F1の小部屋 NEO

F1のリザルトについてあれやこれや好き勝手にコメントしてみようと思います。レース終了後1週間以内に更新(目標)。

ROUND 17 ABU DHABI GP

2009年11月07日 03時02分15秒 | Weblog
1位 S.ベッテル レッドブル・ルノー
2位 M.ウェーバー レッドブル・ルノー
3位 J.バトン ブラウン・メルセデス
4位 R.バリチェロ ブラウン・メルセデス
5位 N.ハイドフェルド BMWザウバー
6位 小林可夢偉 トヨタ
7位 J.トゥルーリ トヨタ
8位 S.ブエミ トロロッソ・フェラーリ

 ウィンブルドン現象という言葉をご存知でしょうか?これは経済用語で、国内の企業が外資系企業に淘汰されてしまう。市場の活性化によって地の利を得る筈の企業がジリ貧になってしまうということです。語源はテニスのウィンブルドン選手権。ウィンブルドンといえば、この名前を聞いたことの無い人はいない、というぐらい有名な大会です。この最も有名な選手権の開催地であるイギリスからは永らく王者が出ていません。つまり、テニスの代名詞ともいえる選手権の地元の人間が淘汰されてしまっていて、他国の人間ばかりが優勝している、ということですね。さてF1に目を移してみましょう。F1発祥の地はイギリスはシルバーストーン・サーキットです。F1でも1996年のデーモン・ヒル以来、イギリス人王者がいないという、いわば「ウィンブルドン現象」の状態が続いていたのですが、2008年のルイス・ハミルトン、そして2009年のジェンソン・バトンと2シーズン連続でイギリス人王者が誕生、見事に脱「ウインブルドン現象」を果たしております。2シーズン連続でイギリス人王者というのも、1968年のグラハム・ヒル、1969年のジャッキー・スチュワート以来30年ぶりの快挙です。ちょうど30年振りというのも何か因縁めいたものを感じさせますね。ちなみに、このウィンブルドン現象という言葉、モンゴル人が席巻している日本の大相撲にも使われていたりします(さりげなく相撲ネタ。爆)。さて、アブダビGPです。優勝はベッテル。レッドブルの優勝は鈴鹿から数えて3連勝目。ダブルデッカー・ディフューザーを導入して以来、破竹の勢いで進むレッドブル。この勢いを保つことができれば、来シーズンは本命になれそうな予感がします。何といってもレッドブル躍進の原動力はベッテル。この人がいなければレッドブルがこれ程活躍することはなかったでしょう。ウェーバーもベッテルに刺激を受けて、目立った活躍をする様になったという側面もある訳で、チームをグイグイ引っ張っていく牽引力といい、かつてのシューマッハを彷彿とさせるものがあり、まさにシューマッハ2世の名にふさわしい人物だと思います。近い将来チャンピオンになるのは確実でしょう。続いて2位はウェーバー。レッドブル、ワンツー・フィニッシュです。ウェーバーは終盤バトンに激しく攻められますが、何とか凌ぎ切りました。ストレートでサイド・バイ・サイドで並ばれるもイン側をピタッと閉じて譲りません。バトンは抜くタイミングを誤り加速にモタついている間、詰めた車間距離を一気に離されてしまいました。ここで勝負あり、といった感じでウェーバーは2位フィニッシュ。チャンピオンになったバトンも堂々とした攻めっぷりで、にわかに貫禄がついてきた様に思います。ちなみに、スタートではバリチェロがウェーバーと接触してフロント・ウイングを破損しています。結局、ブラウンの2台はウェーバー1人に「撃墜」されたことになりました。6位入賞は小林可夢偉です。可夢偉はピットから出てきたばかりのバトンを、「どきなオッサン!」と言わんばかりにストレートでインに入り込みブチ抜いていきました。バトンは踏ん張ったものの、タイヤが温まり切っておらず、アウトに孕んだ隙に可夢偉に一気に差を付けられることに。団の面目………、じゃなくてチャンピオンの面目丸潰れ~ですよ、ホントに。相手が誰であろうとお構い無しに、まるで、レーシングカートの様に何の躊躇も無く攻めていく姿勢は素晴らしいと思います(笑)。今後の成長が楽しみな逸材ですね。さて、今シーズンを振り返ってみますと、実に波乱に富んだシーズンだったと思います。まず、序盤戦の山場は何といってもバトンの連戦連勝でした。あっという間にタイトルが決まってしまうのでは?という程の勢いでしたが、イギリスGPで突如バトンは失速してしまいます。代わって出てきたのはレッドブル。ベッテルとウェーバーが1勝づつ挙げました。そして、ハンガリーGPでは名門マクラーレンの復活。ハミルトンがKERSを使いこなし、久々にポディウムの頂上に登りました。また、不調のバトンに代わってチームメートのバリチェロが調子を上げ、ヨーロッパGP、イタリアGPと2勝を挙げています。ベルギーGPでは高速コースを得意とするライコネンが勝ち星を挙げました。忘れてならないのはフォース・インディアの活躍でしょう。フィジケラはフェラーリのライコネンと互角以上にわたり合っていました。そして、最終盤では再びレッドブルが強さを発揮し3連勝を挙げています。各チームのマシンの好・不調が目まぐるしく変化したのが今シーズンの特徴ではないでしょうか。サーキット外の出来事をみますと、今シーズン限りでBMWが撤退するという発表。クラッシュゲート事件によりルノーF1代表のブリアトーレがタイーホ………、じゃなくてFIA管轄のモータースポーツ活動からの永久追放、エンジニアのパット・シモンズが5年間の追放という重い処分を受けました。そして、シーズン終了後にはトヨタが今シーズン限りの撤退というショッキングな発表が。わずか、1年間の間に自動車メーカーが3社(昨年11月のホンダも含めて)も撤退するというのは、異常事態というほかありません。まあ、トヨタの場合は「史上最高の営業利益を挙げた」原動力である派遣の人達を切っていましたから、F1の活動を続ける為の説得力がかなり希薄になっていたことは残念ながら否めないところです。富士スピードウェイでのF1開催から手を引いた時点で少し怪しいなとは思っていましたが、それにしても急な発表です。まさに、昨年のホンダのケースを思い起こさせますね。トヨタはF1に対して真摯な姿勢で取り組んでいたので、幕の引き際はもっとスマートにやって欲しいという思いがあったので、この様な関係者に対する思慮に欠けたやり方は実に残念です。来シーズン参戦する自動車メーカーはメルセデスとフェラーリ、そしてルノー。エンジンサプライヤーとしてコスワースが参戦しますが、使い物になるのかどうか、実力は未知数です。参戦に名乗りを挙げているチームは4つ(マノー、USGP、カンポス、ロータス)いますが、本当に参戦できるのかどうか怪しいといわれています。今シーズン以上にカオスな状況になりそうな2010年。まともにレースを行えるのかどうか、今から本当に心配です(滝汗)。