水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

PISA補遺

2013年12月06日 | 日々のあれこれ

 国内の学力検査における地域差も、PISAと同じように話題になる。
 秋田県、福井県が毎回上位を占め、都会はなかなか結果が好ましくない。
 田舎と都心に近いところと両方で暮らした経験からいえば、まあ妥当なところだろうなといつも思う。


 ~ これ(公立学校教員採用者数)を都道府県別に見ると、たとえば01年の秋田、東京、埼玉、大阪は順に127人、1117人、345人、268人だった。一方、11年のそれらは、順に70人、2772人、1242人、1967人となっている。これらの数字は、過疎化が進行している県と大都市圏周辺とでは、この問題を同一に論じることはできないことを示している。
 前者の方は現在でも実質競争率は高く、優秀な者が教員になっていると考えられる。しかも試験問題は主に記述式であるので、論述問題にも強い (芳沢光雄『論理的に考え、書く力』光文社新書) ~


 「都会では先生の数が不足している」「東京や大阪の教員採用担当が地方に出向いて受験者を募集している」といったニュースを目にしたことはあったが、こうやって数字を示されると、こんなにも違うものかと思う。
 大都市圏に比較すると、地方は教員採用試験に受かりにくい。
 自分が受けた頃(どんだけ前かという話だが)はここまで差は大きくなかったが、でも地方の方が狭き門だった(この俺様がおちたのだ)。
 公務員以上に安定した高給を約束される職がそんなにないからだ。
 学校の先生をさげすんだ目で見る人の多い都会とは土地柄がことなり、根本的には今も変わらない。
 東京近辺に住んでいたなら、超難関大を受けて受かるだろうと思われる高校生が、ふつうに地元国立大学の教育学部に入ったりするので、年によって例えば一地方大学の教育学部・中学校英語の難易度が異常に高かったりするものだ。
 学力検査結果の地域差を考えるとき、無視できない、というか、自分的には最も大きい要因なのではないかと思う。
 だから、東京や埼玉に住む子どもより、福井や秋田に住む子どもの方が幸せな環境におかれていると結論づけていかというと、それはやはり別問題だ。
 日本よりも上海やフィンランドの方がPISAのスコアが高いから、そちらの国の方が幸せだとは一概に言えないことと同じで。
 幸福指数の高い県にみんなが住みたがるかと言えば、むしろ現実は逆だし、もっと言えばブータンに本気で移住したいと願う日本人はほとんどいないこととも通じる。
 PISAのテストで一喜一憂することが、成熟した国のあり方とは違うんじゃないかなと思う気持ちを、ものすごく遠回りして書いてみた。

コメント
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