週間以内に更新(目標)。

2016 ROUND 21 ABU DHABI GP

2016年12月06日 06時57分37秒 | Weblog
1位 L.ハミルトン メルセデスAMG
2位 N.ロズベルグ メルセデスAMG
3位 S.ベッテル フェラーリ
4位 M.フェルスタッペン レッドブル・タグホイヤー
5位 D.リチャルド レッドブル・タグホイヤー
6位 K.ライコネン フェラーリ
7位 N.ヒュルケンベルグ フォースインディア・メルセデス
8位 S.ペレス フォースインディア・メルセデス
9位 F.マッサ ウイリアムズ・メルセデス
10位 F.アロンソ マクラーレン・ホンダ

 アブダビGPです。最終戦です。スタートはポールのハミルトンがスタートダッシュを決めホールショット。2番グリッドのロズベルグも続いていきます。以下ライコネン、リチャルド、ベッテル、ヒュルケンベルグ、フェルスタッペンのオーダー。その直後、フェルスタッペンの右フロントタイヤがヒュルケンベルグのサイドポンツーンに接触。フェルスタッペンはスタート直後、痛恨のスピンを喫してしまいます。ウォールにぶつかる寸前の、あわやという状態で止まりました。前回のブラジルGPでのスピンといい、フェルスタッペンは本当にラッキーですね。さて、フェルスタッペン、順位を大幅に落としてしまいますが猛烈な勢いで追い上げを開始。そして1回ストップ作戦で更に上位進出を狙います。さて、フェルスタッペンに先行されたロズベルグ、タイトル獲得に向けてフェルスタッペンに対してオーバーテイクを決意します。ストレートのシケインの侵入でフェルスタッペンのインに潜り込むロズベルグ。立ち上がりでアウトに膨らみ、フェルスタッペンとあわや接触寸前の距離まで接近します。シケインの立ち上がりでフェルスタッペンに先行されますが、その後ラインをクロスさせ見事な加速でアウト側からオーバーテイク。再び2番手の座を奪い返します。さて、ロズベルグこれで、このポジションをキープすればタイトル確定、と思いきや先頭を走るハミルトンが予想外の行動に出てきます。何とワザとペースを落として、ロズベルグに後続車が追い付く様な状況を仕立て上げたのです。ハミルトン、ロズベルグ、ベッテル、フェルスタッペンまでが数珠つなぎでの走行となりました。3番手のベッテルの脅威に晒されるロズベルグ。ファイナルラップの最終コーナー手前でベッテルにアウトから仕掛けられるなど猛烈なプレッシャーを受けますが耐え凌いで2位でフィニッシュ。「Rosberg is second! He takes world champion!」TVの実況がこう叫んだ瞬間ロズベルグのタイトルが確定しました。「I’m world champion!」無線で喜びを爆発させるロズベルグ。シーズンを通しての苦しい戦いを経てようやく栄冠をつかみました。フィニッシュ後にはドーナツターンのパフォーマンスで喜びを表現する一幕も。これでロズベルグ、ヒル親子に続いての親子タイトルです。ちなみにニコ・ロズベルグの父親、ケケ・ロズベルグは1982年にタイトルを手にしたのですがシーズン中1勝しかしていません。このシースンはベルギーGP予選でのジル・ビルヌーブの死亡。ドイツGP予選でのディディエ・ピローニの選手生命が絶たれる負傷と、本命だったフェラーリが失速したことが大きかったのですが、このシーズンにマークした1勝というのが実は自身のキャリア初の優勝。初優勝をマークしたシースンに初タイトルを獲得したことは特筆すべきことなんじゃないでしょうか。1982年は荒れたシーズンで、前述したビルヌーブとピローニの事故の他に、カナダGPではリカルド・パレッティがスターティンググリッドでストップしていたピローニのマシンにフル加速した状態で激突するという痛ましい死亡事故が発生。また、第4戦のサンマリノGPでは不可解な裁定に反発した10チームがボイコットするという事件も起こっています。この様な疑惑と混乱に満ちたシーズンを走り抜いてタイトルを手にしたケケ・ロズベルグはやはりドライビングの腕もさることながら、精神的なタフさも持っていたタイトルにふさわしいドライバーだったということでしょう。さて、今回のアブダビGP。キモとなったのはやはりロズベルグがフェルスタッペンをオーバーテイクした瞬間じゃないでしょうか。もし、あのまま3位キープでもタイトルは獲れますが、後ろから追い上げてきたベッテルの脅威に晒されるのは明らかでしたからね。もしベッテルに抜かれてしまえばタイトルの目は無くなってしまいます。そして物議を醸したハミルトンの行動。終盤、ロズベルグが2番手に上がってきたのを見計らってペースを落としました。自力タイトルの目が無くなった以上、ロズベルグの順位が4位以下という条件を満たすためにはハミルトン自身は何もすることができません。ハミルトンが普通に走っていたとしても、2位でタイトルが確定するロズベルグは無理をして抜きにかかってくるということはまずありえませんから。もし、ロズベルグが抜きにかかってきた時にハミルトンが下手にブロックをして両者リタイアともなれば、その時点でロズベルグのタイトルが決定してしまいます。そこで他のドライバーにロズベルグを攻めさせるという、まさに他力本願の手に出たのです。この時のロズベルグの心理状態を想像すると相当なプレッシャーに晒されていたことが窺い知れますね。ハミルトンによる策略とタイトルの目を無くす可能性のあるベッテルからのプレッシャー。まあ、タイトルがかかっていたということを充分理解していたベッテルは、強引なアタックを仕掛けるという様な愚かな行為に出ることはありませんでしたが。ハミルトンのこの行為はあまり褒められたものではありませんね。確かにルールには違反していませんがみっともない悪あがき以外の何物でもありません。本来レースというものは速さを競うものであって、遅く走ることが自分の利益に繋がるというのは歪んだ考え方じゃないでしょうか。今回は無事にタイトルが決まったからいいものの、後味の悪い展開でした。さて、2016年シーズンを振り返ってみるとフェラーリが失速して、その代わりにレッドブルが上がってきたという感じですね。それでも、絶対的な速さではメルセデスには及ばず、レッドブルの2勝もメルセデスにトラブルが発生したときにマークしたものです。シーズンを通してメルセデスの独壇場であったというのは間違いないでしょう。さて、来シーズンは大幅なレギュレーション改定がありワイドタイヤが導入されます。現在のF1はタイヤを労わりながら走らなくてはなりません。無理な走りをすればあっという間にタイヤが傷んで使い物にならなくなるという状況に陥ってしまうからです。シューマッハの復活が空振りに終わった原因はまさにこの点にあります。シューマッハがフェラーリでバリバリに走っていた時代はタイヤの限界まで攻める走りが身上でした。そんな、走り方が骨の髄まで染みついたシューマッハが新しいタイヤの使い方に馴染めなかったのは無理からぬことでしょう。全開で走れないF1なんてモータースポーツの頂点に位置するカテゴリーのあるまじき姿です。ワイドタイヤの導入で「強い」F1の復活を是非に期待したいですね。そして、普通に考えるならば来シーズンもメルセデスの優位は揺るがないでしょう。タイトル争いもハミルトンとロズベルグの2人に絞られ………、ってアレー!?ロズベルグ引退!マジスカ?どうやらロズベルグ、タイトルを花道に引退を決意した模様です。やはりハミルトンに負け続けていた2年間は辛いシーズンだったのでしょう。プレッシャーから解放され、タイトルを獲得した最高の状態での「決断」は理解できなくもありません。恐らくすっと以前からこのことは考えていたのではないでしょうか。王者として一回り大きくなったロズベルグの戦いぶりをみれなくなるのは残念ですが、本人の決断なので仕方がありません。まあ、考え方を変えるならば、老醜を晒すよりは最高の状態で身を引く方が潔いともいえますからね。何はともあれ、「王者」ロズベルグに幸あれです。