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「標準ソフトウエア工学教科書」を作ってみたいと思います その15 3.2

2011-10-23 14:02:27 | 土日シリーズ
シリーズ「標準ソフトウエア工学教科書」を作ってみたいと思います

昨日、アップしそびれた分、「3.2 要求分析」です。




3.2 要求分析

 前回の超上流で、プロジェクトの目的と、プロジェクトマネージャーぐらいは決まった。
 そこで、次の段階としては、一般的に考えると、

(1)プロジェクトマネージャー(部長くらいとしよう)は、
 現場責任者(課長)をあつめて、プロジェクトの目的などを
 話します。

(2)現場責任者(課長)は、大まかに仕事と担当者の関係はわかるので、
 それをもとに、担当者を指名して

(3)担当者が業務内容を話します。
 ここで、業務の入出力が決まります。

(4)さらに、システム化するに際して、ユーザーインターフェース
 や、応答時間など、業務以外の部分を決めます。

(5)それらをまとめます。


 前回の話で、(1)のプロジェクトマネージャーとか目的等は決まりました。
このあと、(2)、(3)の作業をして、現場担当者の作業(入力-処理-出力)
を明確化するのですが、それには、構造化手法と、オブジェクト指向の方法があります。


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 構造化手法の場合は、まずシステム全体の入出力を考え、コンテキスト・
ダイアグラムを作成します(DFDでプロセスが1個のもの)。

 それから、システムを詳細化していきます。
 企業であれば、部長から課長、係長、現場担当者という具合にヒアリングをかければ、
詳細化されていくはずです。それを表現します。

 途中の管理職の人が、現場の詳しいことがわからないようであれば、入出力は
省略し、こんな機能があるというDMMの形で詳細化していき、
 課長、係長と下がっていくと、どこかで入出力がはっきりするようであれば、
そこからDFDを使って書き起こすのがいいと思います。

 どちらのケースでも、最終的な現場担当者の作業は、業務流れ図として表現します。
 業務流れ図では、どのデータを何から(画面から、DBから等)入力し、どこに出力
するか、どのような手順で処理するのか、処理するための条件があるのかが、図で
書き表わされます。

 これができると、データベースに書くべき内容がわかり、エンティティが出てくるので
ER図がかけます。

 DFDは、上位のDFDと詳細化した下位のDFDで、外部からの入出力が一致して
いないといけません(一致していなければ間違い)。
 また、DFDのファイルとER図のエンティティ、業務流れ図のDBが対応している
はずです(1対1でなくてもよいが、ER図にあるエンティティが理由もなく、DFDや
業務流れ図にまったく出現しないのは、不自然)。


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 一方、オブジェクト指向の場合、ユースケース図から始まります。

 まずは、部長が課長に仕事を割り振られ、課長が担当者に割り振るとき、課長は、
担当者に、ある仕事をしてもらうことを期待して、割り当てるのが普通と考えられ
ます。
 もちろん、「お手伝い」「遊軍」としてわりあてることもありますが、その人
たちは無視します。すべてお手伝いというのはすくなく、受注、倉庫番とか、
なんらかの仕事はあるんじゃないでしょうか?もし、全員お手伝いだとしたら、
その会社はシステム導入以前に問題があると思います。

 その仕事に、だれが関係するかを考え、仕事関係者をアクター、仕事をユースケース
としてユースケース図を描きます。
 が、ユースケースは動詞の形が望ましいです。たとえば、「倉庫番」は、「倉庫番する」
というのは不自然ですので、「入庫する」「出庫する」「在庫照合する」などに分かれます。

 まず、大きくざっくりと描くことが大事で、たとえば「入庫する」を「積みおろしする」
「検品する」「データ入力する」とか、細かく分けちゃうと、混乱します(これは、あとの
アクティビティ図に描きます)

 とはいえ、ユースケースも細かくすることはあります。

 まあ、そんな形で充分細かくなったら、担当者が行う作業を、手順とともに表現する
アクティビティ図を作成します。
 しかし、アクティビティ図は、構造化分析の業務流れ図ほどの表現力をもちません。
 入出力は表現できません。
 そこで、ユースケース記述というのを作って、そこの基本系列等に、入出力を文章で
描いていくことになります。

 なお、データ構造に関しては、ユースケース記述を見れば書けることになります。
 UMLはER図はないので、これに相当するクラス図で描くことになりますが、実際は
ER図を使ってしまうことが多いです。

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 上記の方法により、業務の入出力が決まりました。
 構造化手法の場合には、業務流れ図に、オブジェクト指向の場合には、
ユースケース記述に業務内容(入力-業務-出力)の流れは、記述されています。

 次に(4)の業務以外の要求についてまとめます。
 
 ちなみに、(3)のような業務に関する要求を、機能要求、
(4)のような、業務以外の要求を、非機能要求とか言ったりします。

 非機能要求は、上記、オブジェクト指向分析で利用する図(UML)でも、
構造化手法分析で利用する図でも表現されないし、明確な分析方法はありません。
(ちなみに、SysMLの要求図では表現できます)。


そこで、

 非機能要求グレード
 http://sec.ipa.go.jp/reports/20100416.html

 のようなチェックリストを基に考えたり、機能要求を基に考えたり、
  JIS X 0129-1 (ISO/IEC 9126 )のソフトウェアの品質特性を基に
考えます。


 ここまでくると、(5)のように要求仕様書としてまとめられます。
 まとめ方としてはIEEE830等に基づいてまとめるのが、今のところ
よいのでしょうか?

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 この要求仕様書の作成方法は、各社各様です。上記の方法は、公開されている、
一般的な方法について描いただけです。
 ただ、手法の側面をそぎ落とし、誰が何をやっているのかだけに注目すると

(1:前提)プロジェクトの目的と、プロジェクトマネージャーは決まっている状態で、

(2)えらい人からえらくない人へ、仕事を分割していく
   →その仕事の範囲をざっくりと図や文にまとめる

(3)最終的に、仕事を受け持つ担当者に行き着く
   担当者のやるべきことを、入力と出力に着目して、記述する
   →機能要求

(4)機能要求以外(非機能要求)を何らかの方法で、えいやときめる(^^;)

(5:成果物)機能要求、非機能要求を要求仕様書という形でまとめる

という形になると思います。
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