水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

もらとりあむタマ子

2013年12月08日 | 演奏会・映画など

 前田敦子さんがAKBを「卒業」したとき、他人事ながらも、これから仕事あるの? と心配したのは自分だけではないと思う。でも、大丈夫だ。需要はある。このレベルの仕事ができるなら。
 東京の大学を出たものの、就職せずに実家にもどってごろごろしているタマ子。
 はっきりとした事情はあかされないが、母親はほかに男をつくって出て行き、姉も結婚して家を出、スポーツ店を営む父と二人暮らしをしている。
 そうじ、洗濯、食事の支度は全部父親任せで、漫画を読みふけって毎日をすごしている。
 かといって、ひきこもりとも言えない。
 業を煮やした父親が「いい加減、就職活動しろ」と叱ると、「そのときが来たらちゃんとやる」「いつやるんだ!」「少なくとも、今ではない!!」と逆ギレしたりする。
 そのだらだらぶりといい、父親との距離感といい、絶妙のリアルさで演じきっていた。
 彼女を女優さんとして見たのは、「あしたの私のつくり方」で成海璃子さまの相方をしてた時。とくに印象はなかった。「苦役列車」は、なかなか存在感があった。あったけど、前田さんじゃなくても成立する役だったかな。
 タマ子は前田さんじゃないとだめだ。あまりにも上手だったから、そう思うのかもしれないけど。
 彼女くらいに有名な同年代の女優さんの場合、この役をやるには美しすぎる子が多い。
 見た目的、知名度的にぱっとしない子をこの役に据えた場合、作品のあまりにリアルさゆえに、たんに素人の女の子が出ているだけに見えてしまう。
 このキャスティングをした監督さんのセンスもすばらしい。
 駿台の教員セミナーのあと、速攻で移動した新宿武蔵野館は満席で、立ち見のお客さんまでいた。
 ていうか、都内でここしかやってなくて、武蔵野館の2番スクリーンは席数が100ないから、さすがに混むだろう。この作品なら、もっと大々的に上演されてもいいんじゃないかと思ったけど、南古谷ウニクスでお客さんが入るかというと、まあ、無理だろうなあ。
 テレビドラマの拡大版系の作品より、百倍おもしろいと思うのだが。
 派手派手の大作でなく、スリルとサスペンスもなく、大笑いも大泣きもさせない、でも観た人の心をなぜかあたたかくさせる … 。この映画のような演奏がしたい。

コメント
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