F1の小部屋 NEO

F1のリザルトについてあれやこれや好き勝手にコメントしてみようと思います。レース終了後1週間以内に更新(目標)。

2019 ROUND 8 FRENCH GP

2019年06月30日 04時29分17秒 | Weblog
1位 L.ハミルトン メルセデスAMG
2位 V.ボッタス メルセデスAMG
3位 C.ルクレール フェラーリ
4位 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダ
5位 S.ベッテル フェラーリ
6位 C.サインツ マクラーレン・ルノー
7位 K.ライコネン アルファロメオ・レーシング・フェラーリ
8位 N.ヒュルケンベルグ ルノー
9位 L.ノリス マクラーレン・ルノー
10位 P.ガスリー レッドブル・ホンダ

 フランスGPです。スターティンググリッドはポールがハミルトン、以下ボッタス、ルクレール、フェルスタッペン、ノリス、サインツ、ベッテル、リチャルドと続きます。マクラーレンの2台がトップ3に割って入ってきました。アロンソがいなくなってから、何だかマクラーレンが調子を上げてきたのは実に皮肉な感じがしますね。アロンソがチームを選ぶのが下手だったのか、それともチームを引っ掻き回していたのかはわかわりませんが(汗)。ベッテルはマシンから良い感触を得られずに7番手と落ち込んでおります。スタートはハミルトンがホールショット。以下、ボッタス、ルクレールと続きます。フェルスタッペンは加速が鈍く、サインツに一時前に出られるも、何とかポジションをキープ。更にターン2の立ち上がりが良かったのか、ルクレールにもサイド・バイ・サイドになってアタックしますが抜くまでには至りません。さて、後方ではペレスがターン3でコースアウト。ボラードと呼ばれる通路を通ってコースに復帰します。そして、この時のコース復帰がペナルティの対象に。ペレスはルール通りの手順でコースに復帰した、と主張しておりこのペナルティに納得いかない様子。一方FIA側は、コースに復帰した際に順位を上げていた点を指摘しています。つまり、手順がどうのこうのというよりもショートカットすることで利益を得たことを問題視しているのです。オンボードカメラを見ると、確かにアルボンとマグヌッセンの前に復帰したということが、わかりますね。これだけFIA側の指摘の正当性を示す証拠がある以上、ペレスはおとなしくこの裁定を受け入れるしかないでしょう。7周目、ベッテルがターン8でサインツをサクッとパス。予選での遅れを取り戻そうと、着々と順位を上げています。さて、ファイナルラップ、ターン8でリチャルドがアウトからノリスをオーバーテイク、ややオーバースピード気味だったリチャルドは立ち上がりが苦しくなりノリスに並びかけられます。しかし、今度はノリスもターン9でオーバースピード気味になってしまった為、立ち上がりでショートカットすることになります。その隙にリチャルドがノリスを先行、と思いきやアウト側からライコネンが被せてきます。ノリスは後方から追い上げてきたヒュルケンベルグにも先行されて一気にポジションを3つ落とすことになりました。一方、ライコネンに美味しいところを持って行かれそうになったリチャルドはウォールとライコネンの間に割り込んで、やや強引にストレートで加速をしていきます。ターン10の高速コーナーでズバッとイン側に飛び込んでライコネンをオーバーテイク、7位でフィニッシュとなりました。珍しい4台絡みの激しいバトルを制して得意顔のリチャルド。しかし、コースアウトすることでアドバンテージを得た、コースに安全に復帰しなかったとの過度で、レース後にペナルティで10秒加算されました。結果、11位ポイント圏外に降格というショボーンな結果に。さて、レースの方はハミルトンが2番手のボッタスに20秒近い差をつけブッチギリでトップチェッカー。メルセデス、またもやワンツーフィニッシュです。”GET IN THERE LEWIS!”(スタッフ)もう、何度このフレーズを聞いたことでしょう(汗)。ルクレールはボッタスに迫るも攻めきれずに3位フィニッシュ。何気にこれで3度目のポディウムとなっています。ベッテルは思ったよりも順位を上げることが出来ずに5位止まり。しかし、ファステストラップを出し、ハミルトンの26ポイント加算を阻止。意地を見せました。さて、ここポール・リカールはエスケープゾーンが舗装されているということもあり、コースアウトしても普通にコースに復帰してくるドライバーが続出。それに伴うペナルティが多く課せられることになりました。コースアウトしてもマシンのダメージは無く、マシン(とメカニック)に優しい設計ともいえます。今後は、こうしたサーキットが主流になるのでしょうか。とはいえ、舗装する面積が増えるので、それなりにコストがかかることになる思いますが。オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカズも似たタイプのサーキットといえますね。さて、次週は今シーズン初のダブル・ヘッダーオーストリアGPです。レッドブルの地元での開催となります。レッドブル・リンクは、ポール・リカールとは対極にある様な丘陵地帯にあるサーキット。アップダウンが激しく、コース幅が狭いという、ある意味前時代的な、ドライバーの総合力が試されるサーキットともいえます。ティルケ先生(FIAのお抱え建築家)だったら絶対にこんな設計はしない筈!という見本の様なサーキットですね(汗)。昨シーズン、オーストリアGPで優勝したフェルスタッペンの記憶が新しいところですが、今回はどんな活躍をするのか、是非期待したいところですね。

2019 ROUND 7 CANADIAN GP

2019年06月15日 08時34分36秒 | Weblog
1位 L.ハミルトン メルセデスAMG
2位 S.ベッテル フェラーリ
3位 C.ルクレール フェラーリ
4位 V.ボッタス メルセデスAMG
5位 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダ
6位 D.リチャルド ルノー
7位 N.ヒュルケンベルグ ルノー
8位 P.ガスリー レッドブル・ホンダ
9位 L.ストロール レーシングポイント・メルセデス
10位 D.クビアト トロロッソ・ホンダ

 カナダGPです。ポールはベッテル。ってマジすか?フェラーリ、バーレーンに続き久々のポール。そして、ベッテルに限って言えば今季初のポールです。続く2番グリッドはコンマ2秒差でハミルトン。以下ルクレール、リチャルド、ガスリー、ボッタス、ヒュルケンベルグ、ノリス、フェルスタッペンと続きます。そして、リチャルドが何とフェラーリ、メルセデス勢に続き4番グリッドを獲得。尚、フェルスタッペンは予選中の赤旗によりタイムアタックの機会を逃し9番グリッドと後方に沈んでおります。今回のスターティンググリッドはいつもとは様相が違い、決勝レースでの展開に期待が持てますね。スタートはポールのベッテルがホールショット。上位陣は順当に流れていきます。後方ではターン1でアルボンとザウバーが接触。アルボンのウイングの破片が吹き飛びます。グロジャンのマシンにその破片が飛んできて、ハロに張り付きました。驚いたグロジャンは堪らずコースアウト。破片を手で払いのけて何とかコースに復帰します。9周目、ノリスは右リアのブレーキトラブルでリタイア。最終コーナーをショートカットして、右リアのタイヤが浮き上がって炎が出ている状態でストップしました。35周目、メインストレートでボッタスがリチャルドに並びかけるもオーバーテイクするまでには至らず。リチャルドのトリッキーな動きに翻弄され、ストレートで上手くスリップに着けなかった様です。予選で好グリッドを得たリチャルド、5番手争いで健闘しております。48周目、このレース最大の事件が起こります。ターン3、リアが流れたベッテルが芝生の上の走行を余儀なくされます。4コーナーをまるっとショートカットしてコースに復帰。この時、ハミルトンの進路を塞ぐ形でコースに復帰した為審議対象となりました。ハミルトンは、ベッテルと壁にギリギリまで挟まれて殆どクラッシュ寸前。”He just come on the track so dangerously!”(ハミルトン)結果、ベッテルには5秒加算のペナルティが課せられることに。ベッテルは5秒ペナルティを課せられることを聞いて無線で不満を爆発させます(汗)。「芝生を抜けてとんでもなくグリップが低かったんだ。一体どうすりゃよかったんだ?」(ベッテル。長いので以下略)ペナルティは覆らないので、ハミルトンとの差を5秒以上に拡げる作戦に出たベッテル。ファステストを出して差を拡げにかかりますが、ハミルトンも対抗してペースを上げてきます。皮肉にも差は拡がらず、ベッテルはトップでチェッカーを受けます。フィニッシュ後も不満を爆発させるベッテル。「そんなわけないよ、本当に!これは間違った世界だ。フェアじゃない」(長いので一部要約)怒りのあまり、マシンを降りた後も、車両保管所でハミルトンのマシンの前に2位を示すボードを勝手に置いています(汗)。一方、2番手でフィニッシュしたものの、事実上優勝のハミルトンは控えめに右手を挙げて観客に応えます。「僕はこんな形で勝ちたかったんじゃない」(ハミルトン)トップでチェッカー受けたものの優勝を逃したベッテルは本当に気の毒ですね。かわいそうとしか言いようがありません(汗)。そうは言っても、ペナルティの原因をつくったのもベッテル自身です。あそこで、ハミルトンのプレッシャーに負けずにドライビングミスしなければ、芝生に乗るという状況に陥ることはなかった訳です。まあ、これはペナルティの裁定基準がどうのこうのというよりも、ベッテルがドライビングミスをしたので優勝を逃した、と捉えるのが的確だと思いますね。話は飛びますが、柔道家、篠原信一の世紀の誤審は有名ですね。シドニー五輪での誤審で金メダルを逃したものです。決勝戦で相手の内股を篠原が内股すかしで返したという場面がありました。主審は相手の有効と判定。副審の一人は篠原の一本と判定したものの、もう一人の副審が主審の判定を支持した為、相手に有効が与えられました。再協議の申し出を受けた監督の山下泰裕はフランス語がわからずにそのまま試合の継続を許してしまい、結果有効一つの差で負けになってしまったのです。篠原は自分の力のあずかり知らぬところで金メダルを逃した訳ですが「自分が弱いから負けたんです」と潔く引き下がったのです。おそらく、判定はともあれ自分がもっと強ければ再協議に頼らずに勝つことができた筈、と思っていたのでしょう。どうです?五輪という世紀の晴れ舞台で、金メダルを逃したにもかかわらず、この潔さ!まさに、これぞ武士道!ベッテルは、この篠原信一の態度を見習うべきですね。大体、4年に1回の五輪と違って、F1は年に21回もレースをやるんですから。今シーズンは後14回も勝つチャンスがあるんですよ?気持ちを切り替えて次のレースに集中すべきです。レース後、ベッテルが順位のボードを入れ替える等の行為を行いましたが、おそらく今シーズン1度も勝てていないことへの焦りと苛立ちからきてるのでしょう。ベッテルらしい、やんちゃな行動だと思いますが、これも更なるペナルティの対象になる可能性もあったことを付け加えておきます。話は戻りますが、柔道の試合で再審議の要請を相手がわからないであろうフランス語で伝えるというのも相当意地悪だと思いますよ?「ゲームの達人」という映画でオランダ語で書かれた不利な内容の契約書を、オランダ語を理解しない主人公がのせられてサインしてしまうという場面がありましたが、それを思い出してしまいましたよ(汗)。さて、今回のカナダGPで久々に優勝争いに絡んできたフェラーリ。既に開幕から7連勝しているメルセデスの牙城を切り崩すのは並大抵の努力では難しいと思いますが、それでもやはりポディウムでしょぼくれたベッテルは見たくないので、フェラーリにはもう一頑張りして欲しいところです。

2019 ROUND 6 MONACO GP

2019年06月02日 06時50分17秒 | Weblog
1位 L.ハミルトン メルセデスAMG
2位 S.ベッテル フェラーリ
3位 V.ボッタス メルセデスAMG
4位 M.フェルスタッペン レッドブル・ホンダ
5位 P.ガスリー レッドブル・ホンダ
6位 C.サインツ マクラーレン・ルノー
7位 D.クビアト トロロッソ・ホンダ
8位 A.アルボン トロロッソ・ホンダ
9位 D.リチャルド ルノー
10位 R.グロジャン ハース・フェラーリ

 モナコGPです。スターティンググリッドはポールがハミルトン、以下ボッタス、フェルスタッペン、ベッテル、マグヌッセン、リチャルド、クビアト、ガスリーと続きます。フロントロウはメルセデスが独占。トップ3の間を割ってマグヌッセン、リチャルド、クビアトが入ってきました。ルクレールは15番グリッドと後方に沈みます。チームの判断ミスでこの様な予選結果となりました。1回タイムを出した後、タイヤを温存する為チームは走らせなかったのですが、時間を追う毎に路面状況が良くなっていき各車タイムアップ、ルクレールはQ1敗退とあいなったのです。スタートはポールのハミルトンがホールショット。ボッタスとフェルスタッペンがサイドバイサイドで1コーナーのサン・デボーテに向かいますが、フェルスタッペンが引いて以下後続が順当に流れていきます。フェルスタッペン、これは賢明な判断でしたね。もし、ここで無理をしていたら、コース幅の狭く逃げ場の無い、このモンテカルロ、多重クラッシュを引き起こしていたことでしょう。ステーション・ヘアピンでレーシングポイントとザウバーが軽く接触していますが、オープニングラップは順調に流れていきます。2周目、ステーション・ヘアピンでルクレールがノリスをオーバーテイク。7周目、ラスカスでルクレールがグロジャンをオーバーテイク。先ほどのノリスの時もそうでしたが、コース幅の狭い、このモンテカルロ。マシンを捻じ込む様にしないと前に出られません。軽く接触しています。殆ど弾き飛ばす勢いで突っ込んでいますね。意外な所でオーバーテイクを仕掛けられて驚いたグロジャン。よっぽど驚いたのか、思わず”That was Kamikaze!”と叫んでいました。っていうか”Kamikaze”って世界共通語だったんですね(汗)。フランス人のグロジャンが咄嗟に口にするぐらいなので間違いありません。そして9周目、ルクレールが同じくラスカスで今度はヒュルケンベルグのインに飛び込みオーバーテイクを試みます。が、今度は右リアをガードレールにヒットしてハーフスピン。これにより、先ほどオーバーテイクしたグロジャンに再び先行されてしまいます。翌10周目、先ほどラスカスでフェンスにヒットした時のダメージでルクレールの右リアタイヤがバースト。ルクレールは執念で、タイヤの破片を撒き散らしながら3輪のまま走行を続けピットイン。この破片処理の為、セーフティーカー出動となります。ルクレールはタイヤ交換してコースに復帰するも、3輪走行した際のフロアダメージが酷く無念のリタイア。ところで、ルクレールは3輪のまま走行を続けた訳ですが、この光景に見覚えがある人がいるんじゃないでしょうか?そう、伝説のF1ドライバー、ジル・ビルヌーブですよ!1979年のオランダGPでの3輪でのカウンターを当てながらの走りは今でも語り草になっていますからね。ビルヌーブのマシンはリアタイヤがバーストしてコースアウト。もうタイヤは完全に終わっている状態でしたが執念で3輪のままピットまで走行したのです。マシンが動く限りは決して諦めない執念の走りは、ティフォジのみならず多くのファンの心を捉えました。奇しくもビルヌーブもフェラーリのドライバー。ルクレールはビルヌーブの様なスタードライバーになれるでしょうか?11周目、珍しいアクシデントが起こります。ピットレーンでボッタスとフェルスタッペンが接触。作業を終えてピットレーンを走行するボッタスにフェルスタッペンが被せてきた形です。”He pushed me to the wall!”(ボッタス)しばし、ピットレーンで並走する2台のマシン。これはなかなか見ることの出来ない光景ですね(汗)。このまま並走しても埒が明かないのでボッタスは一旦引きました。ピットレーンでは80km/hの速度制限がかかっているので抜き様がありませんからね。そして、そんな張り合う2台を後ろから冷静に実況する一人のドライバーがいました。ベッテルです(笑)。”2台のマシンがピットレーンに並んで、少し身の毛のよだつ様な思いをしたよ!レッドブルの発進は凄いアグレッシブだったよ。マックスはもうちょっと間隔を取るべきだったんじゃないかな。なので、ボッタスは行き場を失った。”(要約)尚、フェルスタッペンはこの微妙なタイミングでの発進の過度により、5秒加算のペナルティを食らっております。セーフティーカー撤収後の15周目、ラスカスでクビサとジョビナッツィが接触。両車とも止まってしまいコースを塞ぐ形になりました。行き場を失った後続のマシンが完全に止まってしまい、お見合いの様な状態に(笑)。ペレスとヒュルケンベルグ、ラッセルは上手く通過しましたが、その後クビサが突如バックします。ルクレールだけ通せんぼになってしまいました。クビサが後退してリスタート。スペースが空いた瞬間、ルクレールは猛ダッシュでポジションを挽回すべく先を目指して行きました(後程リタイアになるのは前述した通りです)。レース終盤、ハミルトンがフェルスタッペンの猛チャージを受けます。タイヤが終わっているハミルトン、これ以上ペースを上げることができないので防戦一方です。絶妙にブロックして、のらりくらりとフェルスタッペンの攻撃をかわすハミルトン。しかし76周目、脇が甘かったのかヌーベルシケインでフェルスタッペンが飛び込んできます。両車とも軽く接触。ハミルトンはシケインをショートカットしてポジションをキープ。この場合は、アクシデント回避の為なのでペナルティの対象にはならなかったのでしょう。そして、ハミルトンはからくも逃げ切りトップチェッカー。終盤のハミルトンとフェルスタッペンのバトルは、近年稀にみる熱いものとなったのではないでしょうか。個人的には1992年のセナとマンセルのバトル以上に面白いと思いましたよ?ちなみに、フェルスタッペンは5秒加算のペナルティが決定していたので、ハミルトンはフェルスタッペンの幻とバトルしていたのと同じ状態だった訳ですが。例年、モナコGPは退屈な展開になることが多いのですが、今年はオーバーテイクシーンも多く楽しめる展開となったのではないでしょうか。さて、今回のレース、メルセデスのマシンのハロが赤に、そしてハミルトンのヘルメットが赤くペイントされているのに気が付いた方もいると思います。これは、去る5月20日にこの世を去ったニキ・ラウダに追悼の意を表したものです。現役を引退した後も辛口のご意見番としてグランプリの世界を見守っていました。やはり特筆すべきは、その精神力の強さでしょう。1976年のドイツGP、ニュルブルクリンクでの大事故からたったの6週間でレースに復帰。死んでもおかしくない様な大火傷を負ったにもかかわらずにです。ちなみに、その時、死んだと思われて医者でなく牧師がラウダの元にやってきたという逸話が残っています。また、プロストの師匠にあたる人物でもあります。1984年はプロストとラウダの2人でチャンピオン争いが展開されました。速さに勝るプロストに対してラウダは老練な走りで着実にポイントを積み重ね、最終的に0.5ポイント差でタイトルを獲得しています。ポイントが小数点になったのは、第6戦のモナコGPが雨で中断になり、規定周回数の半分に達していなかった為、獲得ポイントが1/2されたからです。おそらく、復帰したドライバーで唯一タイトルを獲得した例ではないでしょうか。前シーズンに引き続きタイトルを獲り損なったプロストは、着実にポイントを稼ぐ大切さを身をもって教わり、翌1985年には晴れて初のフランス人ワールドチャンピオンとなったのでした。プロストの着実な走りは、この時に培われたものでしょう。ハミルトンにとってもラウダは大恩人です。もし、ラウダがハミルトンをメルセデスにスカウトしなければ、ハミルトンのタイトル獲得回数はここまで伸びることは無かったでしょう。もし、マクラーレンに残っていたら、落ちぶれていく名門と共にジリ貧になっていたかも知れません。引退後もグランプリの世界に影響を与え続けてきたニキ・ラウダ。自分にとっても子供時代、王貞治と並ぶヒーローでした。この不世出のレジェンドに哀悼の意を表します。