東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

上坂冬子,『原発を見に行こう』,講談社,1996

2006-11-01 15:31:06 | 旅行記100冊レヴュー(予定)
中華人民共和国、インド、パキスタン、韓国、台湾の原子力発電所施設見学旅行記。
著者以外は技術畑の専門家といっしょ、原子力開発関係の国際組織の人脈を通して、めったにないチャンスに乗った旅行である。
はっきりいって、原子力発電に関する著者の見解は判断不能。わたしも著者と同じくしろうとであるから、いったいぜんたい原子力発電が必要なのか、経済的なのか、安全なのか、本書を読んでも判断できない。
ただし、ヒステリックにならず、冷静に判断しようとする著者の姿勢は共感できる。
たとえば、韓国から北朝鮮に原子炉技術を輸出する計画に対し、著者はたいへん好意的にとらえている。(本書執筆の時点で、北朝鮮で韓国型原発が稼動するのは2003年!と予定されているが、残念ながら、実現しなかったようだ。)
北朝鮮が原子力発電で電力供給が改善されるのならば、それは肯定的にとらえるべきであるし、韓国が協力するのもたいへんよいことである。
こんなあたりまえの態度で観察する著書の姿勢は共感できる。

東南アジアに関しての記述もあり。
現在、計画中だけで稼動させている国はないが、将来導入したい国は多いようだ。
さてさて、どうなることやら。